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オーストラリア連邦政府2022/23年度予算案、解説 (2022年4月)- もっと教えて 会計・税務のこと

 

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オーストラリア連邦政府2022/23年度予算案、解説


3月29日に発表された2022/23年度連邦政府の予算案は、間近に控えた総選挙への票を考慮した内容であると言われています。さまざまな措置が発表されていますが、個人や事業主の皆さんに直接影響しそうなものを今回はまとめてみました。詳細については、当所のHP(「2022/23年度豪州連邦政府予算案」)をご覧下さい。
 


一番注目を浴びているのは、短期的ではありますが、国民の生活費高騰への対策として掲げられた下記の措置でしょう。
 

1)燃料への物品税を暫定的に減額
政府は、予算案発表の夜から6ヶ月間、ガソリンと軽油に適用される物品税と物品税相当額の関税を一時的に50%引き下げます。現在、1リットルあたり44.2セントの物品税が、半額の22.1セントになります。この減税は、航空機燃料を除く、そのほかのすべての燃料及び石油をベースとした製品に適用されます。2022年9月28日に減税期間が終了すると、物品税及び物品税相当額の関税率は、以前の税率に戻ります。

2)低・中所得者税金控除拡大
低中所得者税金控除(The low and middle income tax offset =LMITO=「ラミントン」というニックネームが付いています) は、現在、納税者の課税対象となる所得が$126,000までであれば、最大で$1,080となっています。2021/22年度については、$420引き上げられ、新税率は、以下の表のようになります。

課税所得 税金控除
$37,000以下 $675
$37,001~$48,000 $675+$37,000を超える額1ドルに対して 7.5 セント(最大で$1,500)
$48,001~$90,000 $1,500
$90,001~$126,000 $1,500-$90,000を超える額1ドルに対して 3 セント

3)$250の生活費補填
1回限りではありますが、政府より生活費の補填として$250が支給されます(非課税)。対象者は年金受給者、介護者、退役軍人、求職者、自費退職者、コンセッションカード所有者など、センターリンクからの支払いを受けている人達に支給されます。$250の一時金は4月に自動的に支払われる予定です。



このほかに、住宅価格高騰や住宅不足への対策として、これまでにもあった住宅保証制度延長も予算案に組み込まれました。
 

4)住宅保証制度延長
住宅保証制度は、対象となる購入者の住宅ローンの一部を保証するものです。これにより、少ない頭金で、金融機関の住宅ローン保険に加入することなく住宅を購入することができるようになります。政府は、2つのタイプの住宅保証制度延長と、新たに地方住宅保証制度を既に導入しています。

First Home Guarantee: 初めて住居を購入する人への住宅保証を、新築・中古住宅10,000件から35,000件に増加 。
Single Parent Family Home Guarantee: 毎年5,000件の保証を行います。シングルマザーまたはシングルファーザーが家族の住む家を購入する場合対象となります。2%の頭金で新築住宅を建てたり、中古物件を購入することができます。初めて住宅を購入する人も、以前から住宅を所有している人も利用できます。
Regional Home Guarantee: この保証は、過去5年間住宅を所有していない人が対象です。地方や農村部において、5%の頭金で住宅を購入または新築する機会を提供します。以前から住宅を所有している人も対象で、10,000件が提供されます(可決されることが条件)。



5)テクノロジー費が120%経費に
中小企業が携帯型決済機器、サイバーセキュリティーシステム、クラウドベースのサービスへの加入など、デジタル化を支援するための事業経費や、減価償却に掛かる支出について、実際の費用の120%(1.2倍)を経費と認める方針です。この支援は、年間総売上高が5,000万ドル未満の中小企業が対象となり、年間で10万ドルの支出上限が適用されます。

6)訓練やトレーニングに費やす金額が120%経費に
小規模事業を対象に、従業員に対する外部研修の費用について、実際に費やした金額の120%(1.2倍)を経費と認める方針です。この措置は、年間総売上高が5,000万ドル未満の小規模事業主が対象となります。外部研修コースは、オーストラリアで登録している事業によって実施される必要があり、オーストラリア居住の従業員がコースまたはオンラインで受講することが条件となります。

但し、社内研修や職場で実際の業務に取り組みながら行うトレーニング、従業員以外の外部研修への支出は除外されます。 この取り組みの詳細については、今後の発表待ちですが、従業員の雇用とトレーニングプログラムとの間に関連性があることが必要だと考えています。

今回の予算案が、5月(現時点では詳しい日程は未定)の総選挙に吉と出るか凶と出るか、どちらでしょう?
 

 

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 本記事は情報提供を目的としており、税務アドバイスではありません。
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