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 ビザ審査の遅延による深刻な労働者不足問題

6月8日のThe Age紙では、ビザ審査の遅れによる労働者不足を取り上げ、COVID-19パンデミックによるダメージから再建しようとしているビジネスにとって、危機的な問題となっていることを伝えました。

外国人労働者の出国者数が入国者数を上回る
The Age紙の記事によると、2022年4月に8,970人のTemporary Skill Shortage・TSSビザ（サブクラス482）保持者がオーストラリアに入国しました。一方で、9,230人のTSSビザ保持者が出国しました。オーストラリアが国境を再開し、労働者不足を埋める政策を取っている中、260人のTSSビザ保持者がこの時点で流出していることになります。
オーストラリアには2014年6月時点で19万5,000人の外国人労働者がいましたが、2022年3月には96,000人まで減っています。外国人労働者の数は10年前に比べ、半減している状況です。

ビザ審査の遅れが原因
移民局は、現在オーストラリアで働くことを望んでいる14万人のスキル労働者の申請を受理しているが、COVID-19パンデミックの影響により、そのビザ審査期間が長引いていることを認めています。
実際に過去2年間に申請したTSSビザ（サブクラス482）、Temporary Work（Short Stay Specialist）ビザ（サブクラス400）、Training ビザ（サブクラス407）を含むビザ申請者の多くは、いまだに審査が終わるのを待っています。ビザが下りるまで18ヶ月以上掛かる場合もあります。
多くのスキル労働者のビザ申請が未処理になっている状況の中、雇用主は慢性的な労働者不足に陥り、その解決策が見付からなければ、ビジネスを閉めなければならないという状況まで追い込まれています。
オーストラリアでビザ審査を待ち続けている申請者にとっても、長引くブリッジングビザでの滞在は精神的負担になる場合があります。ブリッジングビザの保持者は国外渡航の制限があるため、オーストラリアから容易に出られない状況にあります。そのため、家族が過去1～2年間別々に暮らすことを強いられるケースもよく見られます。
専門家はこのビザシステムの「手詰まり状態」に関して移民局に警告しており、新しい移民大臣Andrew Giles氏は、この問題を最優先して取り組むことを約束しました。

容易に解決されない問題
残念ながら問題はここでは終わりません。移民局が早急に未処理のビザ審査に取り掛かっても、すぐに問題が解決されるとは予想されません。パンデミックの特別措置の状況下では、緊急に渡航しなければならない人、やむを得ない事情で出国しなければならない人、国に必要な物品やサービスの供給維持に不可欠な重要スキルを保持する人を優先的に審査しています。そのため、対象外のビザ申請者の審査期間は更に伸びる可能性もあります。
また、ビザが下りても、多くの労働者はまだオーストラリアに入国していないことも明らかになっています。
5月14日付のAustralian Financial Review 紙の記事では、12月15日の国境再開以降、約7万人にワーキングホリデービザが発行されましたが、その内25,000人程しかオーストラリアに入国していないことが伝えられています。これは有効なビザを保持している約45,000人が、まだ海外に留まっているということになります。
COVID-19パンデミックは、すべての生活面において私達にさまざまなチャレンジをもたらしました。オーストラリアの移民プログラムもこの例外ではなく、パンデミックが大きなダメージを与え、まだ余波が残っている状態にあります。深刻な労働者不足の解消には、まだ時間が掛かりそうです。

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Andy Ellen【 アンディ・エレン】
（Registered Migration Agent, MARN 0962018)

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