わかりやすいビザのおはなし

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テンポラリービザ保持者の労働状況改善(2024年5月)- わかりやすいビザのおはなし
 

Visa Title テンポラリービザ保持者の労働状況改善

テンポラリービザ(Temporary Graduate Visa)保持者の労働状況改善に向けて、移民改革法(雇用者のコンプライアンス強化)が2024年2月20日に承認されました。施行は2024年7月1日からです。この法律は、テンポラリービザ保持者からの労働搾取を抑制し、そのような行動を取る雇用者に責任を課すことが目的として導入されています。以下に、今回の変更事項をまとめます。

テンポラリービザ保持者に対する変更
ビザ保持者が、労働条件に違反することを禁止する移民法第235条が廃止されます。この目的は、搾取されている労働者が移民局に報告しやすくするためです。
移民局は今後、テンポラリービザ保持者を雇用することが禁じられているすべての雇用主のリストを公開する予定です。ビザ保持者が不正な雇用主の下で仕事することを防ぐためです。
移民局は、今後テンポラリービザ保持者のビザの保有を検討する際、ビザ保持者が雇用主に労働搾取されていたか否か、それを重大な要素として考慮し、ビザの取り消しをするかどうかの判断をします。

雇用主及びその他の関係者に対する変更
今後、ビザの労働条件の違反を雇用者が強制したり圧力をかけたりすることは違法となります。罰金、また今後テンポラリービザ保持者の雇用を禁止するなどの厳しい罰則が適用されます。
この変更は、仕事の直接的な業務だけでなく、すべての「仕事に関連する取り決め」を対象としています。

例)
・危険な労働条件
・不適切または安全でない社宅や寮の提供
・セクシャルハラスメント
・派遣会社による労働搾取

労働搾取の一例
Aさんはオーストラリアに最近やって来た留学生です。学期が始まる前に、しばらくアルバイトを探してみましたが、なかなか難しかったので派遣会社を通して仕事を探してもらいました。この際、Aさんは学生ビザ条件のため、学期中は2週間に48時間以上働くことはできないと派遣会社に説明しました。
派遣会社はAさんの労働条件を理解し、雇用主との契約を手配し、Aさんは規定以内の時間数で働きました。2ヶ月後、Aさんは派遣会社から別の雇用主との追加契約を受け入れるよう依頼されました。もしこの追加契約を受け入れたら、Aさんは2週間に48時間以上働くことになります。Aさんはビザ条件に違反したくないため、派遣会社の要求を丁寧に断りました。 翌月、Aさんは派遣会社のディレクターから性的なアプローチをされました。Aさんがそのアプローチを拒否したところ、ディレクターは「従わなければAさんを移民局に通報してビザを取り消す」と脅迫します。Aさんはビザ条件に何も違反していませんが、この派遣会社のディレクターと縁を切りたいと思い、働いていた仕事も辞めました。

新しい法律が導入されれば、Aさんが追加の時間を働いていたかどうかに関係なく、この派遣会社は移民法の新しい245AAA条に基づいて、刑事告訴または民事罰の対象となる可能性があります。
この法改正はテンポラリービザ保持者の権利を保護し、雇用主のコンプライアンスを向上させ、公正な移民システムを確保することを目指しています。

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Kabo Lawyers logo Andy Ellen Andy Ellen【 アンディ・エレン】
(Registered Migration Agent, MARN 0962018)

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