失意のどん底にある時でも、ポジティブになるには、「人間として生まれたことへの奇跡に感謝すること」でしょう。「生物が生まれる確率は、1億円の宝くじを100万回続けて引くのと同じくらい稀な、ありがたいこと」と遺伝学者の木村資生が言っています※。つまり、生まれたこと自体が奇跡なのです。そのことに感謝して、もし病気や障害を持ったとしても、それは自分にとって何らかのメッセージで、自分で治るという心構えを持つことが何よりも大切です。
では、その心構えは、どのように自己治癒に関係するのでしょう。まず人の治癒系には、神経系(精神)、免疫系、内分泌系(ホルモン)の相互作用がとても大事なことを覚えておいてください。神経系は自律神経(交感神経、副交感神経)を含んでいて、外からの刺激の全てを受け取るところです。医学部の授業でも体全体にある“治癒系”の関係について、まとめて教えてくれることがないので、医者もその重大性をあまり知りません。ですから重い病気になった時、医者はペシミスティックに、「治ることは難しい」「覚悟をしたほうがいい」など、治癒系を高めない方向で話をすることが多いので、言い渡された方はがっかりします。
免疫系に大きく影響するのがストレスです。ストレスには、天気、温度、出来事などの外的ストレスと、外的ストレスに対する、怒り、憎悪、悲しみなどの心理的反応(内的ストレス)があります。この内的ストレスが免疫機能に影響するので、対処がうまくいかないとNK (ナチュラルキラー)細胞という免疫細胞の働きが落ちることがわかっています。また、内分泌系にも影響し、ストレスで胃粘膜の防御系が落ちて潰瘍ができたり、女性なら、ショックで、生理が止まるようなこともあるわけです。
人間である限り、大きなストレスがあった時には、一度は落ち込むのは普通の反応です。そこからいかに早くうまく立ち直れるか、それがストレスに強いことになります。ストレスに対して悲嘆の感情が起きた時、感情そのものが自分の意志でコントロールできなくても、それを1人で抱え込まないで、人とコミュニケーションをとる、自分の好きなことをするなど、意志で行動に違いを作ることはできます。つまり心の持ち方を変えることで、内的ストレスに強くなるわけです。