愛子先生の診察室便り

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発達障害シリーズ 第1回 大人の発達障(2023年7月)- 愛子先生の診療室便り

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発達障害シリーズ 第1回 大人の発達障害
 

最近、自分または子供は発達障害なのではないか? という相談を受けることが多くあります。
今回から4回に分けて、大人の発達障害、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、学習症について考えたいと思います。

発達障害の3つの要因
発達障害は、先天的な脳の機能発達の偏りによって、コミュニケーションや対人関係などの日常生活に困難が生じる状態を指します。生まれ持った脳の特性のため、親の育て方や環境の問題で発症するわけではありません。

発達障害の概念には、以下の3つのファクターがあります。

  自閉スペクトラム症
(ASD)
注意欠如多動症
(ADHD)
学習症
(LD)
症状 ・コミュニケーションの 困難 “コミュ症”
・パターン化した興味
・強いこだわり
・偏見
・過度な感情(無感情・ 過敏)
・注意欠如
 不注意
 集中できない
・多動
 衝動的な行動
  ソワソワしている
・読み書きの困難
・計算などの困難
 
 
 

大人の発達障害
先天的な問題であるものの、子供の頃には発達障害の兆候が見過ごされることが多くあります。その理由の一つとして、子供時代は「ユニーク」という括りで、見らることがあるからです。大人になるにつれて、より高度で複雑なマナーやコミュニケーションが必要とされる場面が増えて困難を抱え、本人や家族が辛い思いをする傾向にあります。

子供の頃から両親・学校に注意されてきた、または子供の頃は特別な問題はなかったが、大人になってから周囲に馴染めず、失敗が多く、仕事や生活に支障が出るといったことが起きてきます。これが継続すると自己評価が下がってしまい、「どうせ自分は…」という悪いスパイラルのサイクルに入り、うつや不安障害などを二次的に発症することも多く見られます。

気付いたら早めに相談を
男性、女性、どちらも発達障害を発症するリスクはありますが、大人になってからは、男性の方が自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)と診断されやすい傾向にあります。

<自閉スペクトラム症(ASD)>
男性は症状が分かりやすいことが多いのですが、女性は元来男性よりもコミュニケーション能力が高いので、問題が表面化しにくいようです。女性ではASDの診断がつく前にうつや不安症、人格障害、という診断が出てしまうこともあります。

<注意欠如多動症(ADHD)>
大人では、男性、女性ともに多動が気になるというよりも、衝動症状の理由で診断されることが多くあります。仕事や生活面で集中力が持続できないことによるミスが続くことから、障害に気付くことが多くあります。

また、ASD/ADHDの両方の特性を持っている人、どちらかの傾向が強い人、どちらかの特性がある人など一人ひとり症状が異なります。そのため、カスタマイズされた治療やカウンセリングが必要となります。

もし、ご自身に思い当たる節がある、という方は、一度GP(一般開業医)/カウンセラーに相談するとよいでしょう。

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富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
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