
「Skills in Demand(SID)」ビザを分析
2024年12月7日から、従来のビジネススポンサービザであった「Temporary Skill Shortage (TSS)」ビザ(サブクラス482)は「Skills in Demand(SID)」ビザと名称が変更されました。
この変更に関する概要については、2024年12月の記事「 ビジネススポンサービザへの変更 」で紹介しました。
そこで今回は、この新しいSIDビザの簡単な概要と、今後の見解と注意点をまとめたいと思います。
3つのストリーム
SIDビザには3つのストリームがあります。
1. 「スペシャリスト・スキル」ストリーム(Specialist Skills Stream)
最低年収が135,000豪ドル以上の専門職、管理職向け。
2. 「コア・スキル」ストリーム(Core Skills Stream)
最低年収が73,150豪ドル以上で「コア技能職業リスト(Core Skilled Occupation List, CSOL)」に含まれる職業が対象。
3. 労働協定ストリーム(Labour Agreement Stream)
オーストラリア政府と雇用主の間で締結された労働協定に基づいて承認された海外労働者が対象。
今後の見解と注意点
1. 留学生へのメリット
ビザ申請に必要な職務経験が2年から1年に緩和されたことにより、留学生は卒業生ビザ期間中にスポンサーを見つけやすくなります。
2. 永住権の取得が容易に
SIDビザ保有者はビザ取得から2年後に永住ビザ(ENS 186 Visa)の申請が可能になります。
以前は、永住ビザを申請するために同じ雇用主のもとで2年間働く必要がありましたが、現在は「関連する職業」でも申請できるようになりました。またスポンサーとなる雇用主はSIDビザ申請の雇用主と違う雇用主でも認められます。
3. TSSビザ保持者の方は早めに永住ビザの申請を
現行の職業リスト(CSOL)に載っていない職業でビザを取得した人は、ビザの延長ができない可能性があるため、現在のビザの期限が切れる前に永住ビザを申請した方が良いでしょう。
4. 雇用主への影響
永住権取得の条件が緩和されたことで、雇用主にとっては不利に働く可能性があります。雇用主が多大な費用をかけて海外労働者を採用・スポンサーした後、競合他社にその労働者を引き抜かれるリスクが高まります。
今回の変更で新しいSIDビザは、労働者にとってはより良い制度となりました。ただ雇用主にとってはリスクと負担が増す可能性があります。今後このビザ制度がどのように利用されるか注目が集まります。
ビザに関するご質問は Kabo Lawyers までお問い合わせください。
Andy Ellen【 アンディ・エレン】
(Registered Migration Agent, MARN 0962018)
KABO LAWYERS (カボー法律事務所)のシニア移住コンサルタント。
ビザ、法律に関するご相談に経験豊富なスペシャリストが対応します。
日本人スタッフによる日本語サポートあり。
相談先 E: Yuki.Nomura@kabolawyers.com(日本語)
E: andy.ellen@kabolawyers.com(英語)
T: 03-9663-3337 T2, Level 23, 360 Collins St, Melbourne