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税務上の記録の保管について (2022年1月)- もっと教えて 会計・税務のこと

 

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税務上の記録の保管について
 
新しい年を迎え、まずは身の回りをすっきり、仕事始めに記録整理をしようと思います。というわけで、今回は、税金・会計上の観点から、「記録の保管」についての情報を、皆さんと共有します。 

ATO対応

申告されたタックスリターンは、明らかな間違いや申告漏れがない限り、大抵の場合2週間ほどでオーストラリア国税局(ATO)により査定がされ、Notice of Assessment(査定書)が納税者に対して発行されます(個人以外の会社などの納税者には、査定書は発行されません)。しかし、ATOは、査定書を発行した後にも、申告書を一定期間内に精査し直し、必要があれば訂正できる法的権利を持っています。

精査期間は、単純な申告内容である場合、査定書が発行されてから2年間、より複雑な内容である場合は4年間です。ATOが開始した精査が4年以内に完了しない場合、精査期間を延長することもあります。なお、租税回避行為(不正や脱税行為)が見られる場合には、精査期間は4年間となります。 

精査の経過で、税申告書の内容について、ATOから質問があったり、資料を提出するようにという要請を受ける場合もあります。ここで、記録を保管していれば、すぐに対応することができ、嫌な思いをせずに済みます。

保管期間
では、どのぐらいの期間、記録を保管しておく必要があるのでしょうか? ATOについては、基本的には5年間とされていますが、いつから数えて5年間であるのかは、統一されていません。下記に主なケースをご説明します。

1) 個人の納税者である場合には、税金の申告をした日から5年間は、記録の保管をしなければなりません。
2) 事業を行っている納税者の場合には、大抵、記録を作成・取得した時、または取引に関連する行為を完了した時から5年間保存する必要があります。
3) ATOの審査に異議申し立てを起こしている場合には、その件が解決した日から5年間の記録も必要とされています。
4) 納税者が個人でも事業主でも、資産(不動産、株、事業上の固定資産など)を保有している場合には、その資産を取得して売却、破棄、または譲渡するまでの間、すべての記録を保管しておく必要があります。それに加えて、資産を売却や譲渡したことにより発生する利益(キャピタルゲイン)の記録については、通常、最終取引日(売却や譲渡)から5年間保存する必要があります。

また、保管期間などの規則は、各政府機関により異なるのでご注意下さい。例えば、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)は、企業に対して7年間の記録保存を義務付けています。

良い記録とは?
事業においては、ATOは、「良い記録」として、下記のような条件を挙げています。

• すべての取引が説明できること。取引の日付、金額、取引の性質(例えば、販売、購入、賃金、レンタル)及び関連するGST情報、目的、当事者の関係など。
• 個人使用とビジネス使用を明確に分ける。
• 電子化したものでも紙であっても、文書にて記録。
• 記録は英語であること、英語でなければ、容易に説明できる状態であること(オーストラリア国外で発行されたインボイスの場合など)。

また、ATOは、紙より電子による記録保管を勧めています。特に事業主には、会計ソフト導入を奨励しています。確かに、このコロナ禍において、リモートで仕事をする人達が増えたので、一ヶ所に保管してある紙の記録よりは、電子化した記録であれば、どこからでもアクセスできます。電子化した記録の保管が、より一層必要になりましたね。それには、パスワードを掛けるなどのセキュリティ上の工夫も必要です。
 

 

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 本記事は情報提供を目的としており、税務アドバイスではありません。
これをもとに生じた金銭、資産に対する損害に関しては、一切お受け致し兼ねます。