愛子先生の診察室便り

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春の訪れとメンタルヘルス:精神科医Marikoの視点から(2024年10月)- 愛子先生の診療室便り

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春の訪れとメンタルヘルス:精神科医Marikoの視点から
 

愛子先生と連携し、海外在住日本人向けに心理カウンセリングを提供している日本の精神科医/心理士の首藤まり子です。今月からまたしばらくは私が担当させていただきます。今回のテーマは、冬が終わりいよいよ春が訪れるこの時期のメンタルヘルスについてです。

はじめに
オーストラリアの10月は、冬に比べて日差しが増え、気温も徐々に上昇していきます。自然が彩りを取り戻し、春の到来が感じられる「芽吹と再生」の季節です。寒い冬の間に感じていた「閉塞感」や「内向的な気分」から解放されやすい時期でもあり、春は心のリフレッシュやリセットを促す良いタイミングであるように感じられます。

新しい行動を始めやすい季節: 冬との比較
冬は気温が低く、日照時間も短くなるため、一般的に夏と比較して多くの時間を室内で過ごす傾向にあります。そのため、自然と内向的な思考が強まり、自己を振り返ること(反省・内省)が多くなります。春は、日に日に暖かく外出もしやすい気候へと変化していく中、冬の間に得られた気付きをもとに、次のステップを考え、「新しい行動を始める季節」と言えるかもしれません。

不安定な天候が心身への負担となる季節
同時に、春はまだまだ気温や天気が揺らぎやすい不安定な季節でもあります。コロコロ変わる天気や乱高下する気温に適応しようと、自律神経ががんばりすぎた結果、疲れて消耗し心身の不調に繋がる場合があります。また花粉症の季節でもあり、それも怠さや眠気など、心身の不調の原因になる可能性があります。

焦りや不安を減らす「心の余白」
春は「新しい行動を始める季節」と述べましたが、かえって「何かを始めなければならない」「行動しなければならない」というプレッシャーを感じる方がいるかもしれません。但し、先述のように不安定な天候に負担を抱えやすい時期でもあり、無理は禁物です。プレッシャーや焦り、不安や不調を感じ始めた時の対処法として、あえて「心の余白」を作ることを試してみましょう。

【心の余白の作り方】
日々の中で「少しゆっくりした時間」「何もしない時間」を意識的に設けることです。例えば、朝の少しの時間(数分でも十分)を自分のことを振り返る時間にしたり、短い散歩やリラックスできる趣味に没頭することが助けになります。「心の余白」時間は、決して怠惰や自分を甘やかしているわけではありません。
心の余白から生まれる心の余裕が、かえって次に進むエネルギーを育みます。

まとめ
寒い冬を経て、暖かい春へと移ろう今の季節とメンタルヘルスの関係についてお話ししました。春は行動を起こしやすい季節ですが、同時に不安定な気候に合わせて気分も不安定になりやすい季節でもあります。何よりも大切なのは、ご自身の体調を崩さない程度、無理のない程度を心掛けることです。「心の余白」を日々の生活に取り入れて、心の余裕を失わないようにしましょう。どうしても不安やプレッシャーが強く、ご自身でコントロールができない場合は、一人で抱え込まず適切なサポートを求めて下さい。

MARIKO COUNSELLING
Mariko Shudo 精神科医/産業医/公認心理士(日本)
・MARIKO’s Wellness (HP)
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・お問い合わせ E: mariko@doctoraiko.com

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富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
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