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新会計年度、7月からの変更事項 (2022年6月)- もっと教えて 会計・税務のこと

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新会計年度、7月からの変更事項
 
5月の連邦政府選挙では、労働党が9年振りに政権を奪回しました。新政府の元で、さまざまな新案が発表されていくと思いますが、前政府において、既に可決された予算案がいくつかあります。今回は、2022年7月から実施される変更事項をピックアップしてご紹介します。


事業主に関連するもの
1)SG率引き上げ
2022年7月1日から、従業員の給与に対して積み立てるSuperannuation Guarantee(SG)が、現在の10%から10.5%に引き上げられます。毎年0.5%ずつ増加し、2025年7月に12%まで引き上げるのが狙いです。
従業員と取り交わしている雇用契約により、SG上昇の意味は異なってきます。雇用契約書に、従業員の給与が「総報酬(パッケージ)」(基本給+SG及びそのほかの手当)ベースであると記載されている場合、従業員の手取りは0.5%減少する可能性があります。総報酬のうちスーパーアニュエーション基金に充当される割合が多くなるからです。しかし、基本給にSGを加えた報酬の場合、手取りは変わらず、0.5%の増額分がSGの支払いに追加されます。

2) $450 SG非課税額撤廃
これまでは、月に$450未満の給与について、雇用主は従業員に対してSGを積み立てる義務はありませんでした。しかし、2022年7月1日より、$450上限が廃止され、18歳以上の従業員については、給与額にかかわらず、SGを支払う必要があります。この変更に対応できるような給与システムを構築しておくことが重要で、不用意にスーパーアニュエーションの支払いが不足することがないようにしましょう。
なお、18歳未満の従業員については、週30時間以上勤務した場合のみ、SGが支払われます。

3)小規模事業者の分割納税の引き下げ
オーストラリアでは、事業所得や投資所得に対しては、年度内にPAYG Instalmentと呼ばれる分割予定納税を課しています。前年度の税申告の結果を元に、翌年度の納税額を予想し、その額を4回に分けて前払いさせ、税申告の際に納税額を調整する仕組みです。税申告の結果の納税額が予定納税合計額よりも上回れば差額を納税、下回れば還付がされます。また、GSTについても、年間の予定GST納税額を予想し、4回の分割払いをし、年度末に調整することができます(分割払いができる事業の条件があります)。
通常、GSTとPAYGの分割払いの金額はGDP調整、またはアップリフトと呼ばれる上昇率を使用して調整されます。2022-23年の所得年度では、政府はこのアップリフト係数を、従来適用していた10%ではなく、2%に設定しました。2%のアップリフト率は、以下の条件を満たす中小規模事業にのみ適用されます。
● GSTの分割払いの場合、年間総売上高が$1,000万まで。
● PAYG分割払いの年間総売上高が$5,000万まで。
この変更により、事業主にとっては、キャッシュフローの管理がしやすくなると思われます

個人の納税者に関連するもの
4)住宅ローン保証制度の延長
住宅保証制度は、対象となる購入者の住宅ローンの一部を保証するもので、これにより、少ない頭金で住宅を購入し、金融機関の住宅ローン保険を利用することなく、住宅を購入することができるようになります。また、一戸建て住宅購入者に対しては、25,000件(年間 35,000 件)、一人親家庭に対しては 2,500 件(年間 5,000 件)の保証が追加される予定です。

スーパーアニュエーションに関連するもの
5)就労テスト廃止 - 75歳未満のスーパーアニュエーションへの拠出が可能に
現在、67歳以上の方のスーパーアニュエーションへの積み立てには、就労テストが適用されています。 就労テストにおいては、会計年度内の30日間に少なくとも40時間、有給で雇用されていることが条件となります。2022年7月1日以降、就労テストは廃止されます。75歳未満の個人は、就労に関係なくスーパーファンドに自己積み立て、または給与からの天引きによる積み立てができるようになります(積立額の上限キャプやファンドの残高ルールは従来通り適用)。
しかし、積み立てたスーパーを、タックスリターンにおいて節税の目的で利用する場合(積み立てたスーパーをタックスリターンにおいて経費として利用すること)には、就労テストにパスする必要があるので、ご注意下さい。

このほかにも、60歳以上が対象となるDownsizer Contributionと言って、自宅を売却して得たお金をスーパーファンドに積み立てるルールや、First Home Buyer Saver Schemeなどにも変更があります。ご興味のある方は、お問い合わせ下さい。

 

 

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