愛子先生の診察室便り

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ビタミンDを上手に摂取(2023年11月)- 愛子先生の診療室便り

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ビタミンDを上手に摂取
 

メルボルンもやっと春らしくなりました。春のあと、今年はすぐ猛暑が来るといわれています。夏になると外のアクティビティが増えると思いますが、猛暑では逆に外に出ずに、日光を浴びる機会が減るかもしれません。すると、日に当たることで生成されるビタミンDが不足する可能性があります。
今回は、最近日本でも注目されているビタミンDの大切さについておさらいしましょう。

ビタミンDの重要性
10万人近くの日本人を過去19年間追跡した大規模調査により、食事からのビタミンDの摂取が多い人は、死亡リスクが低い傾向にあることが明らかになりました。

ビタミンDには以下のような働きがあります。
・体内のカルシウムを一定に保つ
・骨、筋肉の機能保持(骨折予防、骨粗鬆症予防など)
・感染症、心血管疾患、神経筋疾患、自己免疫疾患発症の防止
・免疫機能促進(新型コロナなど、感染症の重症化を防ぐ)
・炎症を防ぐ(アンチエイジング、認知症を防ぐ)
・抑うつを防ぐ(季節性情動障害などを防ぐ)

ビタミンDが欠乏すると、病気の直接の要因ではないものの、骨や筋肉の健康、また心身の免疫機能に影響を及ぼすことが分かっています。

どのくらい日に当たればいい?
ビタミンDは、通常30~60日は体に蓄えられるので、不足しないように適度に日光に当たり、食品から摂るようにして補っていきましょう。

ビタミンDは、本来、皮膚が太陽の紫外線B(UVB)にさらされることで生成されます。ですが、オーストラリアの紫外線は強いので、皮膚への影響も考えながら、適切に日光を浴びることが必要となります。季節、場所、時間、そして肌のタイプや露出する範囲も考えておきましょう。
メルボルンで、ビタミンDのために日に当たるのは、夏季は毎日数分、冬季の5月から8月は2~3時間で充分と言われています。

フィッツパトリック(Fitzpatrick)のスキンタイプの分類で見ると、日本人の肌はスキンタイプⅢ~Ⅳで、オーストラリア人ほど皮膚癌のリスクは高くありませんが、ビクトリア州でも夏は、紫外線の強さを表すUVインデックス指数が3以上の日が多く、オーストラリア癌協会は、数分以上屋外にいる場合は日焼け止めの使用を推奨しています。つまり、ビタミンD生成のためと、無理に長時間日に当たる必要はないということです。

食品からの補給も大事
以下にビタミンDを多く含む食品を挙げておきます。

・脂質の多い魚類: イワシ、カツオ、サケ、マグロ、アジ
・きのこ類: キクラゲ、シイタケ、エリンギ
・牛乳
・卵黄

一番良いのは、適度に日光を浴び、食事では、魚を1週間に2回、きのこ類、乳製品、野菜などバランスよく摂取することです。
インドアで過ごす時間が多い、魚の摂取が難しい、食事のバランスが崩れがち、という方は、ビタミンDのサプリメント(ビタミンD3)を飲むことをお勧めします。マルチビタミンにもビタミンDは少量ですが、含まれています。

次回、GPで血液検査をする時に、血中のビタミンD濃度を調べてみるとよいでしょう。不足していないか早い段階で気付き、改善することが肝要です。

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富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
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