2024年9月3日にビクトリア州政府・健康省から、現在学生の間で百日咳の症例が増加しているので注意するようにという通達がありました。
この数年、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザに気を取られていて、百日咳などのワクチンアップデートが疎かになっている傾向もあるので、この機会に百日咳のおさらいをし、予防をしましょう。
感染増加の様子
「欧州や中国で百日咳が2023年12月頃から増加しているとイギリス医師会雑誌(BMJ)が通達し、日本では、2024年春頃に宮崎県で増えていることが確認されました。ビクトリア州では百日咳の症例が増加し続けており、2024年の百日咳症例数は2023年全体の10倍以上となっています。その中でも、9~12歳の子供の感染数は、症例全体の約40%を占めています。この増加は、最も脆弱な人々、つまり生後6ヶ月未満の乳児や免疫の低下した人達の症例増加に繋がるため、公衆衛生上の懸念事項となっています。
誰でも百日咳に感染する可能性があります。特に6ヶ月未満の乳児は、重症化、入院、死亡のリスクが最も高くなります。百日咳に感染する乳児の多くは、感染していることに気付いていない子供や大人から感染しています。
どんな病気?
百日咳は名前の由来通り、長く持続する咳が特徴です。
潜伏期間は7~10日。通常、乾いた咳、疲労感、鼻水、微熱などの風邪のような症状で始まり、1~2週間続くことがあります。その後、より深刻な咳が始まり、10週間以上続くことがあります。咳は出始めると、息を吸う時に甲高い「ヒューヒュー」という音(英語で“Whoop”という)がしたり、子供の場合は咳が出た後に嘔吐することもあります。
特に生後6ヶ月未満の乳児は、咳だけではなく、無呼吸 (呼吸が止まる)、チアノーゼ (顔が青ざめる)、摂食困難、息切れ、窒息などの症状が現れることがあります。成人では、必ずしも「ヒューという音が出るような咳ではなく、ただ単に長引く咳として現れることがあります。
百日咳は、主に咳やくしゃみの飛沫によって他の人に感染し、風邪のような症状が現れ、咳が始まってから21日間、または適切な抗生物質治療を5日間受けるまでの間、人に感染させてしまうことがあると言われています。百日咳にかかった人は、感染拡大を防ぐために他の人、特に乳児との接触を制限する必要があります。
予防接種で対策を
予防接種は百日咳のリスクを減らす最善の方法です。
ワクチン接種を受けた人も百日咳に感染する可能性はありますが、罹っても症状が軽度で、他の人に感染させる可能性も低くなります。
国家予防接種プログラム(National immunization Program)では、以下の人々に無料の百日咳ワクチンが提供されています。このプログラムで推奨する年齢時にワクチンを受けた履歴がない場合は、キャッチアップワクチンを受けることができます。キャッチアップワクチンは、20歳までの適格者にはワクチン代は無料で受けることが可能です。
また、無料ではないのですが、百日咳ワクチンは特に以下の人にも推奨されます。
- 家族に生後6ヶ月未満の乳幼児がいる場合、過去10年間に百日咳ワクチンを接種していない人。
- 4歳未満の子供をケアする保育士及び教育者、並びに医療従事者。
日本で子供の頃に百日咳の予防接種(三種混合ワクチン: 百日咳・破傷風・ジフテリア)を受けた人も10年すると免疫効果が低下しています。感染と合併症のリスクを減らすために、掛かり付け医に相談し、ワクチンアップデートを考えましょう。
普通に生活していると、免疫が低下している小さいお子さんや高齢の方、病気を患っている方に、いつどこで接触するか分かりません。この時期は季節の変わり目のため、花粉症と思っている症状も百日咳かもしれません。 迅速な診断・隔離・治療は感染を減らし、脆弱な乳児を守るのに役立つため、早く病院にかかることも肝要です。
一人ひとりに向き合った医療を提供
富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
W: doctoraiko.com.au
E: admin@doctoraiko.com 診療場所: MIDTOWN MEDICAL CLINIC メンタルヘルス サポートとして、経験豊富な精神科医首藤まりこ先生が、オンラインカウンセリングをしています。 |