準備運動ですでに汗がじんわり
スタジオのドアを開けると、スタントの練習の真っ最中。向かい合った2人の立て膝の上で3人目がバランスを取ろうとする姿は、私達の知る華やかなイメージとは全く違う。
まずは、この日参加の7人と一緒にウォーミングアップ。スタジオ内を軽く走った後、身体中を丁寧にストレッチ。続いてジャンプ技のためのコンディショニング。コーチのLetty先生の良く通る声が響き渡る。じんわりと汗ばんできたのは、エクササイズのせいだけでなく、「腕をまっすぐ」「背筋を伸ばして」などの細かな点に気を配りながら、複雑な動きについていこうと必死だったせいかも。
かなりハードな競技スポーツ
次はいよいよ、スタンツの基本、エレベーターの練習。2人の“ベース”の手の平の上に“トップ”が乗り、後ろに補助のバックベースが立つ、4人の技。トップもベースも入れ替わりながら、繰り返し練習する。映画で見たような、しなやかな動きも、華麗な笑顔もなく、ただ、試行錯誤の緊張しきった動きと、焦りのための苦笑い。そう、チアリーディングは応援団ではなくて、かなりハードな競技スポーツなのだ。
そして、とうとう、トップが立ち上がって満面の笑みと共に腕をVの字に伸ばす、お馴染みの“ハイブイ”でフィニッシュ。練習が始まって1時間半。華麗な姿の影に、こんな努力があったとは・・・。
これで終わりと思いきや、次にはトップがベースに落下するクレイドル。タイミングが合わないためか、お互いに遠慮があるのか、なかなか上手にできない。「勇気を持って」と、始終励ますLetty先生。しかし、身長の高さから一気に尻餅をつくには、絶対に受け止めてくれるという信頼感がないと、尻餅どころか尻込みしてしまう。「大切なのは、チームとしての自覚を持った活動」という先生の言葉を実感する。
なんとか形になってきた頃には、誰もが汗びっしょり。更にマットの上で順番に前転、後転、倒立、ブリッジなどをするタンブリングの練習。この頃になってようやく、生徒達にも笑顔やおしゃべりが見え始めた。
アスリート達のBring It On!
同チームは現在14~30歳までの12人。チアリーディングはアメリカが発祥とはいえ、オーストラリアでも急速に広がっており、特にQLD州とVIC州は活動が盛んだという。
「ダンス、体操、アスレチック、全てが混ざった競技ですが、重要なのは“観客が楽しめること”なので、パフォーマンスとも言えるかもしれませんね」と先生は言うが、“技能、体力、チーム精神”を身に付けるなら、こんなに適したスポーツはないと実感した。
独立したチームは、人数集めが難しい反面、年齢も職業も様々で、チームがダイナミックになる利点があるという。将来はチームをもっと大きくして、できれば子供達にも教えたいそうだ。
「さっき皆に将来の目標を聞いたら“USの世界大会に出ること”と口を揃えていましたよ」と告げると、「本当に?」と驚きながらも、実に嬉しそうに輝いた笑顔は、まさしくチアリーダー。Letty先生が“アスリート”と呼ぶ、生徒達の練習風景は、まさしく“Bring It On”の気迫に溢れていた。