
オーストラリア在住の農業専門家がお届けする、コラム「マイ・ベジパッチ」
今回のテーマは、
「米」は日本人の味方!― 美容と健康を支える伝統食の魅力
日本人の体質に合う食材とは?
今回は日本の食文化に焦点を当て、美容と健康の視点から「米」についてお話しします。特に、最近のヘルスブームやアンチエイジングの観点から、米がどのように日本人の体質に適しているか、その理由を探ります。また、じゃがいもを主食とする新たな健康的な食生活の提案もご紹介します。
オーストラリアに住む私たちにとって、小麦は日常の食卓に欠かせない主食です。パンやパスタ、ケーキなど、小麦が中心の食文化に影響されやすいものです。しかし、たとえ海外に住んでいても、私たち日本人の体の仕組み、特に内臓のつくりは変わりません。そのため、主食として米が身体に合うことを意識することが大切です。特に欧米人と多くの時間を共に過ごし、食事の機会が増えると、小麦を摂取することが多くなりますが、日本人の体質のルーツを忘れず、意識して選択することが望ましいかもしれません。
戦後の食文化の変化と健康への影響
戦後、日本では欧米から小麦が大量に輸入され、それに伴いパンや麺類といった小麦製品が急速に普及しました。この食文化の変化により、日本人にとって馴染みのなかった成人病やアレルギーが増加したとされる研究データもあります。小麦に含まれるグルテンが、腸内環境に影響を及ぼし、消化不良や体重増加を引き起こす可能性があるとも考えられています。
一方、日本の伝統食である米は、長い間、日本人の健康を支えてきました。米は低GI (食後の血糖値の上昇を示す値) 食品であり、血糖値の急上昇を抑える効果が期待され、体に優しい食材とされています。また、米は消化吸収が良く、栄養価も高いため、健康的な選択肢として考えられます。
日本の伝統食と健康
日本人の体質に合った食生活の中心には、米があります。長い歴史を通じて培われたこの伝統食は、健康を維持するためのバランスが取れた食材です。特に、米には必須アミノ酸が豊富に含まれており、栄養面でも優れています。さらに、米はアレルギーを引き起こしにくく、消化が良いことから、胃腸に優しい食品です。
欧米人と日本人の内臓の違い
興味深いことに、欧米人と日本人では、内臓の構造や機能に違いが見られます。日本人は長い歴史の中で米を主食としてきたため、米を消化しやすい体質が形成されていると考えられます。さらに、日本人の腸は欧米人に比べて長く、これは草食動物に近い特徴とされています。この構造により、穀物や野菜などの食物を効率的に消化できるとされています。一方、欧米人は小麦を中心とした食生活が長く続いており、小麦の消化に適した体質を持っているとされます。この違いは、食生活の習慣と密接に関連していると考えられます。
じゃがいもを主食とする新たな提案
小麦、米、ジャガイモの栄養成分の比較
※美容メリットとして注目すべきは、ジャガイモのみビタミンCが豊富に含まれている点。
出所:Healthline(小麦、ジャガイモ)、Medical News Today(米)
美容と健康を意識する現代人にとって、じゃがいもは注目すべき食品です。ビタミンCやカリウム、食物繊維などが豊富で、肌の健康を保ち、体内のバランスを整える効果があります。また、じゃがいもは低カロリーでありながら満腹感を得やすく、ダイエットにも役立つ食品です。
さらに、じゃがいもは日本人の食文化にも取り入れやすく、米や小麦に代わる主食としての可能性を秘めています。例えば、じゃがいもを使った料理はバリエーションが豊富で、毎日の食卓に彩りを添えます。じゃがいもは、米や小麦と同様の栄養素を含みながらも、美容に特化した効果を持っているため、現代女性のニーズに応える食品と言えるでしょう。
まとめ
健康と美容を両立させるためには、日本の伝統食である米を見直すことが大切です。そして、新たな食生活の提案として、じゃがいもを主食とするアイデアも検討する価値があるかもしれません。
皆さんも、ぜひ日々の食生活に米やじゃがいもを取り入れて、内側から輝く美しさを目指してみてください。
筆者紹介:
今林丈二
豪州在住の農業ビジネス専門家。日本で農業ビジネスに従事後、2011 年に渡豪。
三菱ケミカルとビクトリア州政府が共同運営する植物工場プロジェクトや、現地企業が運営する日本いちご栽培プロジェクトに参画。Bisnis Asia のコンサルタント(農業分野)としても活躍中。現在はオーストラリア発祥の植物工場スタートアップのマネジャーとして、農業ビジネスの最前線にいる。
共同通信グループNNAオーストラリア発行の農業専門誌「ウェルス」で、「オーストラリアで始める農業ビジネス!」を好評連載中。