愛子先生の診察室便り

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雷雨喘息(Thunderstorm Asthma)(2020年12月・2021年1月合併号)- 愛子先生の診療室便り

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雷雨喘息(Thunderstorm Asthma)
 
2016年11月から12月に掛けて、メルボルンとその周辺地域で、雷を伴う暴風雨による喘息患者が多発した「雷雨喘息」をご存知でしょうか? このため、死者10名、約3,400人が通院を余儀なくされました。
暴風雨で濡れたライグラスの花粉粒が弾けて飛び散らかり、人の肺の奥深くに微細な花粉が入り込んで呼吸困難・喘息を引き起こした事象です。
今春は、ラニーニャ現象により発生率が高いとされています。2016年のデータから死者・罹患者の約45%はインド・東南アジア系が占めていたので、ビクトリア州に住む日本人はリスクが高く、注意が必要です。
 
どんな人が気を付けるべきか?
この雷雨喘息発作に見舞われた患者の約3分の1は、これまでに喘息の症状がなかったと報告されています。殆どの人が自分のリスクを認識していません。くしゃみ肌の痒み・ピリピリ感目の充血・涙目鼻水鼻詰まり呼吸困難になりやすい咳が多くなる呼吸時にゼーゼー音がするなどの経験がどれかひとつあるだけでも、雷雨喘息を患うリスクが高いのです。
また、今までアレルギー症状がなくても、突然起きることがあります。メルボルンは、オーストラリアでは花粉症のメッカです。日本では花粉症がなくとも、メルボルンでは上記の症状が出る方も少なくありません。
 
対処法
雷雨喘息発作は突然起き、進行が早いです。COVID-19感染拡大防止のためにマスク着用が継続していることで、普段の喘息発作、アレルギー・花粉症の症状と違う感じ方をすることもあります。COVID-19もまだ油断できない状況で症状の見分け方も困難なため、上記の症状がある方は掛かり付け医にご連絡下さい。
症状がない方もご自身のリスク、必要に応じた適切な検査、予防・治療薬について相談しましょう。薬以外の予防策としてMelbourne Pollenなどのアプリをダウンロードし、ビクトリア州の雷雨喘息の警戒アラートを受け取ることも良い方法です。
 
Dr. Aiko Tomita Dr. Aiko Tomita Logo 一人ひとりに向き合った医療を提供
富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
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