ちょこっと まめ知識

知っておくとためになる、少し役に立つ雑学集

ちゃんと知りたい使いたい 調味料

 ところ変われば調味料も変わる…。スーパーへ行ったものの、日本との品揃えの違いに何を買っていいのか分からず、思わぬ失敗をしてしまった覚えが誰でもあるはず。日本にはないもの、種類が多すぎて選び方が分からないものなどなど。そこで今回は、スーパーで見掛ける基本的な調味料を集めて、その違いを調べてみた。それぞれの違いを知って、料理の幅を広げよう!!


 塩は「精製塩」と「自然(天然)塩」に大きく分けられる。精製塩はその製造過程でミネラルなどの成分は残っていない。海水、岩、湖などから採れる自然塩は、塩化ナトリウムの純度が低く、ミネラルが豊富に含まれている。また、オーストラリアの食生活には不足しがちなヨウ素が添加されたiodized、されていないnon-iodizedがある。

Table Salt テーブル ソルト

 自然塩を高温加熱して作った最も一般的な塩、食卓塩。さらさらしていて溶けやすく塩味も強くないため、どんな料理にも使える。自然塩に比べて安価だが、殆どがiodizedであるほか、防湿、漂白などが添加されている。

Sea Salt シー ソルト

 海水の水分を蒸発させて作ったもので、テーブルソルトのように精製されていない。ヨウ素は少ないが、ミネラルを多く含んでいて、まろやかな味わいがあるものが多い。料理の仕上げに振ると、テーブルソルトとは違った味わいに。

Flaked Salt フレーク ソルト

 海水、湖水の水を蒸発させて作る。脆いフレーク状なので溶けやすく、味が際立つ。塩気と風味が強いので、薬味や、特に肉料理の仕上げに振るのが効果的。コリオ、ミルデュラ、ピラミッドヒルは有名産地として知られる。

Rock Salt ロック ソルト

 海水が地殻変動などで閉じ込められ、水分が蒸発して結晶化し地中で圧縮されてできた塩の塊。ミネラルが多く含まれ、塩気は強いながらも旨味がある。地中の有機物によって、さまざまな色がある。

Lake Salt レイク ソルト

 世界の限られた地域(イスラエルの死海やボリビアのウユニ湖など)でしか採れないため、スーパーマーケットでは殆ど見掛けることはない。柔らかな苦みと甘味が特徴で、料理のほか、美容用品にも使われている。

 粒、粗挽き、粉末と、その形状によって使い方や味、香りも違う香辛料の代表。かつては貨幣としても取り引きされていた貴重なコショウも、今では店頭で迷うほど種類が豊富。“日本独自”と言われる日本のコショウでは味わえない、コショウの魅力を見付けよう。

Black Pepper ブラック ペッパー

 熟す前の緑色のコショウの実を皮付きのまま乾燥させたもの。辛味,香りが強く、辛味成分が肉の臭みを消し、脂質などの酸化抑制の効果もある。風味の強い料理や食材、特にステーキに適している。

White Pepper ホワイト ペッパー

 赤く成熟したコショウの実を水に漬け、柔らかくなった果皮を取り除いて乾燥させたもの。ブラックよりマイルドで上品な香りが特徴。白身魚やホワイトシチューなどの色や風味が淡白な素材や料理に合う。

Green Pepper グリーン ペッパー

 赤く完熟する前の緑の実を収穫、乾燥、フリーズドライ、または塩漬けしたもの。マイルドで爽やかな香りと強い辛味があり、肉・魚料理のほかソースやドレッシングに。色がきれいなのでトッピングにも。

Pink Pepper ピンク ペッパー

 赤く完熟してから収穫し、外皮をはがさずにそのまま使用している。刺激的な辛さはなく、かすかな甘みと酸味があるので、デザートとの相性がとても良い。加熱すると色落ちするので彩りとして最後に。

 砂糖はサトウキビやテンサイの抽出液を原料に、濃縮、結晶化、分離などの工程を経て、さまざまな種類が作られる。世界的にはホワイトシュガーが主流。ちなみに、日本の上白糖は、原料を加熱生成して取れたショ糖に、加水分解された転化糖(ショ糖、果糖、ブドウ糖)がまぶされており、日本独特の砂糖となっている。

<粒状>

White Sugar ホワイト シュガー

 店頭で最も一般的に売られている食卓用砂糖。日本でいうグラニュー糖のことで、ショ糖に加工を加える前の段階のもの。さらさらしていて味にクセがないのでコーヒーや紅茶をはじめ、保存食、砂糖の歯触りを残したい焼き菓子に適している。

Castor Sugar キャスター シュガー

 ホワイトシュガーを更に細かくしたもの。風味がなく溶けやすいので、メレンゲ菓子、バタークリーム、冷たいスイーツや飲み物に適している。焼き菓子に使うと外側がより柔らかな歯ごたえになる。スーパーファインとも呼ばれる。

Pure Icing Sugar ピュア アイシング シュガー

 粉砂糖のこと。ホワイトシュガーをすり潰してふるったもの。固まりやすいのでコーンスターチが加えられたものも。水分を吸収しやすいので、飾りには専用のSnow Icingを

Brown Sugar ブラウン シュガー

 ホワイトシュガーにモラセス(Molasses: 糖蜜)を加えたもので、しっとりしている。ダーク(Dark)はライト(Light)よりも色が濃く、モラセスの風味が強い。フルーツケーキやジンジャーブレッドなど、しっとり感と歯ごたえを残したい焼き菓子に

Raw Sugar ロー シュガー

 サトウキビからモラセスを除いて砂糖を結晶化した後に残ったもの。微かなキャラメルの風味があり、粒が荒いのでパイやケーキ、ビスケットなど、焼き菓子の焼成前のトッピングに。ホワイトシュガーよりも栄養価が高いと誤解されやすい。

Demerara Sugar デメララ シュガー

 サトウキビの抽出液から水分を蒸発させてできた大きめな薄茶色の粒で、モラセスが付着していることから若干粘り気がある。自然なキャラメル風味があり溶けにくいので、さくさくした食感を楽しみたい焼き菓子に

<液状>

Corn/Glucose Syrup コーン/グルコース シロップ

 トウモロコシを原料とする甘味料で、砂糖の代用として清涼飲料やアイスクリームなど加工食品に幅広く使われている。口当たりを良くしねっとりした歯ごたえを与えるので、ファッジやソースなどに使われる。但し、生活習慣病の原因になるとして使用規制のある国も。

Golden Syrup ゴールデン シロップ

 砂糖の精製過程で、サトウキビからできる褐色の糖蜜。キャラメルやバタースコッチのような風味で、ハチミツほどクセがない。フラップジャックやアンザックビスケットに使われることで知られているほか、グレイズドハムなどにも。

Maple Syrup メープル シロップ

 サトウカエデなどの樹液を濃縮して作られる、パンケーキでお馴染みの天然甘味料。透明の樹液を煮詰めることで褐色になり、樹液の収穫時期や色、風味、糖分、沈殿物の有無などで等級が付けられる。粘度は少なくさらっとしている。

Honey ハチミツ

 ミツバチが花から採取した蜜を、体内の酵素で果糖とブドウ糖に分解してできた天然甘味料。色や風味は蜜を採取した花の種類によって違うが、スイーツから料理まで幅広く使える。マヌカはニュージーランド産の抗菌力のあるハチミツ。

 小麦を挽いて粉にしたのが小麦粉で、小麦の種類によって違うタンパク質(グルテンを形成)の含有量で分類される。タンパク質が多い(12~14%)ほど弾性と粘性が高く、歯ごたえが強くなり、逆に少ない(7~9%)ほどグルテンが弱く軽い口当たりになるので、目的によって使い分けたい。

<小麦粉類>

All purpose Flour(Plain/ Self-Raising) オールパーポス フラワー

 オーストラリア、欧米で最も一般的な小麦粉で、どんなものにも使える(タンパク質含有量10~12%)。日本でいう中力粉。“Self-Raising”とあるものは膨張剤と塩が入っているので、ベーキングパウダーがなくても焼き菓子にそのまま使える。

Bakers/Strong Flour ベーカーズ/ストロング フラワー

 硬質小麦を原料としていて、タンパク質含有量が12~14%と多いので、パンやパスタ、ピザ、餃子の皮といった弾力のある食品に適している。粉は粗くクリームに近い色で、比較的サラサラとしている。日本でいう強力粉。

Biscuit/Cake/Soft Flour ビスケット/ケーキ/ソフト フラワー

 日本でいう薄力粉に近い。軟質小麦を原料とし、タンパク質の含有量が7~9%と低いので、クッキーやケーキはもちろん、天ぷらや唐揚げなどさっくりと仕上げたいものに最適。粒子が細かくダマになりやすいので、ふるいが必要。

Whole Wheat Flour (Plain/ Self-Raising) ホールウィート フラワー

 小麦を殻ごと挽いた小麦粉で茶褐色をしている。日本では全粒粉として売られており、皮と胚芽が入っているため、栄養価が高く、香ばしい風味と歯ごたえのある食感がある。膨張剤が入ったSelf-Raisingもあり、焼き菓子やパンなどに

Rye Flour ライ フラワー

 ライ麦から作られた粉で、使用部位によって色が違う。グルテンを作る成分が少ないため、例えばライ麦パンはどっしりとした口当たりになる。サワードウに見られるよう独特の風味があり、全粒粉と混ぜて使われることが多い。

<小麦以外の粉類>

Arrowroot アロールート

 日本名は葛ウコン。グルテンフリーなので小麦粉の代替品として使われている。コーンスターチ同様にとろみ付けに使われるが、低温でとろみが付くうえ、味や冷凍への影響も少なく、より透明感を保てる。

Cornflour/Starch コーンフラワー/スターチ

 オーストラリアでは、欧米でのコーンスターチ(トウモロコシから作られたでんぷん)もコーンフラワー(種皮と胚芽を除去し胚乳を精製したできた粉なので本来は別物)として売られている。とろみ付けや小麦粉のグルテン軽減に

Potato flour/Starch ポテトフラワー/スターチ

 フラワーは火を通したジャガイモを乾燥させて粉末にしたもの、スターチはジャガイモのでんぷんを乾燥させて作った、小麦・グルテンフリーの白い微粒粉。どちらもとろみ付けに使われ、スターチは仕上がりが透明になる。日本の片栗粉と同じ使い方ができる。

Rice Flour ライスフラワー

 精白された白米を粉にしたもの。餅や和菓子として日本では古くから親しまれているが、近年では小麦の代わりのグルテンフリー食品として、パンや焼き菓子、ソースなどに使われいるほか、揚げ物にも

Tapioca タピオカ

 キャッサバイモの根茎から取れたデンプンの水分を蒸発させて粉末にしたもの。グルテンフリー食品として、とろみ付けやお菓子、つなぎとして使える。モチモチとした食感で、冷えても固まりにくい。

 価格競争が原因で減少していると言われるオーストラリアの牛乳生産量。牛乳以外にも、アーモンド、ココナツ、大豆、米など、日本では見掛けないほどの種類が数多く並ぶ。また、牛乳を原料とする生クリームも種類が豊富なので、料理からお菓子まで幅広い用途に合わせて選びたい。

<牛乳類>

Full-cream Milk フル クリーム ミルク

 国内牛乳市場の半分以上を占め、Australia New Zealand Food Standards Codeによって、脂肪分3.2%以上のものと定められている。子供には最適な飲料と言えるが、大人の場合は脂肪分が多いので常飲は避けたい。

Light/Low-fat/Reduced-Fat ライト/ローファット/レデューストファット ミルク

 殆どの製品が1.3~1.4%の脂肪分で、1.5%を超えてはいけないと定められている。スキムミルクが加えられたものが多いため、味わいがまろやかでカルシウム含有量が高い。子供から脂肪が気になる大人に。

Skim Milk スキム ミルク

 脂肪分0.15%以下で風味や舌触りが薄いため、ラクトースやプロテインのような乳固形分が加えられ、味を調整しているものもある。製造過程で糖分が加えられているが(ラクトース)フルクリームより糖分は少ない。

Butter Milk バター ミルク

 牛乳からバターを作るときに出た残りの液体のこと。牛乳より脂肪分が少なく低カロリー。さわやかな酸味と甘い風味が特徴で、重曹と反応してふわふわで高さが出るため、スコーンやパンケーキに使われる。

<クリーム類>

Pure/Pouring/Single Cream ピュア/ポーリン/シングル クリーム

 牛乳から作られた、脂肪とたんぱく質が濃縮した液体。乳脂肪分は35~50%で、凝固剤などの添加物は入っていない。液体状なので料理から泡立てまで幅広く使えるが、泡立てにはThickendよりも時間が掛かる。

Double/Rich/Thick Cream ダブル/リッチ/ティック クリーム

 脂肪分が少なくとも48%以上で、凝固剤は添加されていない。料理に混ぜると塊ができるので、最後にのせたり添えたりする方が良い。沸騰させるとクリーム状がなくなり、沸騰させると過ぎると分離する。

Thickened Cream ティックンド クリーム

 脂肪分が35%程度。ゼラチンなどの凝固剤が添加されていることで、泡立てが容易で分離しにくい。ケーキのデコレーション、ムース、アイスクリームに。Reduced Fatもあるが、脂肪分が18%程度で、ソースや料理には適しているが、泡立てには適さない。

Sour Cream サワー クリーム

 生クリームに乳酸菌を混ぜ、常温で長時間温めたもの。独特のさわやかな酸味があり、生クリームより口当たりが軽くさっぱりとしている。カレー、シチュー、ボルシチなど料理の仕上げに。脂肪分18%前後のlightもあり、状態がなめらか。

Cream Fraiche クレーム フレーシェ

 乳酸を加えて熟成させたサワークリームの一種。脂肪分は38~48%あり、サワークリームよりも粘度が高く酸味も少ないが、脂肪分は多い。加熱しても塊にならないため、煮込み料理の仕上げに重宝。

 食用油 (油脂) は、風味の違いはもちろん、含まれる脂肪酸 (飽和脂肪酸: 心血管疾患との関連性が高い。一価/多価値不飽和脂肪酸: 心血管疾患のリスクを避ける。トランス脂肪酸:血液疾患のリスクを高める) による健康への影響も違う。脂肪酸の種類も考えながら油選びをしよう。

Canola Oil キャノーラ オイル

 原材料はセイヨウアブラナ。一価不飽和脂肪酸が多く、全食用油の中で最も飽和脂肪酸が少ない油のひとつ。心臓に優しいオメガ3を含む。クセがない。どんな料理にも

Sunflower Oil サンフラワー オイル

 ビタミンEが豊富で飽和脂肪酸が少なく、コレステロール値を下げる働きがある。風味が殆どないのでどんな料理にも使える。

Vegetable Oil ベジタブル オイル

 通常はキャノーラと大豆油の混合。目安として、100g当たりの飽和脂肪酸含有量20gのものを。どんな料理にも

Extra Virgin Oil エクストラ ヴァージン オイル

 オリーブの一番搾りだけで作られている。最も心臓に良いとされる一価不飽和脂肪酸を含んでいる。特有の旨味と香りがある。生食に

Light Olive Oil ライト オリーブ オイル

 オリーブの二番搾りで、エクストラ・ヴァージンよりもマイルド。色と風味が軽いだけで、熱量はエクストラと同じ。生食に

Rice Bran Oil ライス ブラン オイル

 米の胚芽が原料。ビタミンE、一価/多価値不飽和脂肪酸豊富。他の植物由来油に比べ、飽和脂肪酸を最も多く含む。劣化しにくいので揚げ物に

Almond Oil アーモンド オイル

 一価不飽和脂肪酸の含有量が高く、飽和脂肪酸が比較的低いため、心臓に優しい。強いナッツの風味と後味がある。生食、ソテーに

Coconut Oil ココナッツ オイル

 ココナッツが原料で、近年、ビーガンを中心に人気がある。但し、その90%が飽和脂肪酸なので、極力使用は避けたい。そのまま飲用、料理に

Peanut Oil ピーナッツ オイル

 一価不飽和脂肪酸を適度に多く含み、飽和脂肪酸を比較的多く含む。ほのかなピーナツの香りがある。アレルギーに要注意。揚げ物に

Macadamia Oil マカダミア オイル

 一価不飽和脂肪酸の含有率が非常に高いが、多価不飽和酸は比較的少ない。高価で非常に強いナッツの風味と後味がある。

Walnut Oil ウォルナッツ オイル

 くるみの種子を圧縮して採取される。強いナッツの風味で、すべての食用油の中で最も飽和脂肪酸が少ないもののひとつ。酸化しやすい。

Sesame Oil セサミ オイル

 胡麻の種子から採れる。強いナッツの味で高温料理に適している。中華料理でよく使われる。種子の焙煎の度合いで色が濃いものから透明なものまである。

Avocado Oil アボカド オイル

 アボカド果肉から作られ、一価不飽和脂肪酸、ビタミンA, D, Eが豊富。緑色でマイルドな風味と後味。料理の風味を損なわない。そのまま飲用、料理に

Grapeseed Oil グレープシード オイル

 多価不飽和脂肪酸が豊富。LDLコレステロールが低いだけでなく、HDLコレステロールを増やす。ビタミンEが豊富。生食向け

Flaxseed/ Linseed Oil フラクシード/リンシード オイル

 亜麻仁 (アマニ) 油。亜麻の種子が原料で、心臓に優しいオメガ3を多く含む。近年、日本でも注目されている。加熱には不向き。

Corn Oil コーン オイル

 トウモロコシの胚芽から抽出する。飽和脂肪酸も一価値不飽和脂肪酸も比較的少なく、マーガリンに使われる。加熱には不向き。

参考: https://www.sugar.org/ | https://honeybee.org.au/ | https://www.dairy.com.au/ ほか

(2018年8月号 Dengon Net)