
トリッパ(ハチノス)のピリ辛トマト煮 ローマ風
玉ねぎ…1個 セロリ…1本 にんじん…1本 ベイリーフ…適宜 酢…大さじ1
作り方
1. トライプを冷水でゴシゴシよく洗います。水から2度茹でこぼし、7~8cm幅に切ります。
2. 3回目に下煮用にスライスした野菜、酢、かぶるまで水をたっぷりと入れ、竹串がすっと通るまでやわらかく煮ます。
3. 鍋から取り出し粗熱が取れたら、トライプの周りに付いた、たんぱく質の固まりを取り除き、1cm幅5cm程度の長さに切り揃えます。
4. セロリとにんじんは、割り箸程度の太さ5cm程度の長さに切ります。玉ねぎは、5mm幅程度にスライスします。
5. 鍋にオリーブオイルを熱し、半割りにしたにんにくを炒め、チリフレークを加え、香りを出し、玉ねぎ、トライプ、にんじん、セロリの順に炒め火を通します。トライプは、軽く水分を飛ばすように炒めます。
6. ワインを加え、強火でアルコールを飛ばし、トマトの水煮、チキンストック、ハーブを入れて中火で30分程煮ます。
7. 水分を飛ばし、塩・こしょうで味を調え、ミントとチーズをのせて供します。
注) 冷、温、常温、どの温度でもおいしくいただけます。ひと晩、味を馴染ませた方がおいしいです。
注目の食材:牛モツ
今回はイタリアンの古典の定番、「牛ハチノスのトマト煮」です。この『ハチノス』は牛の胃の1つの部位で、読んで字の如く、胃の内壁に相当する部分の片面に蜂の巣状のヒダが付いています。生の状態では濃い灰色ですが、販売されている物は下処理を済ましてある物で白色です。もし、下処理前の物を見掛けても、決して手を出さないように。おそらく、ペット用に販売されているもので、食べようと思ったら数時間から半日は家中に漂う強烈な牛舎のような匂いと、地味で手間の掛かる下処理との戦いの始まりになってしまいます。
さてこの食材、自称、食の都メルボルンでは人気のない食材なのでしょう。あまり、食したことはありません。でも、欧州、アジア各国などでは、独特の香り、食感からか、広く食べられています。ポイントを抑えて料理すれば、おいしい食材です。我々料理人は、新しかったり高価な食材、目新しい技法などに目が行きがちです。もちろん、商売を考えてのこととは思います。しかし、内臓なども無駄にできなかった頃の古典的な料理や技法を取り入れたり、21世紀の今だからこそ新たに作れる、“食材を無駄にしないサステナブルな料理”を作らなくてはと思いつつ、今回はペンを置きます。 シェフ奥村