愛子先生の診察室便り

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大腸がんにならないために(2024年3月)- 愛子先生の診療室便り

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大腸がんにならないために
 

日本では毎年3月は、大腸がん啓発月間としています。そのため、レインボーブリッジや都庁、各地の有名なお城など、大腸がん啓発カラーであるブルーでライトアップされます。ちなみにオーストラリアの大腸がん啓発月間は6月です。

早期発見がキーポイント
日本人の3大死因第1位は悪性新生物“がん”であり、男女ともに大腸がんが上位を占めています。10~12人に1人が大腸がんと診断されています。
ただ、大腸がんは早期に発見できれば、高い確率で完全に治すことができるがんとしても知られています。ですから、症状が出る前に検診を受けることが大事なのです。

大腸は結腸、直腸という食べ物の最後の通り道に当たる臓器です。大腸の主な役割は、水分を吸収することです。この水分吸収が不十分の場合は、軟便や下痢になったりします。
大腸がんは、大腸の粘膜にできる良性ポリープからがん化するタイプのものと、正常な状態から発生する2つのタイプがあります。日本人ではS状結腸と直腸にがんが見つかることが多いようです。

<大腸がんになりやすい生活習慣 チェックリスト>
□ 野菜・果物を食べない
□ 加工肉をよく食べる
□ 飲酒、喫煙
□ 肥満
□ 運動不足

上記のチェックリストに当てはまることが多いと感じる方は、お腹の調子が悪いことがあるのではないでしょうか? ご自身にとって“あたりまえ”と思っていたお腹の症状を見直してみましょう。

大腸がんの初期症状は?
早期のうちは無症状ですが、進行すると下記のような症状が出てきます。
・便に血液が混じることがある
・下痢と便秘を繰り返す
・残便感がある
・膨満感がある
けれども、「痔があるから、便に血液が混じってもおかしくない」「昔からお腹が弱いから」「家族みんなお腹の調子が悪いだけ 」と自己判断をして、検診を受けない方も多いと思います。
上記のような症状がある場合は、かかりつけ医に相談し、必要な検査をする必要があります。

大腸がん検診―便潜血検査
早期発見のため、日本では40歳以上、オーストラリアでは50歳以上から大腸がん検診を推奨しています。検査方法は便潜血検査と呼ばれています。
Test Kitオーストラリアでは、50歳から74歳までの成人を対象に2年に1回便潜血検査キットが郵送されます。メディケア加入者はこの検査を無料で受けることが可能です。2日間に分けて少量の便を採取してキットの容器に入れ、郵送するだけです。腫瘍があると排便時にわずかな出血があるので、それを検出する検査です。
現在服用中の内服薬を中止する必要はなく、痛い思いをするような検査ではないので、キットが届いたら、ぜひ検査をして下さい。

50歳以上の成人に大腸がんを罹患する確率が多いため、2年に1回の検診スケジュールになっていますが、50歳以下の方も大腸がんになる可能性はあります。
家族歴、既往歴などによって、推奨する検査やタイミングが変わることがあるので、掛かり付け医とテーラーメードの検診スケジュールを作る必要がある場合もあります。

とにかく、がんになった後のことを心配する前に、がんにならないように、チェックリストにあげたような生活習慣がある場合はそれを見直すこと、お腹の調子がいつもと違うと感じた時は掛かり付け医に相談し、検査をすることが重要です。

Dr. Aiko Tomita Dr. Aiko Tomita Logo 一人ひとりに向き合った医療を提供
富田愛子 Dr. Aiko(Tiarni)Tomita
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