愛子先生の診察室便り

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過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome)について (2022年8月)- 愛子先生の診療室便り

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過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome)について
 

最近増えていると感じるのがこの病気です。来院されるうち、10人に1人ぐらいの割合で過敏性腸症候群による下痢や便秘、腹痛に悩まれています。
今回はこの病気のおさらいをし、治療法を考えていきましょう。

どんな病気?
原因不明の腸の機能障害です。検査をしても異常は見付からないけれど、慢性的に下痢や便秘、腹痛などを繰り返します。
真面目で完璧主義者、神経質な人に症状が出やすいです。決してストレスに弱いのではありません。身体が変化に敏感に反応しているということです。

原因は解明されていませんが、ストレスが大きく関係していると考えられています。胃腸は第2の心臓と言われていて、自律神経が胃腸の動きをコントロールしています。すなわち、私達の意志では胃腸の働きをコントロールできないのです。
脳がストレスを感知すると脳から大腸にストレスホルモンが伝達され、胃腸をコントロールするホルモンのバランスを崩し、大腸の動きが不安定になってしまいます。大腸の動きが活発すぎると下痢になり、鈍くなると便秘になります。

ストレスが引き金になるケースを過敏性腸症候群と括っている場合が多いですが、ウイルスまたは薬剤などで腸内フローラのバランスが崩れた時も、同じように大腸の動きが不安定になることもあります。大人になってから発症する食物アレルギーが原因になっていることも稀にあります。

検査が必要か、掛かり付け医に相談を
腹痛や下痢・便秘が1週間の間1日以上おこり、3ヶ月ほど続いているような場合、過敏性腸症候群と診断することが多いです。殆どの場合がストレスによる大腸の不安定さからくる症状とはいえ、便の検査、大腸内視鏡検査、そのほか画像検査をすることもあります。

症状を一時的に抑える薬はいろいろありますが、それらは一時的なものです。やはり長期的には、根本を変えなければなかなか症状が軽減されません。
処方された薬を上手に使いながら、胃腸のシグナルの痙攣・メッセージを受け止め、心身のバランスを整えながら毎日過ごせるように心掛けましょう。

治療法は?
過敏性腸症候群に大きく関係している「ストレスをなくす・減らす
ということは簡単そうですが、実は地道な努力が必要です。生活習慣・食生活の改善によってストレスを緩和することができるので、是非、生活の癖を見直して下さい。

・適度な運動をする。
・規則正しく1日3食。
・食品目の注意としては、脂質、カフェイン、香辛料などの刺激物を控える。腸内環境を整える食品を摂る。腹八分目で止め、暴飲暴食はしない。アルコールは少量に。
・十分な睡眠を取る。

ストレスを溜めないよう、生活リズムを整え、栄養、休養や睡眠をしっかり取るとことが過敏性腸症候群の治療には大切です。

Dr. Aiko Tomita Dr. Aiko Tomita Logo 一人ひとりに向き合った医療を提供
富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
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