クリスのオージースラング教室

英語の歴史や文化をふまえ、オーストラリアのスラングをご紹介。

クリスの使えるオージースラング教室 VOL.1

 その国の歴史、文化、民族の考え方はすべて国の言語に表れていると思います。例えば、日本文化を代表する俳句には風土、わび、さび、そして日本人の自然をいつくしむ心が含まれています。オーストラリアは英国に植民地化されていましたが、英国とは違う厳しいルールや環境のなか、独特のスラングが数々生み出されました。

 ここでは、他国では馴染みのない言いまわしなどを紹介していきます。読者のみなさん、ぜひ覚えて使ってみてください!

今回は「やってみる」

 昔からオーストラリア人はチャレンジ精神が旺盛で、今でも自ら車の整備、家の改装などする人が日本に比べると多くいると思います。中には計画通りにできない人や失敗する人もいますが、そこにはオーストラリアの何にでもトライする精神が表れています。

"Give it a burl"、"Give it a shot"、"Give it a bash" あるいは "Have a bash"、はそれぞれ「やってみるぞ」という意味のスラング。オーストラリアの俗語には比較的こういった意味の表現が多いです。みなさんも "Do you want to have a go?" "Yeah, I'll give it a bash" と耳にしたことはありませんか?

 ただし、"Bash" はオーストラリアでは「殴る」や「パーティー」という意味でも使われています。ニュースでは "A man was bashed yesterday" という言いまわしが使われていますが、これはオーストラリア独特の言い方で、アメリカや英国では、"assaulted"か、"beaten" が一般的に使用されています。また、"I'm having a big bash at my house!" とよく言いますが、パーティのお知らせなので驚かないでください。大乱闘が起こるわけではありません!

 "Burl" も「速く走る」という意味で使えます。"Burling along in my car" や "Go for a bit of a burl" と言います。

 「これをやっていいですか?」をきくと "Go for your life!" と答える人も多いと思います。この表現にもオーストラリアの歴史が含まれています。昔の厳しい環境では、何かをするために、命を落とすことも多かったのです。"Go for your life" は簡単に言うと「どうぞ!」ですが、「一生懸命がんばって!」というオーストラリアらしいニュアンスが含まれています。

 最後に、"Take a punt"という言い方もあります。もともとお金をかけるという意味でしたが、今は「やってみるぞ」と "Bash" などと似ている意味で使われています。しかし、この表現には「よりリスクの高い」という意味が含まれ、まさにオーストラリア人のチャレンジ精神、文化、そしてオーストラリアの歴史が表れています。

● 和製英語に気をつけよう!●

 現在使われている日本語には約一万語の英単語が混ざっているそうです。しかし、そのなかには和製英語がたくさん。日本では通じても、英語圏では通じなかったり、誤解されがち。使わないようにしましょう。

よく使われている和製英語のリストです。

◆~up
レベルアップ ― "Go up a level"、"Improve" などといいます。
グレードアップ ― "Upgrade"、"A model / grade above"
スキルアップ ― "Improve my skills"、"upskill"

◆マイブーム ― まったく通じません。 "I'm obsessed with (...) right now" と言えばOKです。

◆ヘアメイク ― 髪を作りますか?
"Hair styling and make-up" またその仕事をしている人は "Hair and make-up artist" とよばれています。

◆ツーショット ― この言葉は英語圏のテレビ業界用語からきています。一般的に "A photo of the two of us" や "A pair shot" といいます。

Chris Nicholls(クリス・ニコルス)

 父はイギリス人、母は日本人。日本で生まれ、幼少期をイギリスで過ごす。その後、家族でオーストラリア移住。英語教師の資格(CELTA)を取得し、日本の英会話学校で英語教師として2年勤務。2007年からはジャーナリストとして活躍。日本語も堪能なので、日本人が間違いやすい英語の指導に自信あり。

(2006年4月号 Dengon Netより更新)