愛子先生の診察室便り

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乳がん検診の勧め(2021年11月)- 愛子先生の診療室便り

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乳がん検診の勧め
 

この2年、コロナ禍において、検診に行くタイミングを逃してしまった方が多いのではないでしょうか。オーストラリアで、20~59歳の女性が多く罹るがんとして挙げられるのは乳がんです。日本人女性も同様で、部位別がん罹患の第1位が乳がんです。死亡率も人口10万人に対し約20%と高く、罹患のピークは40代後半から60代と言われています。日本では仕事を持たない女性が、検診を受ける機会を逸してしまう傾向にありますが、オーストラリアでは、GP(一般開業医)で検診が受けられます。またMedicareをお持ちで50歳以上の方には、BreastScreen(T: 13 20 50)からマンモグラフィが無料で受けられるお知らせがきますから、先延ばしにせず活用しましょう。

どんな病気?
乳がんは乳腺の組織にできるがんです。主な症状は乳房のしこりです。ほかに、乳房にえくぼやただれができる、左右の乳房の形が非対照になる、乳頭から分泌物が出る、などがあります。早期の段階では自覚症状があまりないのですが、しこりなどの異常を発見したら自己判断せずに早めに受診しましょう。また、乳がんに罹った血縁者がいる場合、リスクが高くなるので、医学的なカウンセリングを受けたりすることも考えましょう。

25歳になったら2年に一度は検診を
最初の乳がん検診は「25歳から受けられる子宮頸がん検診と同じ時期に」と、私は推奨しています。家族歴、既往歴、リスク因子がある場合などはケースバイケースですが、少なくとも2年に1度は検診を受けましょう。検診は以下のような内容です。

触診 : まず触診を行います。座った状態、そして寝た状態の2つのポジションで医師が触診します。触診で異常がない限り、40歳以上でなければ、GPからマンモグラフィや超音波検査を勧められることはあまりありません。

画像検査 : 45歳以下の日本人女性には、高濃度乳房(デンスブレスト)が大変多く見られます。乳腺の密度が濃く、異常を見付けにくい傾向にあります。そのため、触診時に小さいしこりとの区別がつきにくい場合は、超音波検査を受けてもらうことがあります。問題がなければ、その時点で終了ですが、正常とは言い切れない場合は、マンモグラフィを受けます。これらの画像検査が必要な場合は、GPではなく、別の施設で予約を受け付けています。

生検(バイオプシー) : しこりの大半、特に触診時に動くタイプのものは繊維腺腫のことが多く、技術が発達している現在の画像検査では、しこりの性質(良性か悪性か)の区別がつきやすくなっています。しかし、一番確実に正確な結果が分かるのは生検です。生検では、通常しこりの局部に麻酔を掛け、医師が注射針を使ってそのしこりの細胞を2~3ヶ所から採取し検査に回します。検査結果は通常3日後ぐらいに出ます。

1ヶ月に一度はセルフチェックを
普段から自分でチェックすることが重要です。月に一度、生理開始日を1日目とすると10日目が最適です。閉経後の人は毎月日を決めて行いましょう。セルフチェックの方法は、掛かりつけ医に相談下さい。

 

Dr. Aiko Tomita Dr. Aiko Tomita Logo 一人ひとりに向き合った医療を提供
富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
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