せっかくのお出掛けを夢気分にしてくれる店 BUTCHERS GRILL

ティの中心の静かな一角に新登場のレストラン。「肉屋のグリル」という名前はちょっと変わっている。かなり自信があるのでは? という直感に頼ってドアを開ければ、そこは別世界。嬉しい驚きのヨーロッパ気分が待っていた。

正月ともなると、日本から家族や知人が訪問する機会も増えて、おいしいステーキが食べたいというリクエストも多いはず。でも、どこへ行ったらいいのやら。そ んな時に、安心して行ける店がシティの中で見付かった。取材したのはオープンから2週間後、まだレストランガイドにも載っていないはず。店の名前から想像 した、気取らないバーベキュー風というイメージは、ドアを開けた瞬間に打ち砕かれた。天井からはシャンデリアを飾り、棚からはワインが溢れて、わざと派手 目に演出した内装は、まるでヨーロッパ。しかし、値段は心配するほど高くない。こんないい話あるのかな気分で、いただきます!

オーナーのルーさんの笑顔に迎えられ、まず店内を案内してもらった。床下にはワインセラーがあり、奥にはプライベートのグループ用のアレキサンダールーム という個室(16~18人用)もある。喫煙者の為のガーデンも建設中。説明をしてくれる様子は、まるで自宅を自慢しているみたいで、この店への愛情がわか る。彼の会社は14軒もレストランを経営しているそうだ。その余裕と経験を使って、自分の食べたいものを出す店を開いたらしい。

テーブルに着いても、オーナー自ら、店のコンセプト、お勧めメニューをていねいに紹介してくれた。基本は地中海料理で、ステーキだけでなく、シーフードや ミックスグリルも楽しめる。ルーさんの出身地、マケドニアの味も彩りを添えている。シンプルな味付けで、素材のおいしさを充分に楽しんでもらいたいという コンセプトなので、仕入れにはこだわり、特に肉は1軒の決まった店からしか買わないそうで、どうもそれが店名の由来になっているらしい。
 

そんなルーさんの選んでくれた前菜は、まず日本人の大好きな帆立貝。ガーリック風味のマッシュとカリカリのローストポークに挟まれた、大きなホタテの甘さ で、すでにイチコロ。パイナップル形に盛り付けられたカラマリは、柔らかく、塩味が濃い目でビールにぴったり。続いてシャバプチチという、皮なしソーセー ジ。紳士的なウエイターさんのお気に入りの一品だそうで、たしかに肉汁の詰まったコクが豊かで、おいしい。 

次に紹介されたのがサラダ2品。赤ピーマンをグリルしてマリネしたサラダは、ピーマンの甘みとハーブ、フェタチーズがマッチして、とろけそうな味。ショプ スカは、マケドニアでは貧しい人のサラダと呼ばれているそうで、庶民的な野菜を刻んで盛り付け、さり気ないドレッシングで新鮮な歯応えが楽しめる。どちら も主役の肉料理を心地良く演出してくれるサラダだ。そして、いよいよ本命のステーキは、Tボーンから和牛まで揃っている。どの肉も品質は保証付きで、保存 期間、温度、料理のタイミングにも気を配っているのが自慢。オーストラリアでは、かなり良いレストランでも焼き加減が微妙で、ミディアムがウエルダンに なっていたりするが、この店は信用できる。メインの写真は、取材目的でスライスしてもらったが、ミディアムの焼き上がりがよくわかる。中心のピンク部分が 柔らかくて、しかも肉汁がしっかりと閉じ込めてあって見事な味だった。

ここまでで充分と思っていたら、デザートのお誘い。メルボルンではなかなか食べられない、きめが細かくて甘すぎないプリンが出てきて、懐かしい感じのシン プルなチョコアイスとしっとり濃い目のチョコケーキのコンビと対決。更にマネージャーのニコルさんが笑顔で運んでくれた、クルスコバッチという洋梨のリ キュールが夢の味。
 

本当にごちそうさまでした!

BUTCHERS GRILL
141 Bourke St. Melbourne
03 9639 1222
www.butchersgrill.com.au
営業時間:月~金 11:30am~3:00pm / 5:00pm~10:30pm
土 5:00pm~10:30pm

注) こちらはDengonNet 2009年1月に掲載されたものです。