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のレストランはスイスクラブのメンバーのためのラウンジ形式になっているが、一般の人も大歓迎。入口は2階にあるので最初はちょっと入りづらいが、そこで気後れしては、せっかくの食の冒険が始まらない。勇気を出して階段を上がり、ドアをくぐるとカウンターの向こう側に笑顔が待っている。その女性、フロアー・マネージャーのコリンさんが案内してくれる。明るいビルの一室にスイス風のステンドグラスやカウベルが色を添え、シンプルな清潔さがスイスのイメージに重なる。席に着くと、これもまた満面の笑顔のオーナー・シェフ、ロジャーさんの登場。スイス料理に素人であることを伝えると、「オレに任せとけば大丈夫」という意気込みで去っていった。さあ、ここからが冒険の始まり。何が出てくるか全くわからないというワクワク気分でいただきます!
まず最初に登場したのが素朴なパンとイタリアのプロシュートのような薄切りハムのようなもの。ブンナ・テラーという空気で乾燥させた牛肉。コリンさんが「手でつかんで食べるのよ」と教えてくれた。塩気がほど良くて、いくらでも食べられる。もちろんパンと一緒でもいいが、やっぱりビールかな。ちなみに、ここにはスイスビールはないが、各国のビール、特にヨーロッパ系のビールが揃っている。もちろんワインもある。次はシューブリックというポークとビーフのソーセージ。コクも歯応えもあり、それだけでも十分おいしいが、一緒に盛られたソースのちょっとした甘みとロケットの苦味が混ざり、楽しさが増す。これもおつまみには最適な一品。そうかハイジ達は、こんなものを食べていたのか。
前菜が食べやすくて、ついついパンも食べてしまい、これからメインなのに気を付けなくちゃと周囲を見回すと、さすがスイスクラブだけあって、客層は落ち着いたヨーロッパ系のファミリーやビジネスランチの人々。こちらの気分もなんだかゆったりヨーロッパ。
メインとして登場したのはレファファというベニソン(鹿肉)の煮込み。赤キャベツの酢漬けと素朴なマカロニ風な副菜が付いている。実は鹿肉がやや苦手な記者は、ここでちょっと気分がしぼんだのだが、ここは仕事。そう思って食べてみて、驚いた。今まで食べた鹿肉料理の中で、一番クセがなく、素直においしいと思えた。赤ワインでしっかり煮込んだような色なのに、味はあっさりとまろやか、やさしい家庭料理のようで、シェフのロジャーさんの笑顔の味だと思った。赤キャベツも、ドイツ料理の有名なキャベツの酢漬けとは違い、はるかにマイルドで食べやすい。手でこねて作ったチーズ・マカロニ風のパスタも素朴でうれしい味。
ここまででかなり満足だったが、「もうひとつ紹介したいから、がんばって」とコリンさんに元気付けられて、テーブルに乗ったのが、シュナッツレッツという名の子牛肉のクリーミー・マッシュルームソース。副菜はロシュティというポテトのオーブン焼き。この副菜、こんがり焼けたポテトのおいしさを、たっぷりと楽しめるように両面に焼き色がついている。そして、ほぼ満腹なのに、問題なく食が進むクリーミーソースは、やはりさっぱりとして、家庭料理のやさしい味。スイスは山国なのでシンプルな肉料理ばかりかと予想していたけど、こんなに日本人に食べやすいマイルドな味わいだとは思わなかった。「かなりいいじゃん、スイス料理」って気分で、すっかりファンになった。商業ベースではない雰囲気も、落ち着けて良い感じ。と、ここで、駄目押しのようにデザートの登場。ズバリ巨大モンブランという様相のベルミセル。メレンゲの土台の上にクリームとアイスクリームとクリのピューレが山盛り。結構甘く、これは1人では絶対無理。個人的にはクレープの方が良かったかも。そしてチョコフォンデューもあるらしい。次回はそれを狙うか。
ごちそうさまでした!