ちょっと気になる健康のこと

医者にかかるほどではないけど、ちょっと気になる健康のこと。ちょっと気になる症状の発症、予防や対策、対処法などをお伝えします。ただし、何事もプロに任せるのが一番。症状が改善されなかったり、酷くなる場合は、必ずドクターに相談を。

おとなの Safe Sex - エイズの現状

 おとなのための Safe Sex

昔から生きる為に必要な事を「衣・食・住」と表現しますが、本来は「衣・食・住・性」ではないでしょうか。いつの時代であっても「セックス」はタブーな事としてあまり語られないのが現実。でも日々の生活に必ず存在するものです。性行為は知っていても、驚く程知識がないのが Safe Sex (安全なセックス)。「そんなもの今更語る事もないでしょう」、「性病に感染しない為にはコンドームを使えばいい」。これって当たり前な事。でも、この当たり前が世の中に浸透しているとしたら、HIV 陽性者数が 3,990 万人(世界保健機関: WHO 調べ)いる今の世の中をどう説明しますか ?
分かっていそうで、分かっていない性の現状、そして安全でハッピーなセックスをみんなが楽しめるように、Safe Sex のお話です。
※掲載しているのは、Safe Sexに関するごく一部の情報です。体調に異変を感じている人は、自己判断をせず医療専門家に問い合わせてください。
 
+ + + 世界におけるエイズの現状 + + +
ジュネーブの国連合同エイズ計画 (UNAIDS)が発表した「ファクトシート 2024 」によれば、2023年末の HIV陽性者数は3,990万 人、新規感染者は130万人、エイズによる死亡件数は63万件と推計。新規感染者は減少しているものの、2025年目標の37万人からはかけ離れています。エイズの流行は、殆どの地域で安定化してきていま すが、東部および南部アフリカは最も深刻な地域で、2024年の新規 HIV感染者数が45万人となっています。また同年の15歳以下の新規 HIV感染件数は、全世界で12万件と推定されており、その感染者の殆どは子宮内、分娩中、授乳による出産後の感染によるものです。
 
+ + + オーストラリアにおけるエイズの現状 + + +
 
現在のオーストラリア国内総 HIV陽性者数は 3万人(2023/12/31現在)で、2014年から33%減少しています。その内、新規感染者は2,360人となっています。しかし、この減少は2020-2022年に流行したCOVID-19の影響があるようで、2022年から2023年にかけて感染者数が上昇しています。特に男性間の性行為で感染するケースが増えていて、HIV感染率の56%を占めています。
ちなみに、HIVに感染したかもしれない行為の後72時間以内に抗HIV薬の内服を開始して、HIVに感染するリスクを低下させる予防策Post-exposure prophylaxis (PEP) を受けた人は、2018年4月から2023年12月の間に74,597人となっています。PEPは、GPやlocal community health serviceの他、下記のMelbourne Sexual Health Centreでも入手可能です。
 
+ + + エイズの誤解と偏見 + + +
世界的に広がったエイズ。残念ながら、未だにエイズ感染者に対する差別があるのが実情です。無知がゆえに起こる差別は、個人レベルではなく、国際レベルで起きています。中国では 2010年にエイズ感染者入国禁止制度が撤廃されましたが、未だにHIV陽性者の長期滞在及び移住を禁止している国もあります。
オーストラリアは、渡航目的の人達には規制はないものの、移住の際には HIV検査が義務付けられています。エイズ患者だから、入国ができないというのは、つまり心臓病患者が入国を拒否されるのと同じ事。これっておかしくないですか ? ひとりひとりがエイズに対する理解を深める事が、エイズ感染者の削減と、感染者にとって生活しやすい環境を作る事ができるのではないでしょうか ?
 
+ + + STI や BBV に心当たりのある人や心配な人、気になる人へ + + +
STI や BBV に心当たりのある人や心配な人は、下記の場所で無料検査が受けられます。
Melbourne Sexual Health Centre 580 Swanston St. Carlton
Tel. 03 9341 6200 or 1800 032 017(通話料無料: 固定電話かメルボルンメトロポリタンエリア外からの携帯電話のみ)
STI や BBV については下記のサイトで
Victorian Sexual Health Network: StaySTIFree (日本語)
次回は、誰でもできるSAFE SEXなどについてお話します。