雇用主スポンサー制度の重要性
本コラムで記事を執筆してきた移民コンサルタントのAndy Ellenです。このたび法律事務所の新体制に伴い、Aitken Partners 上級移民コンサルタントとして連載を再開することとなりました。
オーストラリアの移民制度の中でも重要な役割を果たす「雇用主スポンサー制度」について、実務の視点から分かりやすく解説していきます。新体制での最初のトピックは、企業スポンサーによる就労ビザとして広く知られる「サブクラス482ビザについて」を2回に分けてお話します。
オーストラリアで働くことを考えている方や、外国人材の採用を検討している企業にとっても参考になる内容です。
2026年 482ビザ制度の新しい枠組み
長年にわたり、サブクラス482ビザ(旧TSSビザ)は、オーストラリア企業が国内で不足する人材を補うための制度として広く利用されてきました。
現在、この制度は『Skills in Demand(SID)』と呼ばれる新しい枠組みのもとで運用されています。制度の柔軟性や審査スピード、人材の移動の仕組みなどが見直され、企業による外国人採用の環境も少しずつ変化しています。
こうした制度の変化を理解しておくことは、企業だけでなく、オーストラリアで働くことを考えている人にとっても重要なポイントになっています。
3つのビザストリーム
現在の482ビザ制度では、従来の「短期」「中長期」という区分に代わり、3つのストリーム(区分)が設けられています。
それぞれ、給与水準や人材ニーズに応じた制度設計となっています。
1. Specialist Skills Stream(専門技能ストリーム)
高度な専門人材を対象としたストリームです。
- 給与基準: 2025年7月1日:141,210ドル→2026年7月1日:146,717ドルへ引き上げ予定
- 審査期間: 政府は、このストリームについて迅速な審査(7日前後)を目指しているとされています。
- 対象職種: 管理職や専門職などの高技能人材であるANZSCO主要グループ1、2、4、5、または6に属する職種であれば、所得基準を満たしていれば申請可能です。ただし、技能職や機械オペレーター、ドライバーなどのANZSCO主要グループ3、7、8の職種は対象外とされています
2. Core Skills Stream(コアスキルストリーム)
多くの企業が利用する、一般的なストリームです。
- 給与基準: 2025年7月1日:76,515ドル→2026年7月1日:79,499ドルへ引き上げ予定
- 対象職種: 新しく導入された『Core Skills Occupation List(CSOL)』に基づきます。このリストには現在456職種が掲載されており、これまでのMLTSSL、 STSOL、ROLといった複数の職業リストが整理・統合された形になっています
3. Labour Agreement Stream(労働協定ストリーム)
このストリームは、オーストラリア政府と個別の労働協定を結んだ企業が外国人労働者を雇用する場合に利用される制度です。
- 現状: 現在は労働協定ストリーム(Labour Agreement Stream)を通じて運用されていますが、将来的には、より幅広い分野を対象とした新しい制度(Essential Skills Pathway)の導入も検討されています
- 利用状況: 高齢者介護や食肉加工業など、深刻な人材不足を抱える分野でよく活用されています
- 必須技能開発:必須技能パスウェイは、低賃金労働者(TSMIT/CSITの賃金水準以下)を対象としているため、特定の分野における上限設定や労働組合の監督など、現在検討中です
企業側が意識しておきたいポイント
現在、給与基準は毎年7月に見直される仕組みになっています。
そのため、現在は条件を満たしている職種でも、給与が長期間固定されている場合、将来のビザ更新時に基準を下回ってしまう可能性があります。
企業側は、雇用契約を結ぶ段階から将来の給与水準も見据えた設計をしておくことが大切になります。
今回は、482ビザ制度の新しい枠組みを中心にお話ししました。
次回は、近年の制度変更による影響・変化についてお話します。
雇用主スポンサー制度やビザ申請についての具体的なご相談は、Aitken Partnersまでお問い合わせください。
Andy Ellen【 アンディ・エレン】
(Registered Migration Agent, MARN 0962018)
Aitken Partnersのシニア移住コンサルタント。
ビザ、法律に関するご相談に経験豊富なスペシャリストが対応します。
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