愛子先生の診察室便り

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帯状疱疹(Shingles)にならないために(2023年3月)- 愛子先生の診療室便り

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帯状疱疹(Shingles)にならないために
 

皆さんは、新型コロナウイルス感染や新型コロナワクチン接種と、帯状疱疹が関連している、という話を聞いたことがあるでしょう。
今回は、最近メディアなどでも見聞きすることが多くなった帯状疱疹とそのワクチン接種について考えてみましょう。

帯状疱疹とは?
子供の頃に水ぼうそう(Chicken pox)に感染したことはありますか? 帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスで起こる皮膚の病気です。そのウイルスは水ぼうそうが治っても体の中に潜んでいて、免疫力が低下した時に“再活性化”し、帯状疱疹を発症します。
最初は、“なんとなく”皮膚に違和感を感じます。その後、ピリピリとした痛みを感じ赤い斑点に気付きます。ぶつぶつの発疹と痛みに加え、発疹が水ぶくれのようになります。その発疹が、体の右側か左側の神経節に沿って帯状に集積するため、“帯状疱疹”と呼ばれています。

症状の多くは上半身に現れます。目の周りなど、顔にも現れることがあります。皮膚の症状が落ち着くと共に痛みも引いていきますが、感染による神経のダメージが大きいと痛みが数ヶ月継続したり、感染の場所によっては、角膜炎、顔面神経麻痺、難聴などの合併症を引き起こすことがあります。

ウイルスを活性化するトリガーは?
日本人の成人の90%以上は、体内に潜伏していた水ぼうそうウイルスが、トリガーを受け活性化し、帯状疱疹を発症する可能性があると言われています。以下のことが発症の引き金となります。

・加齢。50歳になって、以前感染した水ぼうそうの免疫が消滅。
・疲労、ストレスによる免疫力の低下。
・ほかの病気によって免疫力が低下。

また、新型コロナウイルス感染症は、50歳以上の成人の帯状疱疹発症リスクを高めるという報告が米国の調査で報告されています。新型コロナウイルス感染が引き金となり、免疫力が低下するため、帯状疱疹を発症するのです。

帯状疱疹を予防するには
トリガーとなる要因をなるべく減らし、免疫力が低下しないようにすることが肝要です。

・体力作り。食事のバランス、適度な睡眠、運動などで体調管理。
・50歳以上であれば、ワクチンを接種。

子供の頃に水ぼうそう・帯状疱疹ウイルスに感染した人は、このウイルスに対する免疫を持っているのですが、獲得した免疫は年齢と共に弱まっていきます。血液検査で水ぼうそうウイルスの抗体が検出されても、帯状疱疹を発症するリスクが高くなる傾向にあります。
50歳以上が帯状疱疹の発症リスクが高くなると言われているのは、おそらくこれらの理由によるものと思われます。そのため、ワクチンを接種して免疫の強化を図ろうというのが帯状疱疹の予防接種です。

50歳以上は、帯状疱疹ワクチン接種を
ワクチンは2種類あります。不活化ワクチンと生ワクチンです。
<生ワクチン>
病原体となるウイルスや細菌の毒性を弱めて製造されています。1回のみの接種。
<不活化ワクチン>
病原体となるウイルスや細菌の感染力を失活、もしくは病原体を構成する物質をもとにして製造されています。2~6ヶ月間間隔をあけて2回接種します。

とは言え、ワクチン接種は帯状疱疹を発症しないための選択肢のひとつですが、発症を完全に防ぐものではありません。また、ワクチン接種が適している人、適していない人もいます。どちらのワクチンのタイプが合うのかも、掛かり付け医と相談して下さい。

Dr. Aiko Tomita Dr. Aiko Tomita Logo 一人ひとりに向き合った医療を提供
富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
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