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サルや人に感染するサル痘(Monkeypox)という病気が増加してきています。
2022年5月、海外渡航歴のない人がイギリスでサル痘を発症。そのほか、ヨーロッパ、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど、27ケ国以上で感染例と疑い例の報告が相次いでいます。6月4日の世界保健機関（WHO）の発表によると、世界で780例になっており、今後も増える可能性があります。サル痘ウイルスを風土病としない国での発症、コロナ対策を緩和した国から発生していることも注目されています。

どんな病気?
サル痘は急に発現した感染症ではありません。1970年にザイールで初めて報告され、これまでは主にアフリカ中央部から西部の熱帯雨林で散発的に見られていました。自然宿主はアフリカに生息するプレーリードッグ、リスやネズミのような犬歯のない哺乳類（げっ歯類）とされています。
感染動物にかまれたり、血液、体液、発疹に触れたりといった接触でサル痘ウイルスに感染すると言われています。これまで、欧米で見付かったのは、感染した動物が持ち込まれて接触したり、アフリカで感染した人が帰国して発症するという、動物から人へのケースが殆どでした。

人から人への感染はまれですが、今回は家庭内感染も見られていることから、感染者の飛沫、体液、発疹部位を介した飛沫感染、リネンなどを介した接触感染と考えられています。
人や物が世界を行き来するようになって感染リスクが上がってきたと言えるでしょう。

どんな症状?
潜伏期間: 7～14日間。
症状: 発熱、頭痛、リンパの腫れ、筋肉痛が１～5日間ほど続いた後、水疱状の発疹ができます。発疹は顔面から始まり、体幹部、手足へ広がります。時間がたつとかさぶたになってはがれ落ちます。
治癒までの期間: 2～4週間で自然に回復しますが、まれに肺炎や敗血症など重症化することもあります。
致死率: 0～10%。今のところ先進国で死亡例は報告されていません。

予防法・治療法は?
サル痘は天然痘と似ている病気で、天然痘のワクチン（痘そうワクチン）が効くと言われています。但し、日本では天然痘は根絶とされ、1976年以降天然痘ワクチンの接種が終了しています。1975年以前に生まれている人は、日本で種痘ワクチンを接種していることが多いので、かかりにくい傾向にはあります。特効薬はありませんが、抗ウイルス薬のテコビリマット tecovirimat（注: 日本では未承認）で効果が出ています。
サル痘は、今まであまり注目をされていなかっただけで、実際の医療現場では「ウイルス感染による発熱、発疹、呼吸器疾患」として、対処療法で2週間以内に治癒するといったケースが殆どです。そのため極度に恐れる必要はありません。

引き続き感染対策を
とは言え、症状が長引いたり、目立つところに発疹ができ、かさぶたになってはがれるまでは不快ですし、人に感染を広げてしまいます。幼児や免疫不全の方が感染すると重症化する傾向もあります。

サル痘の感染対策はコロナ対策と同じです。こまめに手洗い、アルコール消毒をしましょう。人混みの多い所、室内ではマスクを着用、咳エチケットも忘れずに。
家庭内では、風邪症状がある人、体調が悪い人とは、リネン類、食器などの共有をしないようにします。
体調が悪い時は休養を取り、人との接触を避けましょう。発疹が出た場合は、水疱瘡や麻疹などの発疹と見分けるために、写真で記録を残し、掛かり付け医にビデオ診察などを受けるようにしましょう。

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