先月号のロスト・ソウル事件以来、まだちょっとカルチャーショックが尾を引いていて、オーストラリア人の振る舞いが気になっている今日この頃、昼間の電車に乗っていて、いつものように彼等を観察していて考えた…。
ケータイの会話中に大声で私生活をばら撒いたり、向かいの座席の人の膝を蹴りそうな距離で足を組んだり、平気でゴミを捨てたり、日本の混んだ電車では考えられない、ちょっと迷惑な言動も多い彼等なのだが、悪気はないのだろう。
成長過程で誰もきちんとマナーを教えてくれなかったんだろうなあと考えれば、ちょっと同情もしたくなって、イライラしないで済むかなあ。どうせ街に行くまでの時間は短いんだし、些細なことに影響を受けず、マイペースで楽しく過ごしたいよねえ。しかし幼児でもない彼等の言動を無邪気とは言えない。大人で無邪気だったら、ちょっとバカってことでしょ?
それじゃ、あんまり彼等に失礼だよねえ。けれど無神経と言ってしまえば、批判的な意見が入って、彼等に影響を受けてイライラしてる細かい日本人になっちゃう感じで、それじゃ、なんか悔しくて、ピンと来ないしなあ。
そう思ったところで、ピッタリの表現が頭に浮かんだ。それは、無頓着。周囲を気にしていない、自分の迷惑な言動に全く気付いていないことに気付いていない、脳天気な振る舞いにぴったりな表現だと思ったら、なんか、楽しくなった。それ以来、ちょい迷惑な人が近くに来ると「あーら、むとんちゃくなひとねえ」と心の中でつぶやいて余裕をかましている。ちょっとした表現の違いなのだが、これがあたしには結構、魔法の呪文のように有効なので、読者の皆さんも試してみて欲しい。
さて、その無頓着な人達の日常にも、この世界不況の影は落ちているのだろうか。平日の電車の中での言動に今のところ変化は見られないが、消費は落ち込んでいるらしく、季節外れのバーゲンが増えているみたい。投資物件も株も持っていないフリーランスのあたしの生活に変化はなくて、スーパーでスペシャル商品が増えたのが嬉しいくらいかな。相棒君は毎日のようにトヨタやホンダの新車が信じられない値下げをしていると興奮気味に教えてくれるけど、あたしにとっては無駄な話なのがちょっと悲しいといえば悲しい。
でもチャーリー君のエンジンは快調だし、まあ平和な毎日というところ。人間社会の妙なところは、世界の成り立ちは昨日までと何も変わっていないのに、経済の仕組みの不完全さにみんなが踊らされて、去年の今頃は目に見えないバブルの嵐で新車を乗り回していたかと思えば、今年は風向きが変わって、不況風が吹き出し、突然、しょんぼり気味になっちゃうこと。テレビのニュースでは日本が公式に不況に突入したと言ってて、画面には元気のなさそうな新宿の風景が映っていた。日本人って「みんないっしょ」が好きだから、一気に暗いムードに染まっていそうな感じ。こんな時こそ、むとんちゃくなおーじーせいしんを見習わなくちゃね。世界不況なんて、個人的にはどうしょうもないことなんだから、せいぜい身近にあるもので楽しまなくちゃ。
お土産業者をしているオージーの知人によれば、フトコロの寂しくなったオージー達は、北海道スキーツアーを諦めて、国内休暇を取ることにしたらしく、観光地はどこも予約で一杯で、彼のところには例年より観光用土産物、いわゆる中国製のちょっと顔のゆがんだコアラちゃんとかの注文が増えていて、嬉しい悲鳴を上げているらしい。景気が悪いからどこにも行かないんじゃなく、行き先をお手軽な所に変えるなんて、おーじーっぽくてステキ。不況のお陰で、意外な所で儲かる人もいるというのも、なんだか楽しい話で元気が出るよね。
若い頃、おばあちゃんが「年を取ると1年があっという間に過ぎるんだよ」と言うのを聞いた時は、「へー」と思っただけだった。だけど、この頃、実際、その通り。去年の記事を読み返して、1年経ったのがうそみたい。そうやって、今年も終わってしまう。経済不況は来年もまだまだ続きそうだから、周囲に迷惑をかけない程度に、暗いムードに気付かない幸せ者になることを目指して、むとんちゃくの修行をしなくちゃ。それを来年の目標にするのも、かっこええかもなあ。そうすれば、電車の中の観察も益々楽しめるってことになるのかな??
そんなわけで、来年もNAMをよろしくね!