ちょっと気になる健康のこと

医者にかかるほどではないけど、ちょっと気になる健康のこと。ちょっと気になる症状の発症、予防や対策、対処法などをお伝えします。ただし、何事もプロに任せるのが一番。症状が改善されなかったり、酷くなる場合は、必ずドクターに相談を。

Think Pink - 乳がんについて

 Think Pink

世界中の女性の間で増え続けている乳がん。知識を増やし定期的にチェックしましょう。
 
10月はBreast Cancer Awareness Month(乳がん啓発月間)です。現在、日本人女性のうち、乳がんを発症する割合は9人に1人と言われています。稀に男性も発症しますが、発症率は非常に低いと言われています。乳がんによる死亡数は年々増加しており、2020年に乳がんで亡くなった日本人女性は1万4,650人になっています( 国立がん研究センター: がん情報サービス)。
またオーストラリアでも、2023年に2万人以上が乳がんに罹患しています( Cancer Council )。その発症率は8人に1人と日本より少し高い数字が発表されています。女性が最も発症しやすいがんと言われる乳がんですが、実は乳がんは早期に発見すれば治癒率が高いがんで、90%以上が治ると言われています。そこで、乳がんの知識や早期発見をする方法をご紹介します。
 
● ● ● 乳がんってどんな病気? ● ● ●
乳房の仕組み乳がんは、乳腺にできる悪性腫瘍です。乳腺は小葉と乳管からなっていて、乳腺は乳頭から木の枝のように放射状に広がり、その先に小葉と呼ばれる母乳を作る部位があります。母乳を乳頭まで運ぶのが乳管です。乳がんの多くは、この小葉を構成する細胞から発生します。乳がんになった事に気付かずそのまま放置していると、がん細胞が増殖して乳腺の外にまで広がり、リンパや血液の流れにのって、肺や肝臓、骨等、乳房から離れた臓器に広がって行きます。
日本では、女性の全年齢層では、胃や大腸のがんで亡くなる人が多いと言われていま すが、40歳前後を境に、乳がんで亡くなる人が増え、30歳から64歳では、乳がんが死亡原因の第1位となっているようです。
また若い年代の乳がん死亡率が年々上昇しています。20代でかかる人は少ないとはいえ、若い時から関心を持つ事が大切です。
 
● ● ● 乳がんのリスク要因 ● ● ●
これまでに明確になっている乳がんのリスク要因は、初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、 出産歴がない、母乳を与えない、ホルモン療法(エストロゲン製剤、ピル等)を受けている等、 体内のエストロゲン・レベルに影響を与えるものが殆どです。
日本人に乳がんが増えた原因として、食生活を初めとする生活様式の西欧化が指摘される事が多々あります。実際に食生活の西洋化で女性の内分泌環境が変化して初潮が早まり、 閉経が遅れる等の変化が起きています。また、ライフスタイルの西洋化、すなわち女性の高学歴化や経済的自立が女性の結婚、出産年齢を大幅に遅らせている事が要因とも考えられています。乳がんは、女性特有の現代病とも言えるでしょう。
オーストラリアでも、高所得の女性の乳がん率の方が、低所得の女性よりも上回っているという報告もあります。日本にいる頃と比べ、外食をするとどうしても洋食に偏りがちな私達は、乳がんのリスク要因の高い 環境にいると言えるでしょう。
 
● ● ● ブラジャーと乳がんの関係 ● ● ●
「ブラジャーを長時間着用する女性は、全く着用しない女性と比べ、乳がんのリスクが高くなる」と耳にしたことはありませんか? 以前はこれが定説として広く知られていましたが、2014年の米国立がん研究所からブラジャーの着用時間や着用し始めた年齢、ワイヤーの有無に関わらず、ブラジャーの着用と乳がん発症リスクに関連性がないことが発表されました。余談ですが、乳がんとブラジャーとの関連性の調査で、世界の女性の80%がサイズの合わないブラジャーを着用していることが分かりました。みなさんも一度採寸し直してみてはいかがでしょうか。
乳がんに関しては、喫煙や飲酒の習慣が発症のリスクを高めることが欧米の研究所を中心に発表されています。
 
+ + + 無料乳がんの検査 + + +
BreastScreen Australiaでは、50~74歳の女性は、無料でマンモグラフィー検査が受けられるので、2年に1度、検査を受ける事をお勧めします。
予約の際には、BreastScreen Victoriaが、最寄りの検査機関で受診を案内してくれます。
W: BreastScreen Victoria  T: 13 20 50
次回は、乳がんのセルフチェックについてお話します。
 
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