愛子先生の診察室便り

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コロナ禍でのメンタルヘルス対策(2021年10月)- 愛子先生の診療室便り

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コロナ禍でのメンタルヘルス対策
 

メルボルンでは、世界一厳しく長いロックダウンが続いています。医学的には感染拡大を抑えるために不可欠ですが、慣れない生活スタイルが続くとメンタルの不調を感じることが出てきます。要因として考えられるのは、コロナ禍が収束しないことへの不安、仕事や生活に変化がある、人と会ったり話をする機会が減っている、外出や旅行の制限があるなど。ある調査では、コロナ禍で3割以上の方がメンタル面で不調を抱えているという結果が見られました。最近、不調を訴えて受診される方も増えています。まして、ここオーストラリアは母国ではなく日本と異なることで、ストレスがかかっていることも考えられます。

ストレスからくる不調って?
心身が健康に過ごすために役立っているメカニズムのひとつが、生まれつき備わっている‟体内時計“です。1日24時間の朝・昼・夜の繰り返しに合わせて、体調や行動を連動させ、計画的で安定したスケジュールで生活リズムが整っています。ところがコロナ禍では、いつもと違い”体内時計“は乱れがち。生活リズムも乱れ、そのストレスから不調が出てきます。
心理的には、ふさぎ込む、意欲の低下、イライラ、緊張、不安など。身体的には、高血圧、肩こり、動悸・息切れ、下痢・便秘、食欲不振、不眠、肥満など。行動的には、作業効率の低下、アルコールやたばこに依存、過食・拒食などがストレスに対する反応として見られます。  

ストレスは人生のスパイスと捉える
ただ、ストレスは必ずしも悪いことばかりではありません。適度なストレスは心を引き締め、仕事や勉強の効率を上げたり、心地よい興奮や刺激となり、ポジティブな影響を与えます。ですが、過度なストレスが続く時は、心身のダメージに繋がってしまうので、自分に合った対処法を見付けましょう。以下は上手に付き合う方法です。

① ストレッチや呼吸法など、自分に合ったリラクゼーション法を用いる。
② 自分なりに生活リズム・睡眠時間を工夫し、規則正しく整える。
③ 気が合う仲間と屈託のない話をする。話をすることで気持ちが解放される。
④ 緊張状態を持続させず、ブレークを入れる。
⑤ パーソナルスペースを用意する。職場などでも‟自分仕様”にできることをする。
⑥ 自然や日光に触れる時間を取る。
⑦ 適度な運動をする。
⑧ ストレス解消をお酒やたばこに求めない。
⑨ メンタルヘルスに対して偏見を見直す。心が弱いから病気になるのではない。

2週間以上いつもと違っていたら早めに受診を
コロナに負けない身体作りを心掛けて過ごしましょう。ストレスからくる不調は多岐にわたりますが、早期発見、治療が大切です。比較的変化に気付きやすく、メンタルの不調の初期から現れやすいのは「食べる、寝る、遊ぶ、考える」の変化です。「食べる<食欲の変化>」では食欲の増減、嗜好の変化など。「寝る<睡眠の悪化>」では寝付きが悪い、寝汗がひどい、何度も目覚めるなど。「遊ぶ<興味や楽しみの低下>」では趣味をしなくなる、興味がなくなるなど。「考える<思考力や集中力の低下>」では仕事が頭から離れない、考えがまとまらないなど。この4項目のうち、どれかひとつでも2週間以上続いているような場合は、受診をお勧めします。
また、普段何気なくできていること、例えば食事を作る、入浴、片付けなどができなくなっている時も要注意です。
対面式の診察ではなく、ビデオや電話での診察も可能です。とにかく自分の中で気持ちをため込まずに相談しましょう。掛かり付け医(GP)、臨床・社会心理士、カウンセラーが対応できます。元気なこころで、コロナ禍を乗り切りましょう。

 

Dr. Aiko Tomita Dr. Aiko Tomita Logo 一人ひとりに向き合った医療を提供
富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
W: doctoraiko.com
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T: 03 8102 5800(日本語直通・下記診療時間内)
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水 8:30-12:30
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