日豪の農業専門家がお届けする、コラム「マイ・ベジパッチ」
今回のテーマは、
【野菜の美容力】
毎朝のサラダで本当に美しくなれる? 「健康そうな食生活」に潜む落とし穴
「美容のために、毎朝サラダを食べています。」
そんな人は少なくありません。
野菜には、ビタミン、ミネラル、食物繊維、ポリフェノールなど、美しい肌や健康な身体を維持するために欠かせない栄養素が豊富に含まれています。
しかし、本当に見直すべきなのは野菜ではありません。
野菜と一緒に、毎日何を口にしているのか。
そこに、美容を左右する大きな違いがあります。
サラダ=健康とは限らない
サラダそのものは健康的です。
しかし、市販のドレッシングをたっぷりかけた瞬間、その一皿は「野菜中心の食事」から「加工度の高い食品を含む食事」へ変わることがあります。
スーパーで市販されているドレッシングの原材料表示を見たことはあるでしょうか。
商品によって異なりますが、次のような原材料が並んでいることがあります。
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原材料 |
主な役割 |
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植物油脂 |
コクや口当たりを良くする |
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砂糖・果糖ぶどう糖液糖 |
甘味を付ける |
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食酢 |
酸味や風味を付ける |
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食塩 |
味を整える |
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調味料(アミノ酸等) |
うま味を補う |
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乳化剤 |
水と油が分離しないようにする |
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増粘剤 |
とろみを付ける |
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pH調整剤 |
品質や保存性を安定させる |
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酸化防止剤 |
油の酸化を抑える |
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香料 |
香りを整える |
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保存料 |
保存期間を延ばす(使用されない商品もあります) |
もちろん、すべてのドレッシングが同じではありません。
しかし、美容のために毎日食べるサラダに、野菜だけではなく、このような加工された原材料も毎日加えていることは、一度立ち止まって考えてみる価値があります。
美容は腸から始まる
腸は「第二の脳」とも呼ばれています。
腸には全身の免疫細胞の多くが集まり、数多くの腸内細菌が共生しています。これらは消化だけでなく、免疫、代謝、炎症など、私たちの健康を支える重要な役割を担っています。
近年では、腸内環境と肌の状態との関係についても多くの研究が進められています。
さらに、超加工食品や一部の食品添加物については、腸内細菌叢や腸のバリア機能への影響を調べる研究が世界中で進められています。特に一部の乳化剤などでは、腸内環境への影響が報告された研究もあり、現在も活発な研究が続いています。
だからこそ、美容を考えるなら、高価な化粧品やサプリメントを増やす前に、毎日食べ続けている食品そのものを見直すことが大切です。
「野菜を食べているから安心」ではありません。
野菜と一緒に、毎日何を食べ続けているのか。
それが、美容と健康を左右する大きな分かれ道になります。
カット野菜は便利。でも、それだけに頼らない
忙しい毎日の中で、カット野菜はとても便利です。
しかし、カット野菜は畑で収穫した野菜をそのまま袋に詰めたものではありません。
一般的には、
- 収穫
- 切断
- 洗浄
- 殺菌
- 脱水
- 包装
- 冷蔵流通
という工程を経て店頭に並びます。
洗浄や殺菌は食中毒を防ぐために重要な工程ですが、カット野菜は「収穫したての野菜」ではなく、「加工工程を経た野菜」であることも事実です。
また、野菜は切られた瞬間から酸化が始まり、洗浄工程では水溶性ビタミンなどが一部失われる可能性もあります。
便利さは大きな魅力ですが、美容を第一に考えるなら、時間に余裕がある日は丸ごとの野菜を購入し、自分で洗い、自分で切る習慣を取り入れることをおすすめします。
「オリーブオイルなら安心」と思っていませんか
「ドレッシングは使わないから安心。」
そう考えて、オリーブオイルを選ぶ人も増えています。
しかし、ここにも落とし穴があります。
オリーブオイルなら何でも同じではありません。
スーパーには、「オリーブオイル入り」や「オリーブオイル使用」と表示された商品も多く並んでいますが、それらが100%オリーブオイルとは限りません。
さらに、オリーブオイルそのものにも品質や製法の違いがあります。
エキストラバージンオリーブオイルは、一般的に化学的な精製や高温での精製工程を経ずに作られるため、オリーブ本来の香りやポリフェノールなどの成分が比較的多く残っています。
一方、精製オリーブオイルは品質を均一にするための精製工程が行われ、その過程では加熱を伴う場合もあります。そのため、エキストラバージンオリーブオイルと比べると、風味やポリフェノールなどの成分は少なくなります。
購入するときは、パッケージのイメージだけではなく、必ず原材料表示を確認してください。
原材料が「食用オリーブ油」のみで構成されていること。
そして、できればエキストラバージンオリーブオイルを選ぶことをおすすめします。
「健康そう」という印象だけで選ぶのではなく、「どのように作られ、何が入っているのか」を確認する習慣が、美容と健康を考えるうえで大切です。
私がおすすめするシンプルな食べ方
野菜は、本来それだけで十分おいしい食材です。
私がおすすめするのは、
- 良質な天然塩を少量
- レモンを少し
- 酢を少し
- 良質なエキストラバージンオリーブオイルを少量
という、とてもシンプルな食べ方です。
豪州は海に囲まれた国です。
海水由来の天然塩も比較的手に入りやすく、野菜本来の甘みや香りを引き立ててくれます。
複雑な味付けをしなくても、素材そのもののおいしさは十分に楽しめます。
美容は「足し算」ではなく「引き算」
美容というと、多くの人は「何を食べればいいのか」を考えます。
しかし、本当に大切なのは、「何を足すか」ではなく、「何を減らすか」です。
加工度の高い食品を減らす。
原材料が複雑な食品を減らす。
素材そのものを味わう。
原材料表示を見る習慣をつける。
毎朝のサラダは、美容にとって素晴らしい習慣です。
しかし、そのサラダを本当の意味で美容食にするかどうかは、野菜だけでは決まりません。
何を一緒に食べるか。
その選択が、未来の肌と健康を少しずつ変えていくのです。
筆者紹介:
今林丈二
農業ビジネスに従事後、2011年に渡豪。三菱ケミカルとビクトリア州政府による植物工場プロジェクト、日本品種いちご生産プロジェクト、都市型農業スタートアップ立ち上げなど、日豪間のアグリテック事業に参画。2025年に帰国し、現在は東京を拠点に、豪州農業企業の日本市場開発をはじめ、日豪間の農業ビジネスをつなぐ活動に従事している。
共同通信グループNNAオーストラリア発行の農業専門誌「ウェルス」で、「オーストラリアで始める農業ビジネス!」を好評連載中。

