愛子先生の診察室便り

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中高年へのアドバイス - 骨折の予防 - (2022年9月)- 愛子先生の診療室便り

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中高年へのアドバイス - 骨折の予防 -
 

年齢が上がるにつれ骨が弱くなり、ちょっとしたことでも骨折しまうケースがよく見られます。骨折をすると長期間の安静が必要になり、「寝たきり」になるリスクが上がります。ですから、中高年の頃から骨量や筋力を保つ努力をしましょう。

まずは骨粗鬆症を防ぐ
骨粗鬆症は、骨密度が低くなり、骨がもろくなる病気です。
ステロイドの長期間の服用、喫煙、生活習慣病(高血圧、心臓病、糖尿病)が骨粗鬆症の起因となることもあります。特に、閉経後の女性ではエストロゲンの低下、そして運動不足による筋力の低下などにより、骨粗鬆症が起こりやすくなります。

<普段の生活でやった方がいいこと>
1日15分から30分、腕に日光が当たるだけでもビタミンDが作られます。紫外線予防のクリームをつけると日光をブロックするとも言われますが、オーストラリアの研究では、紫外線予防をしながら日光に当たってもビタミンDの吸収力はさほど衰えないと言われています。
食事では、骨の生成に必要な物を多く摂るようにしましょう。カルシウムは乳製品、小松菜、小魚で摂取することができます。カルシウムの吸収を高めるビタミンDは青魚に含まれます。
また、骨に含まれるたんぱく質を活性化し、カルシウムを骨に取り入れる働きのあるビタミンKも必要です。海藻、納豆などに多く含まれています。

骨を支える筋肉も大切です。それにはタンパク質も意識して摂るようにしましょう。
骨に適度な刺激が加わるよう、運動も忘れないようにします。

<普段の生活でやめた方がいいこと>
過度の飲酒は内臓機能を悪化させ、多尿によりカルシウム排出を促してしまいます。喫煙はカルシウム吸収を妨げ骨量低下の原因になるのでやめましょう。
もし、すでに骨粗鬆症の薬剤、注射をしているのであれば、予定通りの摂取を心掛けましょう。6ヶ月おきにする注射プロリア(デノスマブ)は、時期が5週間以上過ぎてしまうと骨密度が低下するので忘れずに受けましょう。

ロコモティブシンドロームを予防する
ロコモティブシンドローム(運動器症候群)は、骨粗鬆症やなんらかの病後に運動機能が弱くなり、適切な治療ガイダンスを受けずに“安静”を続けてしまうことで筋骨が衰え、転びやすくなり骨折したり、そのサイクルが続くことで要介護や寝たきりになってしまう状態のことを言います。

<診断基準>
・ 片脚立ちで靴下が履けない。
・ 家の段差でつまづく。滑る。
・ 階段を上がるのに手すりが必要となる。
・ 家事でやや重い仕事が困難である。
・ ペットボトル1本でも持って歩くのが重い。
・ 15分以上続けて歩くのがしんどい。
・ 横断歩道を青の信号点灯中に渡りきれない。

中高年以降になると、アクティブに運動する機会が少なくなります。そして身体が“楽”をしたがるのを“心”がそのまま受け付けてしまいがちです。その日々が続いて悪循環になるのです。
若い時は、数日寝たきりになっても、体力、筋力などはすぐ回復します。しかし、年齢を重ねるごとに、リカバリーが遅くなり、どんどん億劫になってしまうので、多少調子が悪くても医師・セラピストの指示のもと、運動を心掛けて下さい。

有酸素運動・無酸素運動をバランス良くしなければいけない、と頭では分かっていてもなかなかできないものです。無酸素運動とは筋力をつける運動のことを指します。それは、ジムなどに行かなくても、毎日NHKのラジオ体操をすることで十分です。少しずつ毎日コツコツ続けるようにしましょう。

Dr. Aiko Tomita Dr. Aiko Tomita Logo 一人ひとりに向き合った医療を提供
富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
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