実
はこの取材が決まる前から、この店には個人的に興味を持っていた。Swanston通りのこの辺りは、中華街からはみ出した、学生目当てのお手頃な食堂的アジアンが並ぶ激戦地。とりあえずの空腹を満たしたい、という庶民の欲求に応えるメニューを貼り出した店が軒を連ね、カラフルにチープな看板が並ぶ中に、突如、木製の風格ある看板が登場して、不思議な感じがしていた。なんだか敷居が高そうで、入るのを躊躇していた人も多いのでは? そんなわけで、読者を代表して、その正体を探ってみたところ、嬉しいオドロキが待っていた。オーナーのポリシーは、三つ星の値段で五つ星の味わいだという。それはステキ、いただきます!
店頭で迎えてくれたオーナーは、レストランオーナーにしては颯爽とした雰囲気の中国人女性だった。話を聞くと、元留学生でメルボルンが大好きなのだという。他にもビジネスをしていて、このレストランは、ちょっとおしゃれな趣味の域らしい。
店内には、その彼女の余裕とこだわりが溢れている。内装はシンプルだが、イスは座り心地が良く、従業員のサービスも丁寧で早い。席に着くと早速、はちみつ風味のお茶を出してくれて、歓迎されている感じ。店内やキッチンの清潔さを重視していて、チャイニーズレストランにありがちな、安くて大盛りだけど、細かいところには目をつぶらなきゃ、という暗黙の了解がない店だ。東京の日曜日、家族で出掛けるちょっと高めの中華料理店のイメージで、お客さんを連れて行っても満足してもらえそうな雰囲気。
でも、やはり肝心なのは味。麺も餃子類も全て店内のキッチンで毎日作っているという。店の奥ではガラス張りのキッチンで餃子類を作る女性達が見えて、手作り感を高めている。開店間もないのに繁盛しているので、食材の消費が早く、常に新鮮なものを出しているらしい。そんな話を聞いて期待が高まる中、まず焼餃子とヌードルの登場。餃子の皮は歯応えがあって、具にもしっかりした味わい。麺にも程よいコシがあり、ソースも辛すぎず、ボリュームもまずまず。この値段でこの味なら、文句なしの昼ご飯になるだろう。
ここまでは、充分なるほどね、という感触だったが、続いて登場したチキンは、他のお手頃チャイニーズでは食べたことのない洗練された味で、新鮮なオドロキをくれた。あまり辛くはなく、コクがあり、チキンの自然な味が活かされている。ソースがあんかけ風なので、いくらでもご飯が食べられそうだ。キッチンでは中国各地を代表するシェフが揃って腕を振るっているというのが実感できる。商売重視ではなく、自分がおいしいと思うものを味わってもらいたいというオーナーの心意気が伝わってくる。
もう一つ、最後に出てきたのがインゲン豆の料理。外食では不足しがちな野菜という意味でバランスが取れているかなと軽く構えて食べてみたら、これもまた新しい味わい。インゲン豆と豚挽き肉が香ばしく炒められていて、ビール好きの取材メンバーには魅力。しかも、とても大盛りで、グループでのおつまみには絶対お勧め。おいしいだけでなく、体にも良さそうなところが魅力だ。
メニューも豊富で、店名の通りのシュウマイや春巻き等も多く、麺類、ご飯類の昼ご飯向き料理、日本人の好きなマーボ豆腐もあるし、魚の丸揚げ等の本格中華、もちろん食事の締めのデザートまで揃っているので、学生から家族連れまで、あらゆる人に満足してもらえそうな店だ。次は何を食べてみようかな、という楽しみな感触が残った。
ごちそうさまでした!