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クリスマスパーティーやプレゼントは事業の経費になるのか?(2021年12月)- もっと教えて 会計・税務のこと

 

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クリスマスパーティーやプレゼントは事業の経費になるのか?
 
12月と言えば、クリスマス...ということで、事業主の皆さんも1年間がんばった従業員への労いを込めて、パーティーを企画したり、プレゼントを用意されているのではないでしょうか? また、お世話になった顧客や取引先へのプレゼントも考えておられるかもしれません。その結果、「こういった費用は、経費で落ちるのでしょうか?」というご質問をよくいただきます。
 
この質問へのお答えは、簡単なようで、実は大変複雑です。ひと言で答えるならば、「ビジネス上の経費にはならない場合が多い」ということになります。クリスマスパーティーやプレゼントは、職場の人間関係を良好にするために必要と思えますが、税金のことを考えると頭が痛いですね...。

Fringe Benefit Taxを考慮する
まず、経費で落ちるのかを考えると同時に、オーストラリアでは、Fringe Benefit Tax(FBT)という税金のことを考慮する必要があります。FBTは、従業員やその家族に、「給与やボーナスなど所得申告に含まれる現金」以外の形で支給するベネフィットに対して、雇用主に課せられる連邦政府の税金です。税率は、課税所得として算出したベネフィットに対して47%となります。

<パーティ―の場合>
パーティーについては、基本的には、「娯楽/ベネフィット」と見なされるため、FBTの対象となりますが、次の場合は、例外となります。

1) 職場で、就労時間内に、現在の従業員に飲食が支給されるパーティーの場合(金額に上限なし)。
2) レストランやホテルなど、職場の外で、従業員やその家族一人頭$300未満(GST込み)でパーティーが開催される場合。

1)と2)のどちらの場合でも、FBTの対象にはなりませんが、経費とすることができないことにご注意下さい。 
また、2)の場合、一人頭$300以上である場合は、FBTの対象となりますが、FBTを納税するということであれば、経費となります。

<プレゼントの場合>
クリスマスプレゼントについては、パーティーのような「娯楽的要素」があるか否かで、扱いが変わってきます。「娯楽的要素がないプレゼント」とは、クリスマスハンパー(ワイン、チョコレート、ビスケットなど、おいしい物の詰め合わせ)、花、チョコレート、デパートのお買物券など、「物」ということになります。一方、「娯楽的要素がある」プレゼントとは、食事券、映画チケット、スポーツ観戦のチケット、ホテル宿泊券などです。FBTと経費の考え方は、下記のようになります。

3) 従業員やその家族に「娯楽的要素がある」プレゼントを、一人頭$300未満提供する場合は、FBTの対象にはなりませんが、経費としても扱われません。$300以上である場合は、FBTの対象となり、経費として扱われます。
4) 従業員やその家族に「娯楽的要素がない」プレゼントを、一人頭$300未満提供する場合は、FBTの対象になりませんし、経費として扱うことができます。しかし、$300以上になると、FBTの対象となり、経費としても扱われます。
5) 顧客や取引先に「娯楽的要素がある」プレゼントを提供する場合は、金額に関係なくFBTの対象にはなりませんが、経費にもなりません。
6) 顧客や取引先に「娯楽的要素がない」プレゼントを提供する場合は、金額に関係なくFBTの対象になりませんし、経費として扱うことができます。

大変複雑なルールだと言えます。何かで従業員に感謝を伝えたいが、ビジネスの経費にしたい、余計な税金は支払いたくないということであれば、一人頭$300未満の「娯楽的要素がない」プレゼントを贈るということでしょうか...。
 

 

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