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 自分のライフスタイルに合った家探し、快適なメルボルン生活のために、とても重要 答えた人:BMG不動産・ブライアン・グレース
です。でも日本とはシステムも違うし、不動産会社は何だか怖そうだし、英語も難しいし  この道数十年「人が好き、だからこの仕事が好き」と言うメルボルン屈指のベ
…と、初心者は及び腰になってしまいがち。でも借りるにしろ買うにしろ、「ポイント」さ テラン不動産業者。「絶対損はさせません!」のモットーの元、常にお客側の立場
えしっかり押さえて理解していれば、何も怖いことはありません! に立ってくれる「あなたの見方」的存在。物件探しからオークションでのビッド、
 ということで、今月は「初心者のための不動産講座」と題して、それぞれ「借りたい人初 「困った時」の代理交渉まで、不動産賃貸・売買に関わるあらゆるサービスを提
心者・A子さん」「買いたい人初心者C男さん」が、それぞれの不安や疑問を、この道ウン十 供。モーゲージブローカーや法律家など、関係各業界の専門家ともネットワーク
年! のベテラン専門家にぶつけます。 がある。日本語によるサービスを行う唯一の不動産業者でもある。連絡先は30
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れること間違いなし!

注:A子さん、C男さんは架空の人物で、実在の人物とは関係がありません。またこの記事は投資アドバイス、法律アドバイスではありません。不動産の賃貸・購入やモーゲージに関するより詳しい内容は、専門家に直接ご相談下さい。

買いたい人 C男さんの場合  最初からあまり大きな夢は見ず、無理なく支払いができそうな小さな物件、小さいけれど、シ
ティに近い「将来価値が上がる可能性のある所」を買う。具体的には、月々の返済額が今の家賃よ

30代半ば、シティにあるIT系企業に勤めるサラリーマン。昨年こちらで出会った日本人女性 りちょっと高め位で買えるところが良いですね。

と結婚、マイホーム購入を考えている。永住権あり。年収は$6万、奥さんの収入は年間$2万。  そしてしばらく経って子供が生まれる頃、そこを売ることで、もう少し大きな家に買い換える

ことができる。子供が小学校に入る頃に、入れたい学校があるなら、そこのエリアに移り住むこと

【バブルじゃないの?】 も考えて次の家を探すこともできますね。

 極端を言えば、購入した家に住まなくても良いんです。買った物件は貸して、自分は一生賃貸

C男:まだ購入を検討し始めたばかりなんですが、一番心配なのは今 だって良いんですよ。だって自分に必要な家は、その時どきで違ってくるのが当然でしょう? 会

買っていいのか、ということです。「オーストラリアの住宅市場はバブ 社に近い所、子供の学校に近い所、とその時に便利な所をレントして、でもそのレント代は自分の

ル」とも聞いていますし、これから先、価格が落ちてしまうんじゃない 持っている物件からの収入で補えば良い。物件を持っていることで、誰かが自分のポケットに

か、と。 ちょっとずつお金を入れてくれる、しかも価値は上がって行く。そういう考え方もあるのだ、と

B:バブルを経験している日本人の皆さんが、よく心配されることです 知っていただきたいんです。コンセプトは「危険じゃないものを買って、増やして行く」。こうして

ね。でも私には断言できるんですが、メルボルンの不動産の価格はこれ 行くと、50歳、60歳になった時に持っているものが違います。確実に大きくなっているんです。

からも上昇します。落ちる要素がないんです。その理由は大きく3つあ C男:それは目からウロコの発想です! 家は買ったらずっとそこに住む

ります。第1に今後の人口増加、第2に郊外を広げやすいメルボルンという土地構造、そして第3に ものだと思ってました。

公有の土地を開発OKにして行っている政府の方針です。 B:日本では皆さん、そういう考えですね。ひとつ大きな日本との違いは、

 まず第1の人口増加ですが、移民によってメルボルンの人口は今後も増え続けます。メルボルン こちらでは贈与税、相続税が存在しないこと。だから将来不動産はすべ

の人口は現在約400万人ですが、2050年までには640万、60年には850万になると言われていま て子供のものになる。財産としての意味も大きいんです。

す。この国は人口を増やす、移民を増やすことが発展の道です。人口が増えて行く、つまり街が広

がって行くんですね。 【マンションやアパート VS 土地付き物件?】

 第2の理由ですが、メルボルンは回りを平地に囲まれている、つまり街が広がりやすい、開発が

しやすい条件を備えた土地なんです。 C男:「最初は手に届く小さい所から」ということですが、例えばマンションでも価値の上がる所は

 そして第3に不動産の需要増を受け、政府は、近郊で開発できる土地をどんどん増やしている。 あるんですか? 

これまで公有だった土地を開発OKにしてきているんです。 B:場所と物件次第、需要と供給次第ですよ。例えば駅前で、この場所にマンションは2度と立たな

 移民が増える、街が広がる、そしてまた人が増える。つまり今後も不動産への需要、特に立地の い、というような所なら、価値は上がる可能性は高い。

よい場所への需要は高くなって行く、ということです。  不動産は1に立地、2に立地、3に立地、4に立地。すべて、ロケーション次第です。繰り返すようで

C男:なるほど。そうしたらメルボルンでは、日本のバブルのように不動産の価格が大幅に落ちる すが、駅の近くであることはとにかく重要です。ただ土地付きの方が良いというのは当然のこと

ことはない、ということですね。 です。ここでアパートを買うなら、ちょっと離れているけどあちらでユニットを買いなさい、とア

B:もちろん短期的に見ると落ちることはあります。ただ小さな下落を経ながらも、これまで不動 ドバイスすることもありますし。

産の価格は波形にずっと上昇し続けてきた。そしてそれは今後も同じであるというのが、僕を含 C男:どこにどんな物件を買うのかは、専門家に相談しながら考えたほうが良さそうですね。

む殆どの不動産業者の考えです。 B:そうですね、但し通常の不動産会社は自分達の持っている物件を売ろうと、強くプッシュして

 不景気に入り始めている現在は、価格が少し下がっているところです。不動産は、実は不景気が きます。「今はこれが絶対にオススメだから」と言いつつ、自分達の有利になるようなアドバイス

買い時です。不景気になると家を売る人が増える、つまり供給が増える。そして今は金利が歴史的 をするんです。知識があってお客さんの立場になってくれる不動産会社は、なかなかないんです

に低いのも大変有利な条件ですね。ただ、何でも買えばいいというわけではないんですよ。今後、 よ。また自分の宣伝になってしまいますが(笑)、僕のような不動産の総合サービスを提供してい

需要が高くなる所、価格が上がる所かどうかを見極めて買うことが大事です。 る個人だと「ここが良い」「これは止めた方が良い」という客観的な意見を、専門家としての知識や

C男:「ここは今後上がる」と、どうやって見抜いたらいいんでしょうか? 経験に基づき、お客さんの立場に立ってアドバイスできます。是非利用して下さいね。

B:一概には言えないので、個々のケースとしてご相談を受けたいんですが、ま

ずひとつ駅の近くであることは大変重要です。今メルボルンでは新駅が増えて 【注意! 買った後で文句は言えない、オーストラリアのカルチャー】

います。現在周りが農場だらけでも、開発されて行く予定のある駅の周辺で、将

来ビジネスもできるエリアにタウンハウスを購入したら、大きな街に成長した C男:そうですよね、大きい買い物ですから多少のお金は払っても、安心して頼めるプロにお願い

時、価値が大きく違ってきます。不動産は今現在を見ながら、10年20年後を予 するほうが、ストレスもないし後々後悔することもなくて済みそうですね。

測して買うものなんです。 B:もうひとつ、特に日本人の方が不動産を購入される場合、プロにアドバイスをしてもらったほ

 とにかく言えることは迷っているなら買った方が良いということ。「自分の うがいい重要な理由があります。これは賃貸についても言えることなんですが、オーストラリア

収入で買えるだろうか」とか「もうちょっと貯金が貯まってから」と迷っている では何かを買う時、日本とは決定的に違う考え方ーCaveat Empto(r キャビエット・エンプトー

うちに、貯金が増えるよりも早く、不動産はどんどん高くなって行きますから。 ル:ラテン語)、「買い手をして注意せしめよ」という考え方がベースになっているからです。

 日本ではものを買う時、借りる時、売り手や貸し手は「嘘は言わない」と信用しています。例えば

【僕にはいくら借りられて、いくらの物件が買える?】 「この家シロアリ食ってます」というのは、売り手が事前に買い手に伝えておかなければならな

い。「すべてを明らかにする」。日本やアメリカでは、それが売る側の法的義務なんです。ところが

C男:では具体的には、僕だったらいくらの借り入れができて、いくらの家が買えるでしょうか? イギリス、またオーストラリアでは「この家シロアリが食ってます」と、事前

B:不動産業者は法律上、お金に関してのアドバイスはできないので、具体的なことに関しては僕 に言わなくても良いんです。そこは買い手が自分で見抜かなければいけな

は言えないんですよ。モーゲージには収入以外にもいろんな要素が関わってきますし、銀行に い。後から「聞いてないよ」と苦情を訴えることはできないんです。だからこ

よってもレートがかなり違うのでブローカーに相談することをお勧めします。 そプロの力、例えば大工による「ビルダー・インスペクション」もやって、屋根

 ブローカーは、使って損をすることはありませんよ。その時々でC男さんの得になるよう、モー 裏や床下、シロアリなど、詳細に調べてもらう事が大事なんです。

ゲージの見直しも一緒にしてくれますしね。

C男:なるほど、一度ブローカーの方に相談してみます。(→C男さんがいくら借りられて、いくら 【まずは初めの一歩を!】

の家が買えるかについて知りたいアナタ、19ページの神田さんのコラムにジャンプ!)

C男:知りませんでした…それでは当然、プロの力なしには、大きな買い物はできないですね。

【まずは小さくて無理のない物件から】 B:すべて自分でやろうとすると不安になりますが、信頼できるプロフェッショナルに頼めば、そ

んなに難しいことはありませんよ。だから是非、オーストラリアで夢のマイホーム実現に向けて、

B:ところでC男さん、奥様からのプレッシャーもあるんじゃないですか?「きれいなキッチンの C男さんも一歩を踏み出して下さい。それにお金と言うのは水の流れと同じで、貯めておくと淀ん

家が欲しいわ」とかって。 でしまいます。動かしていることによって、常に新しい水が入り量も増えて行くんです。

C男:まさにその通りです(笑)。マイホームは新築でキッチンはこうで…って夢があるようで。  繰り替えしますが、ポイントは「間違いないものを」「細かく増やして行く」そして「持ち続ける

B:他の買い物同様、不動産も何が良いのか、合っているかは当然人によって違います。ただ僕が皆 こと」。それが財産になりますから。そして人生の中で何かする時に、これをどう活用しよう、と考

さんによく言うのは、不動産は一度買ったらおしまいではなく、ライフ・プランの一部として「育 える。最初はちょっと不安があるかもしれないけれど、自分の人生のためにも「不動産」における

てて行くもの」という考えもあるのだ、ということです。 最初の一歩を踏み出して欲しいですね。
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