愛子先生の診察室便り

患者さんの健康上の気掛かりになることをお便りしていきます。

コーヒーと健康 (2022年7月)- 愛子先生の診療室便り

 愛子先生の診療室便り

コーヒーと健康
 

「メルボルンはコーヒーがおいしいというのは世界的に有名な話です。私も毎日必ず1~2杯はいただきます。エスプレッソスタイルで抽出されたコーヒーに牛乳を入れた飲み方をしています。
さて、それは身体に良いのでしょうか? 悪いのでしょうか? 何杯飲んでもいいのでしょうか? いろいろ調べてみた結果、私の見解をお伝えします。

「コーヒーは身体に良い」は本当か?
今まで、さまざまな論文で「コーヒーは身体に良い」という報告が挙がっています。コーヒー豆に含まれる成分ポリフェノールには活性酸素除去作用があり、老化や生活習慣病を予防し、体を守ると言われています。ただ、その一方で、別の成分であるジテルペン・カフェストール(cafestol)は、コレステロールを上昇させてしまうと言われています。

では、コーヒー摂取でコレステロール値が上昇するけれども、コーヒー摂取で生活習慣病や動脈硬化を予防するとは、どういうことでしょうか。

飲み過ぎるとコレステロール値は上昇傾向に
今までの研究から、コーヒーを多く飲んでいる人ほど総コレステロール、なかでも悪名高きLDLコレステロール(LDL-C)やアポリポタンパク質B(apoB)の血中濃度がより高いという結果が出ています。南オーストラリア大学のthe Australian Centre for Precision Healthでも、長期にわたってコーヒーを飲み過ぎていると、脂質に悪い影響を与え、コレステロール値が上がり、やがては心血管疾患を生じやすくする恐れがあると示唆しています。
また現在では、「コーヒーの抽出方法、淹れ方によってカフェストールの量が違い、身体への影響も変わるのではないかと言われています。

濾過コーヒー VS 非濾過コーヒー
濾過コーヒーはフィルターを通して淹れたコーヒーのこと。非濾過コーヒーはエスプレッソ、サイフォン、フレンチプレスなどで淹れたコーヒーのことです。
豆の粗挽きを10分以上煮出したもの、熱湯で煎じた上澄みの非濾過コーヒーには、紙フィルターを使った濾過コーヒーに比べて、カフェストールが30倍多く含まれています。そのため、非濾過コーヒー摂取と心血管疾患による死亡リスクが高くなることが示唆されました。
また、この結果を受けて、非濾過から濾過コーヒーへ移行したグループでは、血清コレステロール低下が見られ、心血管疾患の減少も7%見られました。

このため最近では、コーヒーの淹れ方が重要なファクターであり、健康に及ぼす影響の観点からは、「フィルターで濾過して淹れるものが最も好ましいと言われています。
更に、「非濾過コーヒーにはコレステロール値を上昇させる成分が多く含まれているが、その上昇は一時的なものではないか?
など、この領域の更なる研究・議論が続くことになると思います。

飲み方、習慣も関係してくる
とは言え、いくら濾過コーヒーでも、クリームや砂糖をたっぷり、お菓子と一緒に飲んでいたらどうでしょうか? 身体に良い飲み方とは言えないでしょう。例えば、エスプレッソコーヒーならば1杯にし、適度な運動、野菜を多く摂るようにするなどバランスが取れた生活であれば、不健康ではないですね。

コーヒーを飲む習慣のある方は、自身のライフスタイル、好み、コンディションに合わせて考え、どんなスタイルのコーヒーでも飲み過ぎず、1日2~3杯までにして、おいしく召し上がって下さい。

Dr. Aiko Tomita Dr. Aiko Tomita Logo 一人ひとりに向き合った医療を提供
富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
W: doctoraiko.com
E: admin@doctoraiko.com

診療場所: MIDTOWN MEDICAL CLINIC
Level 4/250 Collins St, Melbourne
T: 03 8102 5800(日本語直通・下記診療時間内)
月 8:30-16:30
水 8:30-12:30
金 9:30-16:30
土(隔週)9:00-12:00
詳細はWebサイトでご確認下さい。
 

テレヘルスでの診察が可能な場合は、ビデオ・または電話での診察をお勧めしております。