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柴田歯科医院 
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●喫煙が歯に与える影響について●
皆様、今年も残り1ヶ月ほどとなりました。

年末に向けて、忘年会やクリスマスパーティーなど、アルコールを飲む機会、そしてタバコを吸う機会が増えている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

こちらを踏まえて、今回は喫煙が歯に与える影響について目を向けてみましょう! 




煙草と歯の関係って?

まず喫煙の種類としては主に、紙巻タバコ、パイプタバコ、葉巻の三種類が考えられますよね。オーストラリアの宣伝やCMなどでよく見るように、実際に煙草はさまざまな口腔問題に発展します。又、加熱式タバコの
iQOS(アイコス)などの煙の出ないタバコや、ニコチンガムなども、歯に悪影響を及ぼすのを知っていましたか?

 

加熱式タバコやニコチンガムなどには、30種類近くの化学物質が複合されていて、ニコチンガムにはタバコよりも高い数値のニコチン、糖分、顆粒が含まれています。

 

化学物質やニコチンは、歯茎を刺激し、歯茎の後退を促し、知覚過敏になるリスクを高めます。又、糖分は、虫歯になるリスクを高め、顆粒は、歯をすり減らしてしまうのです。







※注:又、禁煙者の方でも、過労や衰弱している場合、免疫力の低下や、唾液分泌が少なくなり、喫煙者と似たような注意が必要となります。

なるべくストレスや体調には気をつけ、毎日を過ごすように心掛けましょう。

 

では、喫煙をすると、どのような影響が出てくるのかを見て見ましょう。


 


喫煙が歯に与える影響

 

歯周病gum disease/periodontal disease)、歯肉炎 (gingivitis)、歯槽膿漏 (alveolaris pyorrhoea)

歯周病とは歯ぐきの病気で、赤みや腫れ、歯磨きの際の出血などが初期症状となります。
タバコは、体の免疫力を低下させ、歯茎の細胞の働きを妨げ、歯周病などの感染症になるリスクを高め、歯周組織を破壊します。又、唾液の分泌を減少させる為、口内のバクテリアが増え、歯周病の原因である歯垢や歯石が増えてしまいます。

 

歯周病が悪化し、歯肉炎になると、歯を支えている上顎や下顎の骨が後退し、歯がグラグラになり、いづれには歯が抜けてしまう恐れがあります。

 

喫煙者は、タバコによる影響で血液の循環が悪い為、歯茎からの出血が少なく、歯肉炎になっていても出血するという症状が現れない事が多くあります。その為、早期発見が遅れ、治療もその分長引いてしまうのです。

 

オーストラリアでの統計によると、1日10本弱吸う人は、吸わない人に比べて、2倍も歯肉炎になるリスクがあると言われています。喫煙本数、喫煙年数は歯肉炎になるリスクと比例していて、本数や年数が多ければ多いほど、歯肉炎の治療に効果が出にくいと言われてるのです。

 

しかし、現在タバコを吸っている人でも、禁煙をした場合、非喫煙者―つまり、たばこを全く吸わない人と同じ回復力に戻るといわれています。禁煙してまもなくは、歯茎からの出血が気になりますが、血流が良くなっている証拠なので、心配はありません。

 

歯科医師の元で定期的にクリーニングを行い、食後の歯磨きを欠かさず行う事で、歯茎が回復し、健康への道のりを歩み始めます。又、歯周病が治るにつれ、出血の頻度が少なくなって来ます。

       

 


又、歯周病は、糖尿病や心臓病などの二次障害を引きこす原因ともされています。歯磨きをする際に、出血が頻繁に起こる方は、なるべく歯科医の元で、診察をしてもらう事をおススメします。


口腔癌 (oral cancer)

口腔癌とは・舌・唇・中咽頭・大唾液腺などに発生する癌となります。症状が出にくい、または診断しずらいため、癌がかなり進行した状態で発見されることが多く、高い確率で命に関わる癌です。口内に発生した癌が移転し、首のリンパ腺に移転した末期の状態で発見される場合が多く見られます。

口腔癌について①                              口腔癌について②

症状:口内に赤色/白色の変色、血豆が治らない、しこりがある、物を飲み込むと痛みがある、顎の腫れ、味覚がおかしい、リンパ/甲状腺の腫れ、他

又、禁煙者の方も合わない入れ歯や、詰め物の取れた歯を放置する事は避けるよう、心がけてください。
噛み合わせが合わず、一箇所に刺激が強く集中し、口内の柔らかい部分に継続的に異物が当たり続ける事で、癌が出来てしまう可能性もあります。歯があたって痛いな、欠けた部分が頬肉に刺さって痛むなど、少しの変化でも身体に影響を及ぼす可能性もあるのです。

「何かが違う」と思った際には、早期に歯科医師との相談をしてみましょう。

喫煙者と口腔癌の関係:

口腔癌発ガン者のうち、75%が喫煙者と言う統計があります。喉や気管などのガンも含めると、確率は90%にまで増してしまいます。

口腔癌のリスクは、喫煙と飲酒、両方好んでいる方のほうが、どちらかを好んでる人より非常に高くなります。これは、タバコに含まれる発癌性物質の有害な効果をアルコールが高める作用を持つと考えられるためです。

禁煙や飲酒をやめた方は、5年後にリスクは20%減、10年後になってやっと、非喫煙者、又はアルコールを飲まない方と同じに並びます。


又、喫煙していた口腔癌患者のうち、喫煙を続けた患者の37%がガン転移をしたのに対し、禁煙を続けた患者のがん移転は6%と、ぐんと確立が低くなるんです。


抜歯後の感染症 (dry socket)

喫煙者は、抜歯後にドライソケットと呼ばれる感染症になる確率が非常に高いと言われています。

ドライソケットとは、抜歯後に血小板がうまく固まらず、歯を抜いた後にむき出しになった顎の骨が、空気や食べ物、唾液などに触れてしまい、感染症を引き起こす病気です。

症状:激しい痛み/口臭の悪化/味覚の変化/変な味がする/腫れ、他

 

ドライソケットの原因として挙げられる例としては、喫煙による免疫力の低下、血液の循環の停滞などの治療後の回復の遅れから、とされています。

又、禁煙者の方でも体調が優れないため、唾液分泌が少なくなり、ドライソケットになる可能性もあります。

歯科手術はなるべく、快調な時に進めるようにしましょう。

口内感染症について


インプラントの成功率の低下

 

喫煙による回復力の低下により、インプラントを支える顎の骨や歯茎の治りが遅くなり、インプラントがうまく固定されず、失敗してしまう可能性があります。

 

又、オーストラリアでは、インプラントの成功率を高めるために、Periodontistと言う歯周病専門歯科医の先生と共に二人三脚をして、治療を進めさせていただく形となっています。

 

インプラントの多くが、歯肉炎からの抜歯が原因となりますので、顎の骨の状況や、歯周病に関し詳しく専門医の元で診断をした後、インプラントへ進みます。


その他の歯科治療後の回復の遅れ

 


喫煙(ニコチン)による回復力の低下(傷口などをふさぐ細胞の動きが低下する)により、口内の病気、口内炎から歯周病や、その他の歯科手術後の回復が遅くなってしまいます。

しかし!

禁煙をすることで、1~8週間後には回復力が上がる、と言われているのです。

大きな手術や、歯科手術が必要な場合、できるだけ禁煙を心がけましょう。


口腔粘膜の白色化:白板症 (leukoplakia) やシミ (melanosis)

 

口腔粘膜表面の角化が亢進し、白く変色したもの(白斑)。喫煙者の確立は非喫煙者の6倍ともされています。

 

口内の変色が気になる場合には、歯科医師と相談してみましょう。


唾液腺の炎症 (sialoadenitis)

 

喫煙による、唾液分泌の低下から殺菌が導管より侵入し、化膿性唾液腺炎となります。又、炎症が広がり、腫瘍の様な腫れが見られる事もあり、主に耳の下や、顎、小唾液腺に症状が現れます。

 

尚、過労や衰弱などの抵抗力が弱まった状態でも、多く発症するといわれています。


口内上部の炎症 (smoker’s palate)

 

ニコチン性口内炎とは、喫煙による有害物質が原因で舌や口内粘膜に、円形、時にシワ状の白い潰瘍(かいよう)が出来、異常に厚く硬くなってしまう病気です。又、小唾液腺が炎症により腫れ、痛み、沁みるなどの症状が現れます。

 

タバコの煙は感じるより熱く、乾燥しています。熱気による火傷や、煙による口内の乾燥が、タバコの有害物質をより作用させ、ニコチン性口内炎が出来ると、いわれています。
 

その他の影響

● 歯、舌、入れ歯詰め物などの黄ばみや変色
● 口臭の悪化
● 味覚の変化:舌にある味(ミライ)と呼ばれる味覚を感じ取る無数の細胞の感覚を、ニコチンは麻痺させてしまいます。昔と比べ、味の濃い食べ物を好むようになってきた喫煙者の方は、これが原因かも知れません。

         
変色した歯は誰だって気になりますよね。
ステインが着く主な原因として、「唾液分泌の低下」が問題とされています。喫煙者の方はなるべく、口内が潤った状態でいる事を心掛けましょう。

一日コップ8杯の水を飲むことから、始めてみる事をおススメします。
  


ステインの除去

皆さんはご自身の「笑顔」に自身がありますか?

喫煙者の方で、「笑顔」のイメージを大切にしている人は、ホワイトニング用の歯磨き粉を使ってみたり、毎日の歯磨きを欠かさず行うように心掛け、なるべく口内が渇かない様に、努力しましょう。

毎日コツコツと努力する事で、歯の健康は保たれ、歯の色素沈着の予防にもなります。

尚、ホワイトニング歯磨き粉について少し注意事項です。

① ホワイトニング歯磨き粉は表面の着色汚れを落としてくれますが、歯の内部の漂白は出来ません。歯の内部の漂白をするにはオフィスホワイトニングが必要とされます。
② 研磨剤による歯や歯ぐきへのダメージに気をつけましょう。「もっと!」と思い、強く歯磨きをしてしまうと、表面のエナメル質が削られ、薄くなり、エナメル質より黄色味が多い象牙質が目立ってきます。エナメル質が削れると、知覚過敏の原因や、虫歯になりやすくもなり、更に着色しやすくなってしまうので、注意しましょう。
③ 強く磨かない/Sensitive(柔らかい)歯ブラシを使う/歯茎を磨かないように注意する/必要以上に使わない/必ず注意事項を読む(週何回使用可能か、又繰り返す場合どれくらいの期間を置いたらいいか、など)を守るようにしましょう。

又、当院や他歯科医院で、強めのオフィスホワイトニングをご検討してみてはいかがでしょうか?
市販のホワイトニングと比べ、オフィスホワイトニングは8段階の調整が可能となっています。

□オフィスホワイトニング①      □オフィスホワイトニング②

又、少しの色素沈着でしたら歯科クリーニングで除去もできます。
タバコからの黄ばみや、茶色いステインが気になる方は、一度お近くの歯科医院まで問い合わせてみてはいかがでしょうか?



 

受動喫煙の影響

タバコの煙は吸っている人よりも、周囲にいる人の方が影響を受けやすいのはご存知でしたか?

それは、火の付いたタバコからでる副流煙には、喫煙者が吸う主流煙に比べて、より多い量の有害物質が含まれているからです

又、喫煙者が多く、煙がモクモクと漂っている環境で生活をしている、または仕事をしている人は、特に歯の健康や身体の健康に注意を払う用に心がけましょう。

 

さて、この記事でご説明させていただいた、喫煙と歯の関係に関して読んでみていかがでしたでしょうか?

 

タバコから出る有害物質は、人の身体を弱くし、菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。
これらは喫煙者のみでなく、ご家族、周囲の人間、職場の同僚などにも影響を及ぼすのです。

家庭内でヘビースモーカーのいるお家の子供たちは、歯肉に黒い着色が見られるケースが多くあります。又、その人が喫煙者ではなくても、副流煙を長期吸い続けることで、歯周病のリスクも上がってしまうのです。 





大切なご家族や友人達のためにも、家の中、車の中での喫煙は遠慮をし、出来るだけ一日に吸う本数を少なくしていけるよう、心がける事が大切です。


 

又、ニコチン中毒の方にとって、禁煙はとても難しいと思います。

先ずはご自身で出来ることから始めてみましょう。

① 毎食後の歯磨き
② 家族や友人前では吸わない
③ 本数を減らす
④ 歯周病予防のため水を飲み、唾液分泌を増やす

など、出来ることは沢山あります!!!

清潔な口内を保つためにも、喫煙者の方はこまめな歯磨きを欠かさず行うように心がけましょう。

 

 

 
口腔癌セルフチェック - あなたはいくつ当てはまる?

□ 治らないしこりや腫れがある

□ 口内の粘膜が赤色/白色に変色している

□ 口臭が酷い

□ 歯がぐらつく

□ 食べ物が喉を通る際に痛む

□ 舌の痺れによりしゃべりにくい/食べにくい

□ 治りにくい口内炎がある

□ インプラント/入れば/差し歯などが合っていない

□ 粘膜からの出血が多い


※チェックが2個以上ある人はなるべく歯科医師の元で診断を受けましょう


自己確認
 

口の中は自分で鏡を見て確認を出来る箇所となります。喫煙者の方はなるべく頻繁に口内をチェックし、異変がないか確認するように心がけましょう。

又、虫歯は放置せずにきちんと治療をし、定期的に歯科検診へ通われる事をおススメします。

 



喫煙者の方は、これを機に、禁煙や本数を減らす事を考えてみてはいかがでしょうか?

 

 

 



 

□ステインの日常予防     □口臭と舌のクリーニング   □歯の定期クリーニング
□歯周病について       □虫歯            □食生活の改善で虫歯予防
□歯周ポケットのクリーニング □虫歯が出来る食事以外の原因 □歯科治療からの感染
□口内炎について①      □口内炎について②      □口内感染症について
□歯の健康は身体の健康    □海外での歯科保険について  □オーストラリアでの歯科保険について


歯やお口のトラブルに関するご質問・ご相談がありましたら、お問い合わせ下さい。

受付には常時日本人スタッフがいますので、お気軽に日本語にてお問い合わせ下さい。

 

※診療時間外でのお問い合わせは、電子メールにて承っております。

 

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SHIBATA DENTAL

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月曜日・火曜日 午前10時~午後8
水曜日     午前10時~午後6
木曜日     午後12時~午後8
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※週により診療時間が変動いたします。ご確認下さい。

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参考書目(英文)/ Bibliography

Better Health Cannel 2016, “Smoking and oral health”, supported by ADA Victoria, viewed 15th November 2016, https://www.betterhealth.vic.gov.au/health/healthyliving/smoking-and-oral-health

Michael Friedman 2015, "Overview of dry socket", Web MD Medical reference, viewed 17th November 2016, http://www.webmd.com/oral-health/guide/dry-socket-symptoms-and-treatment#2

Michael Friedman 2016, “Smoking and oral health”, Web MD Medical reference, viewed 15th November 2016, http://www.webmd.com/oral-health/guide/smoking-oral-health#3

Quit Victoria 2016, "How does smoking damage my mouth, eyes and nose?”, Quit Victoria, viewed 16th November 2016, http://www.quit.org.au/about/frequently-asked-questions/how-does-smoking-affect-my-body/mouth-eyes-nose.html