パンチdeジャポン
文 ・ 植田真仁(ウエダシンジ)

千葉県出身、東京都在住。TVプロダクション、業界紙副編集長を経て、現在フリーライター。最近、テレビドラマを見るようになった。
あんなもの、飾りです

 お台場に、期間限定で等身大のガンダムが展示されていた。公開初日から連日大盛況だったらしい。中には登場人物のコスプレをしたり、自作の大型模型を担いだりして来場する者まで現れたそうだ。そこまでしたら、お気に入りの場面を演じることだってあるだろう。その気持ち、遊び心はわからぬこともない。

 小学校前半を「ガンプラ」、後半を「ファミコン」に慣れ親しんだ世代としては、この両者の遊び方の違いを感じずにはいられない。「ファミコン」はこなすことで上達し、自分を含め上達できない者は、遊び時間の多くを待ち時間に費やした。一方「ガンプラ」は、上手な者は更に手を加えて完成度を高めることができたが、下手は下手くそなりに楽しめた。時には手と足を入れ違いにして珍妙な姿にしてみたり、色塗りではみ出したのをいいことに独自の配色で仕上げてみたり。満足できる仕上がりではなかったとしても、販売者側が想定しなかった遊び方を編み出す余地があった。
 たしかにファミコンも「マリオブラザーズ」に代表されるように、協力して次に進むように意図して作られながらも、相手を蹴落としあうという「逆の遊び方」はあった。しかし登場から20年以上経過し、テレビゲームにおける想定外の遊び方の発見は、「バグ」として単なる不良品を示すようになった。テレビゲームの登場が、極端にいうと「遊び道具」から「遊ばされ道具」への転換だったというのは、果たして大げさだろうか。
 いい大人が恥ずかしい衣装を身にまとい、更に公衆の面前はばからず、下手な小芝居を打つ。等身大ガンダムに集まり、傍目には奇怪にしか見えない遊び方をしてみせていたのは、当然ながらガンダムを知る「ガンプラ世代」が中心だった。しかし彼等はまだ、製作者の意図しない遊び方を考えている。「ファミコン世代」より下の世代の目には、この様が一体どう映っているのだろうか。「あんなもの、飾りです」というせりふは、ガンダムファンでは有名なシーンの1つだが、あの巨大な模型を見て、そんなクールな言葉を吐いてくれれば、それはそれで杞憂ということになるだろう。
選挙戦始まる 勝つのはどっち
 衆議院が7月21日解散し、選挙戦が始まった。「前哨戦」と言われた東京都議会議員選挙では、民主党が初めて第1党となっており、政権交代を問う選挙となった。選挙は8月30日に投開票された。
 都議選で定数127議席のうち54議席を獲得した民主党は、他党にさきがけてマニフェスト(公約)を発表し、農家への戸別補償制度や子供手当て制度の創設などを訴えた。与党の自民党は、可処分所得100万円増などを公約に示した。公明、共産、社民各党共通して子供がいる世帯への補助金増額を掲げたのが特徴。
 また、自民党を離党した渡辺喜美元行革担当大臣は、新党「みんなの党」を立ち上げた。平沼赳夫元経済産業大臣は、選挙には無所属で出馬し、衆院選後に新党を旗揚げする考えを明らかにしている。現職の議員の中にも両グループへ参加を表明する候補予定者が複数出た。
 各党では、マニフェストの説明会を各所で開くことで支持を訴えており、経済団体やNPOが採点を発表するケースが相次いだ。 

大雨に大地震  自然災害相次ぐ
 7月下旬から8月にかけて、全国で豪雨の被害が相次いだ。また8月11日には、静岡県沖の駿河湾を震源とする大規模な地震が発生し、静岡県などで震度6弱を記録した。
 7月21日、中国地方で局地的な豪雨が発生し、各地で土石流や土砂崩れが発生した。山口県では特別養護老人ホームに土砂が流れ込み、7人が埋もれた。24日には梅雨前線の影響で、九州北部で記録的な大雨となった。両日を通じた犠牲者は、死者・行方不明者合わせて30人に及んだ。
8月10日には台風9号の影響で、各地で大雨が発生。兵庫、岡山、徳島の3県で死者・行方不明者が30人となった。
 一方、8月11日には静岡県駿河湾を震源とするマグニチュード6.5の地震が発生。静岡県などで震度6弱を記録し、87人が負傷、1人が死亡した。この影響で、東海道新幹線が一時運転を見合わせたほか、東名高速道路では路面の破損などで一部通行止めとなり、帰省ラッシュと併せて迂回ルートとなった各所で渋滞が発生した。

裁判員制度スタート あの人も裁く側に
 国民が刑事裁判に参加する全国初の裁判員裁判が8月3日、東京地裁で行われた。刑事裁判に市民から選ばれた6人の裁判員が加わり、3人の裁判官と共に、懲役15年の刑罰を決めた。
 審理されたのは、東京都足立区の路上で、5月に女性が刺殺された事件。道をはさんで向かいに住む被告が、サバイバルナイフで女性の胸や背中を突き刺したとして殺人罪で起訴された。裁判では、昨年12月に始まった被害者参加制度に基づき、被害女性の長男等が藤井被告に質問したり、刑に関する意見を述べた。
 裁判員制度は、殺人や強盗傷害といった重大事件が対象で、原則として裁判員6人と裁判官3人で審理を行う。裁判員が裁判にかかわるのは1審のみで、1審判決を控訴した場合は、従来通りの形式で裁判が行われることになる。
 また、裁判員制度をめぐっては、8月7日に麻薬取締法で逮捕されたタレントの酒井法子容疑者が、広報用映画「審理」で裁判員役を演じていた。同映画による広報活動は休止している。

日本の食料自給率  昨年に続き1%アップ
 農林水産省が2008年度における日本の食料自給率を発表した。それによるとカロリーベースでは、前年度より1ポイント上昇し41%になった。41%は1997年度以来11年ぶり。背景には、サトウキビや大豆の国内生産が増え、大豆やチーズの輸入が減少したことを上げている。
 食料自給率は1960年度の79%からほぼ一貫して低落傾向をたどり、89年度に49%となった後は40%台が定着。06年度に39%に落ち込み、07、08年度は1ポイントずつ回復した。
 長期低落傾向の主因はコメの消費減だが、08年度は1人当たりの年間コメ消費量が59キログラムと前年度より2.4キログラム減った。農水省では「小麦価格高騰など外的要因が大きい」と分析している。  一方、生産額ベースの自給率は65%となり、前年度より1ポイント低下した。国際的な穀物価格高騰を受け、畜産用飼料の輸入額が増えたことなどが響いた。
 政府は自給率を15年度に45%、長期的には50%に引き上げることを目指している。