2023/10/20
発達障害シリーズ 第4回 学習障害（2023年10月）- 愛子先生の診療室便り
発達障害シリーズ 第4回 学習障害
日本からいらしたばかりで「うちの子は『学習障害』がある」とおっしゃる保護者の方が比較的多く見受けられます。お話を伺うと、皆さんの言う『学習障害』の意味合いは、「うちの子は勉強が嫌い・不得意ということが多いのに気付かされます。
医学的な『学習障害』とは?
『学習障害』を指す‟LD“は、Learning Disabilities、Learning Disorders、Learning Differencesの3つの略語、由来と言われています。 一般的に使う『学習障害』、教育的な観点から見る『学習障害』、そして医学的な立場での『学習障害』では、少しずつ異なった意味合いがあります。 教育的な場面で使われる『学習障害』は学習面で広い能力の障害を指しますが、医学的な『学習障害』は神経発達障害のひとつとして考え、知的能力障害とは全く異なる特異的な障害と認識されています。
過去には『学習障害＝精神遅滞・知的能力障害』と考えられていたこともありますが、現在では、学習障害を抱えている方の殆どが、知能は正常もしくは通常よりも高いことが知られています。
医学的に言う『学習障害』とは、知的発達の遅れや視覚・聴覚障害がないのにも関わらず、ある限局性領域の学習が著しく困難な障害を指します。学習障害で多いのは以下の太赤文字の3点です。
1. 読むことが困難 Dyslexia
2. 書くことが困難
3. 計算が困難 Dyscalculia
4. 話すことが困難
5. 聞くことが困難
6. 推論することが困難
学習障害は先天性の場合もありますが、成長過程や大人になってから発症することもあります。
原因は解明されていません。単に「読めない」「書けない」などと誤解されやすいのですが、本人の努力不足や怠けによるものではありません。
症状・障害から診断まで
読み書きの習得が遅れると、集中する持続時間が短くなるため注意散漫になり、いろいろとおろそかになりがちでミスが増え、結果的に叱られることや注意されることが多くなります。不得意なことに対する苦手意識が強くなることで自信を喪失し、不安症やうつ病、注意欠如・多動症を同時に発症してしまうこともあります。
そうならないためにも、小さい頃から、子供の特性を理解することが大事です。家庭生活、学校生活、学校の先生の話、友達との関係は、できる限り観察してあげて下さい。
大人の場合は、不得意なことをカバーするために問題の種が増えていく、努力してもうまくいかないと感じたら、是非、掛かり付け医（GP）に相談して下さい。
『学習障害』と診断されるには、学校に通っている場合は、心理士・学校が検査を行います。
大人の場合は、クリニックで心理士・掛かり付け医・精神科医による問診や検査をすることができます。
治療・対応方法
学び方・物事への対応方法は十人十色です。
『学習障害』を早期発見することによって、一人ひとりの認知特性に合わせた対応・学習支援を提供することができます。学習障害があるから特別な学習支援をするのではなく、それぞれのニーズに合わせ、カスタマイズした教育方法でサポートすることが目的です。特別扱いすることは、治療にはなりません。
まとめ
4回にわたる発達障害シリーズいかがだったでしょうか?
私は個人的に『発達障害』という表現が、あまり好きではありません。人には得意、不得意があるのが普通です。読むことを不得意とする人は、おそらくその不得意な部分をカバーする同等、またはそれ以上に特性のある領域があると考えます。『発達障害』を抱える人も抱えていない人も秩序を保った上で、広い視野を持ち、一人ひとりの特性を伸ばすことに要点を置くように、切り替えてく必要があるのではないでしょうか。
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 一人ひとりに向き合った医療を提供
富田愛子 Dr. Aiko（Tiarni）Tomita
W: doctoraiko.com
E: admin@doctoraiko.com 診療場所: MIDTOWN MEDICAL CLINIC メンタルヘルス サポートとして、経験豊富な精神科医首藤まりこ先生が、オンラインカウンセリングをしています。 |