〇 マイ・ベジパッチ・オーストラリア 〇

室内の鉢栽培からベランダ栽培、
家庭菜園、そして大型野菜工場まで、
オーストラリア メルボルン農業エキスパートによる野菜のお話し色々、
「マイ・ベジパッチ」

美容と健康に驚くべき野菜 !?「赤いちごの驚くべき美容パワー」 ""

  


オーストラリア在住の農業専門家がお届けする、コラム
「マイ・ベジパッチ」

今回のテーマは、

美容と健康に驚くべき野菜「赤いちごの驚くべき美容パワー」

赤いいちごはアンチエイジングの一番の味方?いちごって野菜?

 みなさん、いちごが果物なのか野菜なのか考えたことはありますか?

園芸学的には木の実は" 果物 "、草の実は" 野菜 "と分類されるため、いちごは“野菜”に分類されます。
ただし私たちが普段果物として楽しんでいることから、「果実的野菜」とも呼ばれています。
いちごは見た目の可愛らしさだけでなく、美容と健康にとっても重要な役割を果たしているのです。

 

日本とオーストラリアのいちごの甘さの違い

 まず、日本のいちごとオーストラリアのいちごの違いについてご紹介します。
日本で売られているいちごは非常に甘くデザートとしても楽しめる一方で、オーストラリアのいちごは少し酸味が強いと感じたことがあるでしょう。
これは、いちごの品種と栽培方法の違いに由来しています。

 

日本のいちごの糖度は、オーストラリアのいちごに比べて23倍も高いと言われています。
これは、日本のいちごが「短日性品種」であるためです。
短日性品種とは、日照時間が短い時期に育つ植物のことで、いちごは冬から春にかけて栽培されます。
一方オーストラリアのいちごは「長日性品種」で、春~夏の日照時間が長い時期に育つものです。

 

糖度の違いは、温度と光合成の影響によります。
日本の冬の気候は冷涼でいちごがゆっくりと成長するため、糖分が蓄積されやすいのです。
一方オーストラリアの温暖な気候ではいちごが急速に成長し、糖分の蓄積が少なくなります。
また日本では温度管理や光量調整が細かく行われ、いちごの糖度を高めるための工夫がされています。
例えば夜間の温度(
10℃以下)を低く保つことで、糖分の代謝を抑え、果実に糖分を蓄えさせる方法です。

 

いちごの赤さとアンチエイジング効果

 では、いちごがなぜ赤いのかご存知でしょうか?
その理由は、いちごに含まれるアントシアニンという色素です。
このアントシアニンは、強力な抗酸化作用を持ち、私たちの体内の活性酸素を中和してくれます。
活性酸素は細胞を傷つけ老化を促進する原因の一つですが、アントシアニンはこれを防いでくれるのです。

 さらにいちごにはビタミンCが豊富に含まれています。
みかんやグレープフルーツの約
2倍のビタミンCを含んでいます。
ビタミン
Cはコラーゲンの生成を助け、肌のハリを保つために欠かせない栄養素です。
ビタミン
Eも含まれており、これらのビタミンが協力して肌を若々しく保つ手助けをしてくれます。

 いちごに含まれるもう一つの重要な成分が、ポリフェノールです。ポリフェノールは、抗酸化作用が高く、体内の炎症を抑える働きがあります。これにより、肌の老化を防ぎ、健康な状態を維持することができます。特に、いちごに含まれるアントシアニンは、ポリフェノールの一種で、抗酸化作用が強いことで知られています。

 

いちごの食べ方と注意点

いちごの栄養を最大限に引き出すためには、できるだけ新鮮な状態で食べることが重要です。
いちごは傷みやすい果物なので、購入後は早めに食べるようにしましょう。
またビタミン
Cは水溶性で熱に弱いので、生で食べるのが理想です。

 

いちごは洗いすぎるとビタミンCが流れてしまうため、軽く水で洗う程度にします(残留農薬量による)。洗った後は、すぐに食べるようにしましょう。

 

まとめ

 いちごは美容と健康にとって非常に有益な食材です。
特に日本の甘い品種のいちごは、ビタミン
Cやアントシアニンを豊富に含んでおり、アンチエイジングに効果的です。
オーストラリアのいちごも、その酸味がサラダやスムージーにぴったりで、日々の食事に取り入れやすいですね。
いちごを積極的に食事に取り入れることで、内側からのケアを大切にし健康で美しい肌を保ちましょう♪

 

 

 筆者紹介: 

 今林丈二

 

 豪州在住の農業ビジネス専門家。日本で農業ビジネスに従事後、2011 年に渡豪。

 

三菱ケミカルとビクトリア州政府が共同運営する植物工場プロジェクトや、現地企業が運営する日本いちご栽培プロジェクトに参画。Bisnis Asia のコンサルタント(農業分野)としても活躍中。現在はオーストラリア発祥の植物工場スタートアップのマネジャーとして、農業ビジネスの最前線にいる。

 

共同通信グループNNAオーストラリア発行の農業専門誌「ウェルス」で、「オーストラリアで始める農業ビジネス!」を好評連載中。