第67回 邦人安全対策協議会 【在メルボルン日本国総領事館】

 

第67回 在メルボルン日本国総領事館
邦人安全対策協議会

― 詐欺被害への警鐘と「ジャパンタウン/日本人コミュニティーセンター構想」―

 

2026年1月29日、在メルボルン日本国総領事館にて邦人安全対策協議会が開催された。

当日は、古谷総領事、八重樫領事班長、高橋警備対策官、協議会担当の根本氏が出席。

また元ビクトリア州警察刑事の小沼有紀氏を招き、メルボルンで実際に発生している犯罪についての講話と質疑応答が行われた。

本協議会は古谷総領事からの提案により、

・邦人の安全対策

・ジャパンタウン/日本人コミュニティーセンター構想

という2つの議題を柱として進められた。

 

第一議題:安全対策


小沼有紀元刑事による詐欺被害の実態解説

小沼氏より現在メルボルンで多発している犯罪、とりわけ日本人が巻き込まれやすい「フィッシング詐欺」について詳しい説明が行われた。

メールやSMSを使った詐欺は非常に巧妙化しており、銀行、ATO、Australia Postなど実在する企業や機関を装った連絡が大量に送られている。

特徴として、

・「本日中」「24時間以内」など緊急性を煽る

・リンクやQRコードで偽サイトへ誘導する

・URLが微妙に異なる

といった共通点が紹介された。

対策として示されたのが、

Stop(立ち止まる)

Think(考える)

Connect(正規ルートで確認する)

という行動指針である。

SMSやメール内のリンクを直接開かず、必ず公式アプリや公式サイトから確認することが重要だと説明された。


個人情報は犯罪の“基盤”として悪用される

さらに小沼氏は、詐欺によって盗まれた個人情報が単なる金銭被害に留まらず、

・なりすまし銀行口座の開設

・マネーロンダリング

・携帯電話の飛ばし利用

・SNSアカウント乗っ取り
・履歴書(CV)からの個人情報流用

など、さまざまな犯罪に利用されている実態を紹介した。

本人が知らない間に銀行口座が開設され、犯罪資金の受け皿になるケースもあり、被害は長期化・複雑化しやすい。


ダークウェブと国際的詐欺ネットワーク

小沼氏は国際捜査の経験にも触れ、ダークウェブ上で個人情報が売買されている現状を解説。

2023年には世界22カ国が関与する大規模摘発が行われ、オーストラリアでも拳銃、麻薬、SIMボックスなどが押収された。

詐欺は単独犯ではなく、国際的な組織犯罪として成立しているケースが多いことが共有された。


シェアハウス詐欺・賃貸詐欺の深刻さ

質疑応答では、日本人の被害が多いシェアハウス詐欺・賃貸詐欺が大きな話題となった。

デポジットを支払った後に連絡が途絶えるケースが多く、被害者が恥ずかしさや諦めから通報しないため、実態は「氷山の一角」とされている。

捜査の過程では、犯人側の口座リストに日本人名義が多数含まれていたことも明かされた。

※具体的な人数は今回の協議では明示されていない。

 

被害に遭った場合の対応

被害時には、

・銀行やカード会社への即時連絡

・パスワード変更

・ReportCyberへの通報

を速やかに行うことが推奨された。

返金されないケースもあるが、通報は次の被害者を防ぐために重要である。

詐欺被害の実態解説の詳細
https://www.dengonnet.net/melbourne/content/104262

 

第二議題:ジャパンタウン/日本人コミュニティーセンター構想

後半は古谷総領事の提案により、「ジャパンタウン」および「日本人コミュニティーセンター」について意見交換が行われた。

・困った時に相談できる場所

・専門家につなげられる窓口

・世代を超えて集える拠点

としての機能を持つ場の必要性が議論された。

一方で、場所の確保、運営責任、資金、保険など現実的課題も多く、ボランティアだけでは継続が難しいことが共有された。

商業的要素と支援機能を組み合わせた持続可能なモデルの必要性について議論された。

 

今後に向けて

今回の協議会では、

・詐欺は誰でも被害に遭う可能性がある

・賃貸詐欺は構造的問題である

・相談できる「最初の窓口」が必要

という共通認識が形成された。

総領事館としても今後、可能な範囲で情報発信や連携強化を進めていく方針が示され、各団体も協力を継続していくことが確認された。