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意外と知らない…自動車のこと ●交通事故のこと
 自動車同士の事故などで負傷者がなく、お互いの情報交換(名前、連絡先、免許証番号、車両番
●ビクトリア州の運転免許証 号、保険会社名など)が速やかにできた場合は、警察への通報は不要で警察も公的な事故報告書
 オーストラリアは、州によって交通ルールが違うので注意して欲しい。特に、自動車免許につ は作らない。但し、負傷者がいたり、車両が動かせず交通の邪魔になったり、相手が情報交換を拒
いては今年の3月に法律が変わっている。もし、運転者がビクトリア州の運転免許証を取得した 否したりする場合は、すぐに000に通報をする。000に電話をすれば、オペレーターの判断で警
場合、他州で取得した免許証は3ヶ月、外国の運転免許証は6ヶ月を過ぎるとビクトリア州内で 察、消防、救急車の手配をしてくれる。
は無効となる(この期限を過ぎてもビクトリア州の免許を持たずに運転していた場合、$295の
罰金が課せられる)。一時滞在の日本人の場合は、日本の運転免許証を翻訳したもの、または日本 ●交通違反を騙ったEmailに注意
の運転免許証と国際免許証で州内は運転ができる(但し、日本の仮免許は不可)。永住ビザの場合  オーストラリア連邦警察(Australia Federal Police=AFP)を騙った詐欺が報告されている。
は、日本の運転免許証を翻訳したもの、または日本の運転免許証と国際免許証で州内は運転でき EmailはAFPのロゴ入りで、交通違反罰金請求が添付されており、Email内のリンクをクリックす
るが、入国して6ヶ月、またはビザを取得してから6ヶ月以上過ぎた場合は、ビクトリア州の自動 ると、パソコンが不正ソフトに感染、解除したければ数千ドルを支払うよう要求される。AFPは
車運転免許を取得しなければならない。但し、日本の運転免許証はテストなしでビクトリア州の Emailで罰金請求を決して送らないので、怪しいEmai(l 送信元が trafficInfringement.afp.org
運転免許証に切り替えができる。 や traficInfringement.afp.comなど)は開かずに直ちに削除すること。

意外と知らない…ドメスティック・バイオレンスのこと の接近などを禁止する裁判所の命令で、被害者(または警察が代行)が申請する(警察は被害者の
同意なしでも申請可)。まずは申請書に記入し(治安判事裁判所のサイトからダウンロード。City
 日本でも、2001年のドメスティック・バイオレンス(Domestic Violence=DV)防止法(「配偶 of Yarraの在住者はオンラインでの申請も可)、治安判事裁判所へ出向いてRegistrerと面談をす
者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」)施行以来、昨年度は過去最多の認知状 る。この時点で、被害者の保護が緊急であることが認められれば、インターベンション・オーダー
況を記録(警視庁発表)しているDV。オーストラリアでは3人に1人の女性がパートナーや前パー と同条件での仮命令、または逮捕令状を発令してもらうこともできる。
ト ナ ー か ら 暴 力 を 受 け て お り 、州 内 に 限 れ ば 、D V の 被 害 届 は 2 0 1 0 / 1 1 年 の 4 万 8 3 9 件 か ら  インターベンション・オーダーであげられる条件としては、被害者への加害者からの暴力行為
2011/12年の5万382件に、2004年から2012年ではDV関係の事件が72.8%も増加している の禁止、加害者の被害者住居への立ち入り禁止、建物や特別区域への接近の制限、加害者からの
(ビクトリア州警察調べ)。 被害者への接触の禁止、加害者へのカウンセリングの要求などがあり、申請者が指定することが
 DVはファミリー・バイオレンスともいわれ、婚姻関係を問わず、パートナーから肉体的、性的、 できる。
精神的な恐怖や苦痛を与えられるもので、これには経済的な抑圧も含まれている。ビクトリア州  申請書が受理(約2週間)されると、被害者と加害者の審理のための出頭命令が出される。ここ
では警察を始め、さまざまな支援団体が、被害者の保護や相談に当たっている。特に文化や習慣、 では暴力があったことを証明するための証拠(警察の被害届け、通院記録や医師の診断書、写真
言語の違う移民達のDV被害はより複雑化している。これらは、語学力、家族や親戚、コミュニ など)を用意しておく必要がある。審議の結果、接近禁止令が発令されると、加害者は命令に従わ
ティー支援の欠如により、人権やDVの法律に関する知識やDV被害者に対する各種支援サービ なければならず、従わなかった場合は逮捕または罰金が課せられる。また、警察は上記の命令が
スについての情報の不足が理由のひとつとなっている。また、一時滞在や配偶者ビザの保持者が 発令されたら、加害者が自宅に戻る間の被害者の安全の確保に加え、銃などの凶器の捜索や押収
DVの被害届を出すことが永住権取得に影響を与えるのではないかという不安などが、DV被害 ができる。
の表面化を妨げているともいわれている。
●DVについての情報サイト
●DVに遭ったら   州内にはたくさんの支援・相談機関がある。DVの兆候を感じたら深刻な事態にならないうち
 DVは、最初は些細なことが次第にエスカレートしていき、被害者の尊厳や自由を脅かしてい に、まずは最寄りの警察に相談を。
く。DVの被害に遭ったら、まずは最寄りの警察に相談するのが良い。ビクトリア州警察はDVの ▶Domestic Violence Resource Centre Victoria (DVRCV): DVに関する一般情報や専門家に
通報に対して必ずなんらかの対応をしなくてはいけない決まりになっている。また、警察に知ら
せることによって、緊急にとってもらうことができる法的措置には、Family Violence Safety よる支援サービス W: www.dvrcv.org.au
Noticeの発行(被害者の保護が緊急と思われる場合、警察が発行できる。例えば、DVの通報を受 ▶Domestic Violence Victoria:DVに関する一般情報 W: www.dvvic.org.au
けて駆けつけた警察官が、暴力行為の禁止などの条件を明記しその場で申請、署の巡査部長以上 ▶Magestrates Court of Victoria :インターベンション・オーダーに関する詳細と各種申請書
の同意を得れば即発行され効力を発揮する。加害者が従わなかった場合、警察は逮捕することも
で き る )、仮 命 令( I n t e r i m O r d e r )の 発 行( 被 害 者 を 保 護 す る た め の 治 安 判 事 裁 判 所 W: www.magistratescourt.vic.gov.au
『Magestratesʼ Court』に申請する前の短期間の仮の命令。被害者の保護が緊急と思われる場合、 ▶Low Handbook:ビクトリア州の法律全般について分りやすく解説
裁判所に出向くことなく、いつでも申請できる。発令されれば裁判所の審理または最終決定が出
るまで有効)、そして加害者の逮捕が挙げられる。 W: www.lawhandbook.org.au
▶The Lookout: DVに関する一般情報、法律、イベント、相談や支援サービスの連絡先
●日本では馴染みのないインターベンション・オーダー
 インターベンション・オーダーは、DV再発の危険性があるDV被害者の保護のために、加害者 W: www.thelookout.org.au
▶The Womenʼs Information and Referral Excahnge(WIRE):DVを始めとする、女性の問題

全般に関する相談先。電話、オンラインチャット、Emailも。 W: www.wire.org.au
▶White Ribbon Foundation:男性の立場に立った女性へのDVをなくすことを目的とする団体

W: www.whiteribbon.org.au

誰でもできる防犯対策 防犯に“常識” ポリスステーションは日本の交番?

▶人ごみでは…  日本に1年半ほど住んでいたことがあるというピーター上級刑事巡査  日本の交番は街の至るところで見掛け、道を聞い
●貴重品は人目に付かないところに持つ。 に、日本とオーストラリアの犯罪の違いを聞いてみた。「オーストラリアは たり、落し物や被害届を出したりと、地域住民にとっ
●顔を上げて周囲に注意しながらしっかりと歩く。 日本に比べて、路上や車内といった公共の場での暴力事件が多い印象があ ては身近な存在だ。日本の治安が良いのは交番の存
●可能であれば、自動車が来る方向に向かって歩道を ります。これはたぶんに、文化や国民性のよるものだと思います。日本人 在おかげともいわれている。
歩く(背後からの引ったくりなどを防止)。 は、それぞれの“パーソナルスペース”を大切にするうえ、争いごとを避け
●怪しい人からは距離を置くようにする。 る傾向にあるようです。例えば、電車の中でマナー違反の人がいた時、日本  ビクトリア州では、青地に白の文字で“POLICE”
●携帯電話を必ず持ち歩く(携帯電話からの救急電話 人は車両を変えたり我慢したりしてトラブルを避けようとします。これに と書かれた看板のある建物が、ポリスステーション、
番号は112)。 対してオーストラリア人は、積極的に注意し、周囲の人達もそれを普通の いわゆる日本の交番だ。「落し物や被害届、近隣との
●ヘッドホンは常に片耳側を外しておく。 ことと思っているので、当事者同士がけんかに発展してしまうことがまま トラブルなど、気軽に相談できるという点で日本の
あるのです」。 交番と同じ役割と考えて下さい(」小沼上級巡査)。緊
▶公共の交通機関を利用する時は…  一方で小沼上級巡査は、海外にいる日本人の解放感について指摘する。 急を要さないもの、起こってしまったことに関して
●待ち時間を少なくするような計画を立てる。 「特にドラッグです。日本ではまだまだ限られた場所でないと入手できま は 、最 寄 り の ポ リ ス ス テ ー
●駅までの道はできるだけ見通しの良い道を選ぶ。 せんが、オーストラリアは、パーティーやバーベキューでも、普通にドラッ ション(インターネットなど
●乗り物は、CCTVカメラや緊急ボタンの近くで待つ。 グが回ってくることがあります。そうすると、“ま、海外だからいいかな”と で連絡先は検索可能)に、緊
●貴重品は目の付かないところに入れ、常にしっかり いった気分でドラッグに手を出してしまいがちです。ここで一旦、“日本 急を要するもの、目の前のト
と持つ。 だったらどうするか”と考えて下さい。ドラッグが違法であることは、日本 ラブルに関しては“000”と
●駅駐車場では、なるべく駅舎近くに駐車し、電車から もオーストラリアも変わりません。また、国が違っても“常識”に変わりは 使い分ける。「オーストラリ
降りたらすぐに乗車できるよう、鍵を用意しておく。 ありません。深夜に暗い道をひとりで歩かない、貴重品から目を離さない アは、警察も消防車も救急車
●夜間は街灯のない道は避け、通勤・通学路をできれば といった常識が、何よりも防犯に繋がるのです」。 もすべて000ですよ」。
定期的に変える。
ピーター・ダラン=ジョーンズ巡査部長(左)と小沼友紀シニア巡査 (左ページ❻❾参照)
▶自動車を運転する時は…
●むやみに自動車を下りない、知らない人を乗せない。 参考サイト(本文中に紹介したサイト以外):
●ガソリンは常に十分に入れておく。
●出掛ける前にしっかりと計画を立てておく。 W: www.aph.gov.au
●特に夜間は、駐車した場所をしっかりと覚えておく。 W: www.legalaid.vic.gov.au
●鍵はすぐに開けられるよう、予め用意しておく。 W: www.melbourne.vic.gov.au
●誰かに後を付けられたら、決して帰宅しない、見知ら W: ncsmc.org.au
ぬ道に入らない、そして警察やサービスステーショ W: www.police.vic.gov.au
ンに逃げ込む。 W: www.triplezero.gov.au
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