愛子先生の診察室便り

患者さんの健康上の気掛かりになることをお便りしていきます。

蚊による感染症を防ぐ(2022年12月)- 愛子先生の診療室便り

 愛子先生の診療室便り

蚊による感染症を防ぐ
 

実は、蚊に刺されることが原因で発症する感染症が、オーストラリアでも毎年報告されています。

日本脳炎はそのうちのひとつ
日本脳炎もウイルスを持った蚊に刺されることで発症します。
感染経路は、豚などの動物の体内でウイルスが増殖し、その豚を刺した蚊が人を刺すことによって人に感染します。
まれではありますが、重篤な脳の炎症を起こす可能性のある病気です。

日本脳炎は、今まで東アジア、南アジアで確認されていましたが、過去数年は東インドネシア、パプアニューギニア、トレス諸島以外にも広がりつつあります。
2021年暮れから2022年秋頃に掛けて、ビクトリア州、ニューサウスウェールズ州、南オーストラリア州、クイーンズランド州で感染した人、豚が確認されました。12月の現時点では、ビクトリア州で日本脳炎感染の報告はされていません。

症状と治療法
日本脳炎感染者の99%の人は、無症状や軽症のことが多いのですが、まれに発熱、頭痛、嘔吐などの症状を起こすことがあります。
・ひどい頭痛
・首・背中の痛み
・光が異常に眩しく感じる
・混乱
・まひ
・昏睡
上記のような症状は、蚊に刺されてから5~15日後に発症すると言われています。

残念ながら日本脳炎専用の薬はありません。そのため、症状を抑える薬のみの使用となります。

ワクチン接種について
日本脳炎の予防に関しては、ワクチン接種が効果的です。日本脳炎のワクチンの在庫が減り、一時まったく入らない状況が続いていましたが、現在は下記のような特別地域・状況下にある接種資格を満たしていれば受けることが可能です。

<罹患するリスクの高い地域と状況>
1. 北ビクトリア州在住、または、
2. マレーリバー周辺在住、
かつ、
A. アウトドアで過ごすことが多い。
B. 洪水など水が溜まる環境・近くで生活している。
C. 豚に接する業務や生活をしている。

現在メルボルンで入手可能の日本脳炎ワクチンは、生ワクチンのIMOJEV、そして不活性ワクチンのJSPECTです。JESPECTはIMOJEVの使用が適切ではない場合のみ推奨されます。日本で使用されている「ジェービックV」「エンセバック皮下注用」 とは異なります。

蚊に刺されないように工夫を
オーストラリアで見られる蚊を媒介とする感染症は、日本脳炎のほか、ロスリバーウイルス、バーマ森林ウイルス、マリーバレー脳炎などが挙げられます。

蚊による感染症を防ぐ最も効果的な予防策は、まずは蚊に刺されないこと。そして蚊が繁殖する状況を除去することです。

今年の春夏は降雨量が大変多く、蚊も大変多く発生しています。虫除けスプレーの塗布、長袖の着用、網戸や蚊取り線香などの使用、家の周囲に蚊が発生しやすい水たまりを作らないなど、ご自身やご家族が蚊に刺されないような工夫をしましょう。

Dr. Aiko Tomita Dr. Aiko Tomita Logo 一人ひとりに向き合った医療を提供
富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
W: doctoraiko.com
E: admin@doctoraiko.com

診療場所: MIDTOWN MEDICAL CLINIC
Level 4/250 Collins St, Melbourne
T: 03 8102 5800(日本語直通・下記診療時間内)
月 8:30-16:30
水 8:30-12:30
金 9:30-16:30
土(隔週)9:00-12:00
詳細はWebサイトでご確認下さい。
 

テレヘルスでの診察が可能な場合は、ビデオ・または電話での診察をお勧めしております。