愛子先生の診察室便り

患者さんの健康上の気掛かりになることをお便りしていきます。

検診の受け方を考える その2 - 検診プログラムをカスタマイズ(2024年8月)- 愛子先生の診療室便り

 愛子先生の診療室便り

検診の受け方を考える その2 - 検診プログラムをカスタマイズ
 

前回は乳がん検診を例に、何歳から何歳までの人全体を対象にスクリーニングを行うよりも、「リスクベース」でスクリーニングを行う方法により多くのメリットがある、という考え方が主流になってきていることをお伝えしました。

どのタイミングでどんなスクリーニングを受けるか?
スクリーニングは本来、症状がない人が受けるものです。その目的は、「将来罹るかもしれないがんを見つける」「潜在的に致命的ながんを見つける」「生活習慣病の予防」などが挙げられます。とすると、「ある程度の過剰診断は仕方がない」ということに繋がってしまいがちです。

従来のスクリーニングは2年ごとに行っていた検査を、「今度から3~5年ごとになりました」と言われても、患者さんは納得がいかず不安になるでしょう。その不安から、どうしても今まで通り2年ごとに受けてしまい、必要のない検査をする → 医療費の増加 → 税金が増えてしまうということになります。 また、スクリーニングの頻度が減った間に、何か変化が起こりうる可能性もないとは言えません。そのため、現在のスクリーニング方法から「リスクベース スクリーニング システム」を実施するには、まだまだ臨床試験などで検証をするなどのタスクが残されています。

GPとタッグを組んで健康管理
大腸がん検診、乳がん検診など国が推奨するスクリーニング検査は、必要最低限の検査とそのタイミングであると考えるといいかもしれません。

やはり1年に1回お誕生日月などに、健康であっても、症状がなくても、なんでも話せるGP・掛り付け医と心身の健康についてタッグを組んで、ご自身の健康診断プログラムを考えることが最良の道だと思います。

ご自身の病歴や、家族歴などは、1年で変わってくることもあります。親族でがんになった人がいるかもしれません。高血圧の家系であることが分かるかもしれません。年齢的に食生活が変わることもあるでしょう。
毎年、掛かり付け医と45~60分の時間を設けて、チェックを受けることをお勧めします。

1. メンタルヘルスチェック
通常15分ほどのスクリーニングチェック
2. 健康診断・問診
症状チェック
リスクチェック(家族歴・既往歴、生活スタイル)
食事、睡眠、常備薬、飲酒など
3. リスクベースに重点を置く触診・検査
4. 体力・運動量チェック
5. フォローアップ

ガイドラインはあくまでもガイドであり、そのガイドが必ずしも個々の患者さんに適しているわけではありませんが、まず、ガイドラインに沿ってやっておくと、GPが結果を把握しておくことができます。はじめに検診プランを考えることは非常に効果があると思います。
その上で、個人のリスクベースも考え合わせ、ご自身に合った健康を維持するためのスクリーニングプログラムを、掛り付け医と一緒に組むことをお勧めします。

オーストラリアの掛かり付け医制度のメリットを最大限生かし、自身の検診、健康管理に努めていくと良いですね。

Dr. Aiko Tomita Dr. Aiko Tomita Logo 一人ひとりに向き合った医療を提供
富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
W: doctoraiko.com.au
E: admin@doctoraiko.com

診療場所: MIDTOWN MEDICAL CLINIC
Level 4/250 Collins St, Melbourne
T: 03 8102 5800(日本語直通・下記診療時間内)
月 8:30-16:30
水 8:30-12:30
金 9:30-16:30
土(隔週)9:00-12:00

メンタルヘルス サポートとして、経験豊富な精神科医首藤まりこ先生が、オンラインカウンセリングをしています。
W: doctoraiko.com.au/services
詳細はWebサイトでご確認下さい。