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非居住者のための不動産とキャピタルゲイン税の基礎知識 (2022年10月)- もっと教えて 会計・税務のこと

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最低賃金とコンプライアンスについて
 
オーストラリア国税局(ATO)は、非居住者がオーストラリアに所在する不動産を売却する場合に考慮するべき2つの重要な点について、ガイドラインを発表しました。

Main Residence Exemption(所有者本人の住居への免税)
所有者が住居として住む不動産(Main Residence)を売却することにより、売却利益(キャピタルゲイン)が発生した場合、オーストラリアでは課税対象となりません。しかし、2020年7月1日以降、個人納税者がオーストラリアの非居住者である場合、この免税待遇を受けることができなくなりました。

例外として、非居住者であった期間が6年以下である場合には、次のライフイベントテストの条件を満たすことでMain Residence 免税を受けることは可能です。
・所有者、その配偶者、または所有者の18歳未満の子供が末期的な病状になった場合。
・所有者、その配偶者または18歳未満の子供が死亡した場合。
・婚姻や事実婚関係の破綻に伴う正式な合意により、キャピタルゲインが発生した場合。

免税の条件とライフイベントとの関係性が分かりにくいので、以下に例を挙げます。

Aさんご夫妻(永住権所有)は2015年3月5日にメルボルンに住居を取得し、決済後Main Residenceとしてその住居に住み始めました。Aさんご夫妻は、この不動産を購入した時点でオーストラリアの居住者でした。
2020年、2人は日本に住むために退職し、日本に新しい住居を購入しました。この時点で2人は外国人居住者となります。
2人はオーストラリアを離れた後、以前のメルボルンの住居を賃貸しました。2021年にAさんのご主人が死亡し、奥さんはメルボルンの住居を売却することを決定しました。
Aさんの奥さん は、外国人居住者としての期間が 6 年未満であり、外国人居住者としての期間中に配偶者が他界したため(ライフイベントが発生)、住宅を売却する際、Main Residenceであった期間については、キャピタルゲイン税の免税が適用されます。

CGT Discount
オーストラリアには、個人が資産を12ヶ月以上所有した資産を売却してキャピタルゲインが発生した場合、その利益の50%にのみ課税されるというキャピタルゲイン50%ディスカウントルールがあります。しかし、納税者が非居住者または暫定居住者で、不動産を2012年5月8日以降に取得した場合には、50%ディスカウントルールを適用することはできません。

以下のいずれかに該当する場合のみ、キャピタルゲインの一部に割引を適用することができます(市場価値のアプローチ)。
・資産を2012年5月8日以前に取得した場合。
・2012年5月8日以降にオーストラリアの税金上の居住者であった場合。

2012年5月8日時点の不動産の市場価値が、実際の売却額より大きければ、50%ディスカウントが適用されますが、反対に2021年5月8日時点の市場価値よりも実際の売却額の方が高いということであれば、所有期間中にどれだけオーストラリアの税金上の居住者であったか日数に応じて、ディスカウントのパーセンテージが算出されます。

従って、売却時に非居住者であったとしても、ディスカウントが適用されるケースもあるので、あきらめずに会計士にご相談下さい。

 

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 本記事は情報提供を目的としており、税務アドバイスではありません。
これをもとに生じた金銭、資産に対する損害に関しては、一切お受け致し兼ねます。