愛子先生の診察室便り

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更年期の乗り切り方(2022年3月)- 愛子先生の診療室便り

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更年期の乗り切り方
 

更年期とは、女性では40代後半から50代後半の閉経前後、男性は40代から 60代を指します。この年代は、女性では閉経の前後に女性ホルモン・エストロゲンの急激な減少、男性は加齢による男性ホルモン・テストステロン減少のため、更年期障害を発症すると言われています。

どんな症状?
女性に多く見られる症状: ほてりと発汗(ホットフラッシュ)、冷え、イライラ、めまい、動悸、乾燥肌、頭痛、疲労感、不安、憂鬱感、不眠など。
男性に多く見られる症状: 疲労感、倦怠感、仕事や趣味に対する意欲低下、気力低下、性欲の低下、勃起障害、動悸、息切れ、イライラ、頭痛、不眠、手足の冷えなど。

最近では、コロナ禍の影響で思いもよらぬストレスや不安がたまり、更年期障害の症状が重くなるケースが多く見られるようになりました。

身体の変化
女性ホルモン、男性ホルモンの減少は身体にさまざまな影響を及ぼします。

女性の身体の変化: 閉経だけでなく、その前から生理が不規則になったり、しばらく生理がなくなったりすることがあります。また閉経後は、悪玉コレステロールを減らして動脈硬化を防いだり、骨を丈夫にする働きがあるエストロゲンが減少するので、動脈硬化による心臓病や高血圧、骨粗鬆症など、いわゆる生活習慣病のリスクスクリーニングが必要です。
男性の身体の変化: テストステロン減少により、前立腺肥大症を起こしやすく、排尿障害が起こることがあります。脱毛しやすい傾向もあります。

ストレス解消で更年期障害を軽減
私達の身体は、ストレスを受けるとさまざまなストレスホルモンを分泌します。これが循環器や呼吸器、消化器、免疫などに影響し、更年期障害を悪化させる原因となります。またストレスが大きいと、女性ホルモンや男性ホルモンのバランスがくずれ、老化現象を早めることに繋がります。

そもそも、更年期のストレスは「自分の生き方や老後」にかかわるものが多いです。更年期に出てくる不調は人生の中盤を迎えたサインと捉え、これまでがんばった自分を労わり、今後の健康な生活の準備をし始めるといいでしょう。ライフスタイルを見直したり、やりがいのある仕事や趣味、サークル活動を見付けたり、夫婦関係を再構築して新たな信頼関係を築いたりすることがストレス解消、ひいては更年期障害の軽減に繋がります。

適度な運動、質の良い睡眠を
ストレスが続いている時は、ストレスホルモンの影響で呼吸が浅くなり、血液の流れも悪くなります。呼吸を深くし、血液循環も良くするウォーキングや水泳などの有酸素運動を定期的に取り入れましょう。
睡眠不足も更年期障害に大きな影響を及ぼします。不眠が続くと疲労がたまり、精神的に落ち込みやすくなります。就寝前にストレッチや軽い運動をして、身体を適度に疲れさせると眠りやすくなります。

食生活の見直しも
更年期になると、それまでの食事の好みが固定化し、いつも同じような物を食べてしまい、食べたことのない物、新しい物を食べない傾向があります。そのため食生活に偏りが出て、更年期に不足しがちな栄養分がとれず、症状を悪化させることも少なくありません。下記に更年期に欠かせない食品を挙げるので積極的にとるようにしましょう。

女性: 大豆の煮豆や納豆、豆腐、おからなどの大豆食品。大豆に多く含まれているイソフラボンは、体内でエストロゲンと同じ働きをする物質です。不定愁訴の改善だけでなく、骨量を増やしたり、コレステロール値の上昇を抑える作用もあります。
男性: テストステロンの生成を補助するのが、ミネラルのひとつである亜鉛です。亜鉛が不足すると精巣や前立腺の働きが悪くなり、疲れやすくなります。亜鉛を多く含む食品には、牡蠣や魚介類、海藻類、ナッツ類、レバーがあります。亜鉛は体内で吸収されにくいのですが、ビタミンCを一緒にとると効率良く吸収されます。また、免疫力を低下させないために、ビタミンB群・C・Eなどの抗酸化ビタミン類も必須の栄養素です。

治療方法はいろいろ
更年期障害の症状はさまざまで個人差もあります。ホットフラッシュがひどい、これといった理由がないのにイライラが収まらないといった時には、ホルモン補充療法や抗うつ剤が必要かもしれません。まずはGP(一般開業医)に相談しましょう。飲み薬に抵抗がある人には、パッチや塗り薬もあります。ほかの薬との飲み合わせも考慮したほうが良いので受診をお勧めします。
更年期の身体の変調は誰にでも起こりうる自然なものです。人生の次のチャプターを迎えるために、スマートに乗り切りたいものですね。
 

Dr. Aiko Tomita Dr. Aiko Tomita Logo 一人ひとりに向き合った医療を提供
富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
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