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昔から生きる為に必要な事を「衣・食・住」と表現しますが、本来は「衣・食・住・性」ではないでしょうか。いつの時代であっても「セックス」はタブーな事としてあまり語られないのが現実。でも日々の生活に必ず存在するものです。性行為は知っていても、驚く程知識がないのが Safe Sex (安全なセックス)。「そんなもの今更語る事もないでしょう」、「性病に感染しない為にはコンドームを使えばいい」。これって当たり前な事。でも、この当たり前が世の中に浸透しているとしたら、HIV 陽性者数が 3,990 万人（世界保健機関: WHO 調べ）いる今の世の中をどう説明しますか ?

分かっていそうで、分かっていない性の現状、そして安全でハッピーなセックスをみんなが楽しめるように、Safe Sex のお話です。

　

実際にオーストラリアでは、どのくらいの人達が性感染症になっているのか知っていますか? オーストラリア政府の発表では2020年に国内で性感染症として報告された件数は約12万4900人（女性: 約5万7500人、男性: 約6万7400人）。この数字から、オーストラリア居住者6人に1人が生涯に1度は性感染症にかかると言われています。しかも、この報告件数は、STI (Sexually Transmissible Infections) 検査を受けて感染が分かっている人達のみの人数なので、自覚症状の無い人や検査を受けていない人達を含めると、更にその数は計り知れないという訳です。これでも「私は大丈夫」と言えますか ?

　

STI と BBV って聞いた事がありますか ? 日本では STD (Sexually Transmitted Diseases) という名称で表現されていすが、オーストラリアでは STI と BBV (BloodBorneViruses) という表現が一般的です。つまり性感染症と血液感染症の事。STI や BBVの中には症状の出にくいものもある為、感染に気付かずに複数のパートナーに感染を広げてしまうケースが急増しています。ここでは主な性病を紹介します。これらの症状に思い当たる人は早めに GP で検査を受けましょう。早期発見は、STI 率を下げる重要なキーポイントとなります。

　

普段体内にいる菌が起こす炎症。セックスパートナーが多い人や同性のパートナーがいる人(女性)がかかりやすい、女性の感染症。約半数が無症状だが、妊娠中は流産や早産の原因に。

　

1番感染者の多い性病。感染しても症状が出にくい為、気付かないままパートナーにうつす場合が多い。女性の場合、不妊症や子宮外妊娠の原因に。アナルセックスやオーラルセックスでも感染する。

　

水泡のようなものができ、それが破れると強い痛みになる。症状が出ていなくても、性器の皮膚や粘膜にウィルスが出ている場 合、パートナーに感染する事がある。アナルセックスやオーラルセックスでも感染する。1度感染すると、ウィルスを死滅させる事 はできないので、再発を抑える治療が必要となる。

　

男性に多い性病。性風俗でのオーラルセックスによる感染が多い。1回のセックスでの感染率が約 30%と高い。男性の尿道感染はうみと激痛、女性は症状が出ない事が多いが、おりものの増加や性交時の痛み等を伴なう。

　

治療薬ペニシリンが発見されるまでは、不治の病として恐れられていた病気。梅毒に感染していると、HIVウィルスにも感染しやすいので、梅毒に感染した際は HIV検査も同時に受けた方が良い。症状は感染後の時期により変わる。アナルセックスやオーラル セックスでも感染するが、アナルセックスによる感染が特に多い。近年、急激に感染者数が増えている。

　

原虫の膣トリコモナスが性器内に入り込み炎症を起こす。主にセックス(膣性交)で感染するが、下着、タオル、便器、浴槽から感染する可能性もある。症状として、男性は尿道からのうみが出たり、軽い排尿痛がある。女性は泡状の悪臭のおりものが出たり、外陰 部や膣に強いかゆみや痛みがある。

　

その他の性感染症として、ケジラミ症(Pubic lice)、A・B・C 型肝炎(Hepatitis A・B・C)、伝染性軟属腫(Molluscum contagiosum)、エイズウィルス(HIV)等があります。

　

次回は、HIVとAIDSについてお話します。