〇 マイ・ベジパッチ・オーストラリア 〇

室内の鉢栽培からベランダ栽培、
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オーストラリア メルボルン農業エキスパートによる野菜のお話し色々、
「マイ・ベジパッチ」

海外生活で日本人に最も多い体調トラブル 美容と健康を同時に守る、野菜と果物の新常識! ""

  

 

オーストラリア在住の農業専門家がお届けする、コラム「マイ・ベジパッチ」

 

 

今回のテーマは、

 

 

 

海外生活で日本人に最も多い体調トラブル

美容と健康を同時に守る、野菜と果物の新常識!

 

オーストラリアでの生活は、豊かな自然、開放的なライフスタイル、多国籍な食文化など、たくさんの魅力にあふれています。一方で、日本とはまったく異なる気候や食生活、生活リズムに適応する過程で、知らず知らずのうちに体と肌に負担がかかっている人も少なくありません。

特に、外食やテイクアウェイが続いたり、水分摂取が少なくなったりすると、朝起きた瞬間から疲れが残る、鏡を見るたびに肌の調子が違うと感じるなど、日本にいた頃との変化を体がはっきり伝えてくるようになります。

実際にオーストラリア在住の日本人に多く見られるのは、命に関わる大きな病気よりも、下痢や便秘、慢性的な疲労、肌荒れ、睡眠の乱れといった「日常的に繰り返す不調」です。最初は軽い違和感でも、それが当たり前の状態になってしまいやすいのが海外生活の特徴です。そして、この小さな不調の積み重ねが、将来的な体調変化や老化の進行に影響する可能性もあります。

日本人旅行者や海外駐在員を対象とした医療データでも、海外で医療機関を受診した理由の中で、下痢や腹痛などの消化器系トラブルが多いことが報告されています。短期滞在、長期滞在を問わず、海外生活において「腸」は影響を受けやすい部位の一つといえそうです。

今回はこの傾向を土台に、オーストラリア在住の日本人に比較的多く見られる体調トラブルを五つの柱に整理し、日々の買い物と食事で無理なく実践しやすい、野菜と果物を取り入れる工夫を、栄養の視点から分かりやすく解説します。

 

1

●消化器系トラブル(下痢、便秘、腹痛、腸内環境の乱れ)

オーストラリア在住の日本人に比較的多く見られる体調トラブルの一つが、下痢、便秘、腹部膨満感、腹痛といった消化器系の不調です。外食やテイクアウェイ中心の食生活、肉や乳製品が多い食事、野菜不足、水分不足などが重なると、腸内環境は乱れやすくなります。

 

特に、日中あまり水を飲まない生活が続くと、便秘と下痢を繰り返しやすくなる傾向も見られます。

 

腸の不調は、体調全体のバランスに影響するだけでなく、肌の調子やすっきり感にも関係してくることがあります。腸の状態は、体の内側のコンディションを映す一つの目安ともいえそうです。

 

また、オーストラリアの乾燥した気候の中で起こりやすい脱水、低食物繊維の食事、高脂肪・高塩分の食生活は、腹部の不調が出やすくなる要因の一つとも考えられています。腸内環境の乱れが続くこと自体が、体調管理を難しくする土台になってしまう場合もあります。

 

実践食材

ブロッコリー、キャベツ、にんじん、オクラ、レンズ豆、ひよこ豆

りんご、キウイ、バナナ、ブルーベリー

A pile of beans and chickpeas

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これらは現地スーパーで一年中手に入り、サラダやスープに加えるだけで使いやすいものばかりです。腸の調子が整ってくると、体の軽さや肌の見え方に変化を感じる人もいます。

 

2

●生活習慣病の悪化と血糖トラブル

オーストラリアでは、日本よりも一皿の量が多く、パン、パスタ、フライドポテト、加糖飲料など、糖質と脂質が多い食事になりやすい傾向があります。その結果、血糖値の変動が大きくなったり、体重が増えやすくなったりする人も少なくありません。

 

こうした内側の変化は、顔のむくみ、皮脂バランスの乱れ、肌のハリの低下、フェイスラインの印象など、見た目にも影響することがあります。

 

血糖の安定とコンディション管理を意識する食材

豆類、葉物野菜、ブロッコリー、アボカド

りんご、洋梨、ベリー類

A broccoli on a white background

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果物はジュースではなく、できるだけ丸ごと食べることで、食物繊維や抗酸化成分も同時に取り入れやすくなります。

 

3

●ビタミン・ミネラル不足による体調不良と肌トラブル

加工食品や外食中心の生活が続くと、ビタミンB群、鉄、カルシウム、マグネシウムなどが不足しやすくなることがあります。こうした栄養素が不足すると、疲れやすさ、肩こり、抜け毛、爪の割れ、肌の乾燥といった変化を感じる人もいます。

 

実践食材

チンゲンサイ、ケール、ほうれん草、大豆製品、ごま、ナッツ類

柑橘類、キウイ、マンゴー

A mango cut in half and a mango cut in half

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これらを日々の食事に少しずつ取り入れることで、日本にいる時に近い栄養バランスに近づけていくことができます。

 

4

●睡眠の乱れと自律神経の不調

時差、生活リズムの乱れ、仕事の緊張、英語環境でのストレスは、自律神経のバランスに影響しやすく、不眠、食欲の変化、慢性的な疲れにつながる場合があります。夜に頭が冴えて眠りにくい、朝の立ち上がりが重いと感じる状態が続くと、回復力そのものが落ちていきます。

 

自律神経の乱れは、肌のターンオーバーにも関係し、変化の感じ方に影響することがあります。

 

睡眠と心のコンディションを支える食材

バナナ、キウイ、ナッツ類、葉物野菜

 

5

●免疫力の低下と感染症による体調不良

オーストラリア在住者の中には、風邪をひきやすくなった、治りにくくなった、体調を崩しやすくなったと感じる人もいます。乾燥した気候、冷房の強い室内、職場や学校での人との接触、睡眠不足、ストレスなどが影響する場合もあります。

 

免疫のバランスが乱れると、風邪に加えて、口内炎ができやすくなったり、肌荒れが長引いたりすることもあります。

 

免疫とコンディション管理を支える食材

パプリカ、ブロッコリー、にんじん、ほうれん草、にんにく

キウイ、オレンジ、グレープフルーツ、ベリー類

A group of carrots on a white surface

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●日本にいる時と変わらないコンディションを保つための実践ルール

オーストラリアにいても、日本と同じような体調や肌の状態を目指すために大切なのは、完璧な食事を続けることではありません。次の三つを意識するだけでも、日々のコンディション管理につなげやすくなります。

 

一日一回は生の野菜か果物を取ること。

食事の最初に野菜を食べること。

三日に一度は豆類か発酵食品を意識すること。

 

さらに、赤、緑、黄、紫の野菜や果物を一週間の中で自然に取り入れていくことで、抗酸化成分のバランスも整えやすくなります。

 

オーストラリアでの生活は、体と肌の管理の仕方によって、日々の調子に差が出やすい環境でもあります。特別なサプリや極端な食事制限に頼るのではなく、毎日の野菜と果物を意識した食生活は、日本人の体質に合った美容と健康の土台を作る上で、大切な要素の一つといえます。

 

生活の場がどこであっても、食卓を少し整えることが、日本にいる時と変わらない自分に近づくための一つの方法になっていくはずです。

 

●本文に登場した 全食材まとめ表

分類

食材

腸内環境

ブロッコリー、キャベツ、にんじん、オクラ、レンズ豆、ひよこ豆、りんご、キウイ、バナナ、ブルーベリー

血糖と生活習慣

豆類、葉物野菜、ブロッコリー、アボカド、りんご、洋梨、ベリー類

ビタミン・ミネラル

チンゲンサイ、ケール、ほうれん草、大豆製品、ごま、ナッツ類、柑橘類、キウイ、マンゴー

睡眠と自律神経

バナナ、キウイ、ナッツ類、葉物野菜

免疫

パプリカ、ブロッコリー、にんじん、ほうれん草、にんにく、キウイ、オレンジ、グレープフルーツ、ベリー類