愛子先生の診察室便り

患者さんの健康上の気掛かりになることをお便りしていきます。

難聴とその弊害(2022年5月)- 愛子先生の診療室便り

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難聴とその弊害
 

コロナ禍において感染を避けるため、人との直接的な触れ合いが少なくなった人が多いと思います。会って話をしない、聞かなくても困ることがない、という状況が多いせいか、耳が聞こえにくくなっているのに気付かない人が、最近見られるようになりました。そのうえ、加齢による聴力の低下を認めたくなく、「話さない」「聞こえているふり」を続けて、認知症やうつ病などが悪化していくケースも散見します。

加齢による聞こえにくさは、誰にでも起こること
聴力は、一般的に40代から低下し始めます。加齢によって耳の中にある音を感知する細胞がダメージを受け、数が減ったり、聴毛が抜け落ちたりして、音の情報をうまく脳に送ることができなくなります。特に高い音から聞こえにくくなるようです。65~74歳では3人に1人、75歳以上では約半数が難聴になると言われています。難聴の程度は生活習慣病などに影響されている可能性もあり、個人差もあります。

加齢性難聴になると、社会生活に支障をきたすようになります。必要な情報が聞こえない、危険を察知できない、家族や友人とのコミュニケーションが難しくなることが増えてきます。「言った、言わない」「話した、聞いていない」という揉め事が多くなると、周囲の人ともうまくいかなくなってしまいます。話をするのが益々億劫になり、自信をなくしたり孤立しがちになるので、うつ状態になったり、認知症のリスクも大きくなります。

定期的に聴力検査を
聞こえにくいなと思ったら聴力検査を受け、早期から補聴器などを使って「聞こえる」状態にし、「聞く」能力を最大限に発揮できる状態にしておくことが大切です。
‟Quality of life“ 生活の質を保つためにも、50歳を過ぎたら、年に1回はGP(一般開業医)で聴力の検査もするようにしましょう。視力検査や歯科検診をするのと同じです。
加齢性の難聴は、根本的な治療法がありません。ですが、加齢以外の原因になること、例えば、大音響で音楽を聴かない、騒音が多い場所を避ける、静かな場所で耳を休ませる、といった「耳に優しい生活」を心掛けることはできると思います。そして老化を遅らせるために、良質な睡眠習慣、栄養バランスのとれた食事、適度な運動など基本的な健康管理を続けると良いでしょう。

若い人が罹る難聴も
突然片方の耳が聞こえにくくなる突発性難聴もあります。原因は血流障害、ウイルスによる障害、ストレス、過労、寝不足などが考えられ、男女とも働き盛りの20~40代に多い病気です。耳が詰まった感じ、耳鳴り、めまいなどを伴うこともあります。
突発性難聴は早く気付いて治療を始めることが重要です。聞こえにくいなと思ったら、まずGPに相談しましょう。多くはステロイドの内服で回復します。

 

Dr. Aiko Tomita Dr. Aiko Tomita Logo 一人ひとりに向き合った医療を提供
富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
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