
スポーツ中毒の国、オーストラリア。好きなチーム、選手、競馬などを応援するための独特の表現があります。どの国にも独自の応援表現はありますが、オーストラリアの表現は特別です。なぜ?と思う人がいるかもしれません。今月は皆さんにその理由と表現の仕方を紹介します。
今月は応援の「G」
英語では "support"、あるいは "encouragement"、Vol.3で紹介したフッティー用語の "barrack" ともいえる「応援」。見ているチームや選手のことを支えてあげたい、頑張ってほしい気持ちから出る応援の言葉を調べてみると、世界中で「いけ!」という意味の表現が最も使われていることがわかります。フランス語では "Allez!"。ポーランド語では "Dalej!"( "ダレイ" と発音)。英語では "Come on!" "Go!" "Get into it!"(本腰を入れろ!)などの応援の表現があります。ただし、同じ英語圏でも国によって違いがあり、独特の表現があります。
今月号で紹介する表現や俗語は、なぜかわかりませんが、"G"から始まる表現が多く見られます。"Go" "Get" "Good" などは英語圏であれば共通で使われています。簡単に理由をいうと、この3つの言葉は応援にふさわしい言葉だから。ただし、下記の表現はオーストラリア独特の表現で、ユニークなものです。ちょっと変わっている俗語を取り上げてみましょう。
オーストラリア独特の応援の言葉として最も使われているのは "onya" です。"Good on ya!" または "Good on you!" の省略で、パブでも、職場でも、あらゆる場面で耳にする表現です。友人や同僚に良いニュースや出来事を伝えたときに、相手が言ってくれることが多いです。「おめでとう!」や「よくできたじゃん!」という意味で、別の英語の表現でいうと "Well done!" や "Good work!" と言えます。ちなみに、"Good job" はオーストラリアではあまり使われていません。ちょっと和製英語な感覚です。注意してください。
パブでは下記のオージースラングを耳にする場合があります。それは "Gedditintaya!" です。 "Get it into you" の省略で食べ物、飲み物に関する表現として使われ、「これはいいよ!食べてみ! / 飲んでみ!」という意味の表現です。元々は「これを食べて / 飲んで元気をだせ!」という含みもあり、レストランやパブで友達に何かおすすめする品があれば、「Get that inta ya!」といってみるといいでしょう。
パブというと今でもよく競馬の映像が流れています。もしも競馬に興味があるのであれば、今度競馬場に行くとき、またはパブで競馬を見ているときに、自分の応援してる(もしくはお金をかけている)馬を応援する際に、"Go you good thing!" と言ってみてください。普通に "Go!" や "Come on" といってももちろんOKですが、上記の表現はよりオーストラリア人らしい表現です。来年のスプリングレーシングカーニバルまで待たなくてもいいので、ぜひ機会があれば使ってみてください。
最後に、AFLWとMarsh Community Series などフッティーのシーズンが始まった際に使ってみて欲しい応援の言葉は "Get up there!" です。Vol.3で紹介した "mark" をとるとき、より高いジャンプが必要なので、そのときに好きなチームの選手を励ますために "Get up there, mate!" と言います。Roy Cazaly という1911年にデビューした名選手をモデルに、1970年に "Up there Cazaly" という名曲も生まれたほど歴史のある表現です。AFLのグランドファイナルでは必ず流れるので、ぜひ、耳をすませてください。
● クリスの5分間オージースラングクイズ ●
今まで紹介したオージースラングの復習です。今回は、新しいオージースラングを紹介するのではなく、すでに紹介した Aussie slang の中から答えを選んでください。がんばってね!
1. Mate, I’m dying for a drink. Wanna go to the ____?
A. Bottle-o
B. Arvo
C. Johnno
2. Hey, which AFL team do you ____ for?
A. handball
B. barrack
C. speccy
3. Did you see that guy / girl walking past? They were hot ____!
A. of
B. in
C. as
4. Look, he goes out shopping in his pajamas, he drinks all the time, and he drives a VL Holden Commodore. Of course he’s a _____!
A. bogan
B. battler
C. happy little Vegemite
答え:
1. (A)
2. (B)
3. (C)
2. (A)
Chris Nicholls(クリス・ニコルス)
父はイギリス人、母は日本人。日本で生まれ、幼少期をイギリスで過ごす。その後、家族でオーストラリア移住。英語教師の資格(CELTA)を取得し、日本の英会話学校で英語教師として2年勤務。2007年からはジャーナリストとして活躍。日本語も堪能なので、日本人が間違いやすい英語の指導に自信あり。
(2006年12月号 Dengon Netより更新)