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税金以外の贈与の影響 (2022年3月)- もっと教えて 会計・税務のこと

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税金以外の贈与の影響
 
オーストラリアには、贈与税や相続税はありません。亡くなった人の資産に対して課税される税金(Death Duty)は、1978年に廃止されました。しかし、誰かに贈与(Gifting)をするにあたって、気にしなければならないのは、税金だけではないことを皆さんはご存知ですか?


贈与する側に影響の出ることが・・・
贈与は、贈与する側の現在、または将来受け取る老齢年金(Age Pension)や、そのほかの社会保障給付に影響を及ぼす可能性があるので、気を付ける必要があります。

国からの老齢年金を受け取る条件のひとつとして、その人がどれだけの資産を持っているのかが問われます。資産テスト(Asset Test)の金額は、受給者が独り身なのか、カップルなのか? 持ち家があるのか、ないのか? などにより異なります。また、持ち家以外の資産が多くなると、その金額によっては受給額が減少し、資産の上限を超えた場合には、老齢年金をまったく受け取ることができなくなります。

ここで多くの人が考えるのが、資産テストの対象となる資産を減らすために、資産を子供や家族、友人に贈与することです。一定の範囲内での贈与は、老齢年金の受給額を若干増やすことができるため、有効な戦略と言えます。しかし、この制限を超えると、贈与した資産を実際には保有していなくても、一定期間、贈与が自分の資産として扱われる可能性があります。

贈与の許容範囲は?
贈与額に上限はありませんが、年金を増やすためだけに資産を贈与することを防ぐため、一会計年度(7月から翌年の6月)で$10,000、5年間で$30,000を超える贈与は、見なし資産として扱われてしまいます。贈与した日から5年間は、年金のための資産と所得のテストの対象となるのです。

例えば、老齢年金受給テスト対象となる資産が$800,000ある、老齢年金を受給している夫婦がいるとします。この夫婦が、老齢年金受給額を増やすために、資産を減らそうと考え、孫に$200,000を住宅預金として贈与した場合、最初の$10,000の贈与は、「老齢年金受給のための贈与額」の許容範囲内となりますが、残りの$190,000の贈与は、依然としてこの夫婦の資産として考慮されます。このため、Service Australiaは、$790,000を、老齢年金受給テスト対象の資産を持っていると見なすので、老夫婦の年金受給額は殆ど変わらないことになります。

贈与をしてから5年後に、見なし資産は、Service Australiaの資産テストの対象とは考えられなくなり、ほかの要因(所得など)に変化がなければ、年金受給額が増加する可能性はあります。

オーストラリアの不動産価格上昇率は、2021年で22%という驚異的な記録が報告されています。贈与することで、ご自身の資産をお子さんの役に立てたいという思いと、年金受給額を天秤に掛けてバランスを見る必要があります。
こういった贈与のこと、年金やスーパーアニュエーションなど、お金に関連することは、会計士にご相談いただくと安心ですよ。

 

 

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 本記事は情報提供を目的としており、税務アドバイスではありません。
これをもとに生じた金銭、資産に対する損害に関しては、一切お受け致し兼ねます。